オリンピック・レガシー: 2020年東京をこう変える!

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591137758

感想・レビュー・書評

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  • 過去のオリンピックの、有形・無形、ポジティブ・ネガティブなレガシーについて2/3のページが割かれて書いてある。商業化のきっかけや、オリンピックと政治のゴタゴタについても。

    2020年の東京五輪では、
    地方創生(どうやって地方に人を引き込むか)と、超高齢化社会の健康・ライフスタイルの発信。和食やラジオ体操、学校での体育の時間などなど。

    おもてなし向上プログラムで世界の人を、全員がおもてなしできるようにする、など。
    →英語を話す聞くができるようになれば、おもてなしのベースが向上すると思うので、国や都道府県・市町村で英語強化のプログラムや補助をすることは良いのかなと思った。

    四年に一度、世界を変える事が出来る、イベント。個人のレベルでも何かしたいですね。

  • 780.69||Ma

  • この本のタイトルになっている『レガシー』とは、伝説という意味ではなく、『遺産』という意味で使われています。

    2020年の東京オリンピックに向けて我々はどうすべきか?過去のオリンピックを検証し、現在の日本の状況を勘案し、オリンピック後に残すべきもののヒントを与えてくれています。
    私自身はせっかく日本で開かれるオリンピック、ボランティアには参加したいと思っています。
    出来ればマラソン関係で。
    それとブログを通じてスポーツの良さを今後も伝えていきたいと思っています。

    6年後のオリンピックに向けて自分が何をすべきか考える為にも是非読んでみて下さい。

  • オリンピックが単なる一過性のスポーツイベントではなく、有形無形のレガシー(遺産)をもたらすことを過去の大会の歴史から読み解き、2020年東京大会のあるべき姿を考える。
    直近のロンドン大会においては、有形レガシーは、開発をロンドン東部ストラットフォード地区の廃棄物•工場用地だった地域に集中し、環境への配慮、サステナビリティ、有害な化学物質等による土壌汚染が深刻だった地域の都市再生を実現した。
    一方、無形レガシーとしては、イギリス国内のスポーツ振興、東部地域変革、若者世代をインスパイア、環境配慮型ライフスタイル、イギリスという国のPR。

    ロンドン(1948)
    大戦後初の大会。ロンドン郊外の病院で、戦争で負傷した元軍人がスポーツ大会を実施。これが後のパラリンピックに発展。敗戦国である日本、ドイツは参加できなかった。
    メルボルン(1956)
    英仏のスエズ動乱に反発したエジプト、レバノン、イラク、ソ連のハンガリー侵攻に抗議したスペイン、オランダ、台湾の参加に反対した中国がボイコット。
    ソ連とハンガリーが直接対決した水球は、乱闘に発展し試合中止となるも、結果はハンガリーが圧勝し、そのままの勢いで金メダルをとった。大会後、ハンガリー選手100名のうち45名が大会直後に西側諸国に亡命。
    ローマ(1960)
    古代遺跡を体操やレスリングの会場に利用。アベベは裸足で走って金メダル。アパルトヘイト政策の南アはこの大会から92年バルセロナでの復帰まで参加禁止の制裁を受ける。初めて、本大会直後にパラリンピックが開催される。
    メキシコ(1968)
    ドイツは東西が別々に参加。この大会からドーピング検査実施。アフリカ系アメリカ人が黒人初のメダルを獲得。表彰台で人種差別に抗議し、永久追放を受ける。
    ミュンヘン(1972)
    大会中にパレスチナゲリラによるテロ発生。選手村に侵入し、イスラエル選手2名を殺害、9名を人質に立てこもる。イスラエル国内の捕虜250名の解放を要求するもイスラエル政府はこれを拒否。最後は西ドイツ当局との銃撃戦となり、人質は全員死亡する悲劇的結末となった。
    モントリオール(1976)
    大会開催費の巨額債務。当時はまだ民間企業のスポンサー制度がなく、73年のオイルショックによる物価高騰で予算を大幅にオーバー。モントリオール市は負債完済まで30年を要した。
    モスクワ(1980)
    東西冷戦のさなか、アメリカ、日本、西ドイツ、韓国の他、ソ連の軍事的脅威にさらされていた中国、イラン、パキスタンなど約50国がボイコット。
    ロサンゼルス(1984)
    モスクワの報復で、ソ連など東側16国がボイコット。税金を1セントも使わない大会を謳い、商業化が一気に加速。テレビ放映権、一業種一社スポンサー、入場料、グッズ販売で約400億の黒字。
    ソウル(1988)
    東西両陣営が12年ぶりに揃った大会。史上最大の黒字大会。ベンジョンソンのドーピング問題。
    バルセロナ(1992)
    共産主義諸国の国策としてのアスリート養成が席巻した時代は終わり、商業主義によるプロ化路線が目立った大会。
    アトランタ(1996)
    IOC加盟国197すべての国が参加。選手よりもテレビ放映やスポンサーの意向が優先される行き過ぎた商業主義に対する批判が強く残った。
    シドニー(2000)
    アボリジニーとの融和、韓国北朝鮮の統一旗掲揚、インドネシアから独立した東ティモール選手の個人参加など、民族融和が話題になった。
    産廃処理場跡地にオリンピックパークを整備し、再開発に成功。大会後も開発は進み、国内最大規模の都市公園に進化。市民ボランティア活躍。
    アテネ(2004)
    911後のテロ対策、チケット販売不振、施設維持費など、財政悪化の原因となった。
    北京(2008)
    民族団結、男女平等を掲げるも、聖火リレーの直前にチベット独立を求めるデモや暴動が発生。大会そのものは円滑に終了。ただし、北京市北部に建設された施設は、大会後あまり活用されておらず、ゴーストタウン化が進んでいる。

  • 戦後、これまでのオリンピックがどうだったか(どんな話題や事件があって、開催地はどう変わったか)を紹介し、それを踏まえて2020東京に向けてどうなるどうする、という本。

    東京開催にむけてのオリンピックの基礎知識としては、端的・包括的にまとまっていて読みやすい。
    (ただ、私にとってこの手の話は初めてだから、詳しい人からは批判もあるだろう。)

    これまでの話がコンパクトにまとまっている一方、そのわりに未来(2020年東京)はどうなるか/どうするべきかの話は、所々浮き足立っているというか、地に足がついてなくて半信半疑かなぁという印象を受けた。

    たとえば、引用すれば、
    「バブル経済崩壊以後の社会・経済の停滞が二○年以上も続いた理由は様々指摘されているが、前向きな気持ち、チャレンジする意欲が社会から薄れてしまったことが最大の原因ではないか。」
    なんて文章なんて、私には、ちょっとそれは、定量化できない(と本文中でも言われていた)無形の諸々を、ちょっと大きく見過ぎというか、根拠も怪しいしふっかけてるなぁ…なんて感じた。

    一方で、オリンピック開催後に観光客をずっと増やすのは、過去の例から行っても難しいだろう…という話は、まったく知らなかったし、それを踏まえて東京オリンピックでは頑張ってほしいなぁとも思った。

    沢山の(おそらく、考えられるほとんどすべての)オリンピックに向けて/その後の効果が示されているから、ここらへん、どれに共感してどれに疑問を抱くのは読者によるのかもしれない。ちなみに語り口としては筆者はかなりポジティブで可能性を信じているふうである。


    「レガシー」、開催地にはその後なにが遺されるのかを重視するという考え方は、私のような一市民(一納税者?)にとっても受け入れやすかったし、「東京オリンピック、どうなんだろう?」という、ふわふわそわそわした心には沢山の考える材料があって有意義だった。

  • オリンピックでどんな資産を残していくことが必要か。よく分かりました。いいオリンピックにして欲しいね、2020。

  • 自分のこれからの教科書になる本。

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著者プロフィール

早稲田大学スポーツ科学学術院教授。博士(スポーツ科学)、専門はスポーツ政策。1963年横浜市生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、同大学大学院、東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。1991年に三菱総合研究所に入社し、研究員、主任研究員として中央省庁・地方自治体のスポーツ・教育・健康政策の調査研究に従事。2002年より早稲田大学人間科学部助教授、学部の発展改組にともない現在に至る。スポーツ庁・経済産業省「スポーツ未来開拓会議」座長、東京都「スポーツ振興審議会」委員、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会参与、横浜市教育員など、政府・自治体・スポーツ団体ほか多数のスポーツ・教育政策づくりに関わっている。著書に『スポーツビジネスの未来2018-2027』(監修/日経BP社)、『オリンピック・レガシー:2020年東京をこう変える!』(ポプラ社)、『奇跡の3年2019・2020・2021ゴールデン・スポーツイヤーズが地方を変える』(徳間書店)、『スポーツファシリティマネジメント』(原田宗彦・間野義之編著/大修館書店)など。

「2019年 『オリンピック・レガシーが生んだカーリングの町・軽井沢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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