カフェかもめ亭 猫たちのいる時間 (ポプラ文庫ピュアフル P[む]1-8)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591139349

作品紹介・あらすじ

風早の街、港のそばに佇むかもめ亭。
ある冬、凍てついた風とともに現れた謎めいたお客様が若き主の広海に語るのは、
愛する家族の幸福のため、小さな英雄として生きた黒猫(「猫の魔法使い」)に、
絵が好きな少女と三匹の白猫(「白猫白猫、空駆けておいで」)、
三度生まれ変わり最愛の娘を守ることを願った山猫(「約束の騎士」)と、なぜか猫にまつわる物語ばかりで――。
その店の紅茶には、魔法の香りがする。
人気シリーズ第二弾、文庫オリジナルで登場!

感想・レビュー・書評

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  • 「カフェかもめ亭」の続編。
    だが、実際には「カフェかもめ亭」の表紙に描かれた猫のイラストにヒントを得て、作者が子供向けに発表した猫にまつわるエピソードを、かもめ亭のマスター・広海に向けて、広海が子供の頃に出会った野良猫が魔法の力を借りて、人間の姿になって現れ、猫にまつわる話を語るという形式で描かれている。
    猫とか魔法とか、とてもファンタジー要素が多いのだけど、この作家さんの作品はいつも人生のいいことばかりを描いている訳ではないことが特徴的。
    魔法が出て来るのに、普通に助からない命もあるし、人の悪意もきちんと描かれるし、悲しい話もある。
    ファンタジーが苦手な私は、いつも最初に「失敗したかも」と思いつつ、読み始めるが、いつの間にか作者の世界観に引き込まれてしまう。
    子供向けの作品の方で活躍されているのか、なかなか新作が出ない作者さん。
    「百貨店の魔法」はまだ読めてないけど、新たな風早の街を描いた作品が待ち遠しい。

  • 『カフェかもめ亭』の2巻です。

    物語が進行するのは、カフェかもめ亭の店内だけ。
    なのに、時間も場所も越えて、世界中を旅しているようです。
    しかも、7つ全部が、猫に纏わるお話なので、猫好きにはたまりません。

    でも、流石だなぁ、と思うのは、ただただ、猫が可愛い!というお話ではないところ。
    「猫は大好きな人と一緒にいる事が何よりの幸せで、その為なら魔法も使える」、というのが、一貫したテーマなのですが、登場する全ての人が猫好きだったり善人な訳ではなく、残忍な人も出てきます。
    でも、そんな中でも揺るがない、それぞれの物語の主人公と猫との絆に、あたたかい気持ちになりながらも、涙がどんどん流れてしまいます。

    すべての猫と、彼らと暮らす人たちが、幸せでありますように!

  • 村山早紀先生の小説は、読んでいると本の中と同じような穏やかな時間を感じる事ができます。
    カフェかもめ亭は曽祖父の頃から続く大好きなお店。引き継いだ広海はマスターとして日々丁寧に珈琲を淹れながらお客様をお出迎えします。
    シリーズ2冊目は毎回、絵を見せながら、猫が出てくる不思議なお話をしてくれる男性が登場します。
    この人自身がとても不思議なんですが、でも暖かな感じが伝わってくる。
    また、毎回頼む飲み物が気になっちゃうんですよね、猫舌仕様のぬるめなお茶やホットミルク。
    ラム酒入りの紅茶と薄荷風味のホットミルクは作ってみたいなぁ。
    一章目の猫のクロコの物語とか三章目の踊るツキノワとか、ミステリアスでマイペース、少し怖い感じもある猫の魅力と、本当はすっごく情があって悲しいほどに尽くす魅力が伝わってくる。悲しい結果になる話もあったんですが、絵本を読むように語る書き方なので、あまり残酷な感じはありません。
    穏やかな時間、香り高い飲み物、流れる音楽、、クラシックな雰囲気が目に浮かぶ描写で、すごく入り込みやすいです。
    まさしくカフェで、ゆっくりと染み込むように読みたくなる小説シリーズです。

  • 読み終わりました!

    『白猫白猫、空駆けておいで』。。涙が止まらないお話でした。:゚(。ノω\。)゚・。
    ある奇跡が起こるのですが
    その情景が目に浮かび…そのシーン好きです。。


    最初、広海ちゃんと謎のお客さまと話しているのを聴いていると。。
    いつもベランダに来ていた
    でも今はもうやって来ない野良猫のことを思い出しました…

    ここは飼えないところなので、飼っていると誤解されないように
    来たら窓をドン!と追い払っているのを見かけてしまって。。
    猫が気の毒で可哀想で悪いことをしてしまったと
    心が痛いです…物語の主人公と重なりました。。

    いつも気持ちよさそうに寝ていたんですよ(ノω・、) ウゥ・・・
    怪我もしていたので心配です。。


    もしかしたらその猫も旅に出てるのかな。。
    また来たらいいな…


    『三分の一の魔法』も素敵でした!
    夢を追うのって素敵でかっこいいなと思いました♡
    漫画家と聞いて
    つい。。バクマンを思い出してしまいました////

    諦めちゃだめなんだ!と奮起させてくれる
    今まさに夢を追いかけている方におススメな話です(〃^^〃)

    他の話も切ないお話もありましたが全部良かったです!
    猫好きには、たまらにゃいお話ばかりです♡
    猫の国のエピソードは、まるで猫の恩返しの映画みたいです////
    救う王子様はバロンのようだなと思いました゚+.(*ノωヾ*)♪+゚


    最後のお話のラストが、あの謎のお客さまの正体…
    もしかしたらと思っていたので「やはり!」と嬉しくなりました!

    その後が気になってしまいました(*ノω・*)
    時々いつもみたいに神出鬼没な格好で、
    お話を聴かせてくれるのかなって想像してしまいました♡


    私も信じます。。
    こういう優しい奇跡って素敵ですよね;ω;

    泣いてしまうお話ばかりでした(笑)


    最初、目次を見たとき。。文字手書きかな??
    何だか手作りいっぱいの…手にとった時、
    本そのものがあったかくなるのが伝わってくるような
    素敵な一冊でした♪文字も絵もかわいかったです!!

    手書きみたいな文字、ほっこりします。。
    挿絵のイラスト素敵です!

    タイトルと一緒に、音楽も添えてあったので
    どんな曲かなと気になったので全部聴いてみました(〃▽〃)
    初めて聴く曲もあり、知っている曲もあり
    物語と一緒に楽しめました♪

    なかでも「I Will Be There with You」イイ曲です!
    もう一度聴いてみようかな。。

    子供の頃は出来なかったのが、
    大人になったら行動出来るそんな奇跡が素敵です!


    本がきっかけで音楽を聴いてみようと思ったのが
    これで2回目となりましたo((〃∇〃o))((o〃∇〃))o
    このご縁に感謝です。。


    実は前のレビューに。。こんなことを…
    http://booklog.jp/users/m-4fb0bf65119e6/archives/1/4101381615
    読み終わったとき
    次は「カフェかもめ亭 猫たちのいる時間」を読もうと心に決めていました!!

  • 暖かい時間が音楽と共に流れる本。

    この空間が終わって欲しくない…と、読み終わるのが淋しくなった。

    タイトルにある音楽を思い浮かべると、想像力が更に広がる。こんな本は久しぶり。

  • 【収録作品】猫の魔法使い/ふわにゃんの魔法/踊る黒猫/三分の一の魔法/白猫白猫、空駆けておいで/猫姫様/エピローグ~約束の騎士

  • 今回も、村山さんの作品は素晴らしい。
    カフェかもめ亭にやってくる不思議なお客様が語る、
    猫たちの物語。
    猫って、クールなイメージもあるけれど、こんなに
    人間を思ってくれるにゃんこたちに胸が温かくなる。

  • 心から愛した猫との出会いと別れがたくさん詰まってる。人の心の脆さも沢山出て来ますね。
    人って、いつも心を客観的に見つめていないと、それこそすぐにダークサイドに落ちちゃう弱い生き物な気がします。
    人の不幸を願ったり、自分の運命を呪ったり…運命なんて、自分でなんとかできるものがほとんどだし、そう出来ない場合でも、心持ち一つで毎日って変わったりするんですけど、そんな簡単なことにも気づかずに生きてる人は沢山いるんですよ。
    そんなダークサイドから一歩踏みとどまるのに、チカラを貸してくれるのが、愛する友だったりします。犬や猫…人の愛に無償で応えてくれるモノたち。
    私は犬を飼ってるから、完璧犬派なんですが、それでも心にぐっときます。愛犬に置き換えると、ボロ泣きかも。
    犬や猫を見てると、毎日美味しいご飯と愛する家族、気持ちいい睡眠があれば、他に何もいらないと思いますよね。人生シンプルさが大事なんですよね。
    うちの子にも、この先どんな別れが待っていても、こうしてずっとそばにいて欲しいなぁ。

  • カフェかもめ亭第二弾。
    今度は猫好きにはたまらない、かもめ亭を舞台に猫たちにまつわる不思議な物語を綴る連作短編集。

    村山先生というと優しいハッピーエンドの物語を書く作家さんというイメージがありましたが、今回の短編の中にはホラーテイストで少しドキリとするような物語もあり、先生の新たな一面を知ることができたような気持ちです。
    それでもやはり美しかったです。
    毎回のことですが、読んでいると自然と言葉遣いが綺麗になるような感覚に陥りました。

    どの短編も猫好きとしてはたまらない話なのですが、中でも「白猫白猫、空駆けておいで」は去年の今頃、我が家で命を引き取った野良猫のシロちゃんと重なり、涙がとめどなく溢れてきました。
    病気にかかった彼を保護して病院に連れて行ったのですが、何度も入退院を繰り返し、最期は退院できぬままこの世を去ってしまい、「シロちゃんは幸せだったのか。こんな狭いゲージの中ではなく、外で死にたかったのではないか」というように考えました。
    しかし、この話を読み、やっと「幸せだったんだな」と思うことができました。
    ありがとうございます。

    私情を交えてのレビューで申し訳ありません。
    しかし、猫が好きな方なら必ず共感できる話があると思います。
    一人でも多くの方がこの本によって癒されることを期待しています。

  • 一冊まるまる猫のお話でした。
    うん、私も猫は魔法が使えると思っている。

    数年前、ノラ猫に助けられたことを思い出した。
    精神的にまいっていたとき、ふらりと現れたノラ猫が居た。
    アパート住まいなので猫を家に入れることはできなかったけど、抱っこもさせてもらえたし撫でることもできた。
    私の精神面が浮上したころ、その子はふっといなくなってしまいました。

    そんな昔のことを思い出させる物語です。

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著者プロフィール

1963年長崎県生まれ。『ちいさいえりちゃん』で毎日童話新人賞最優秀賞、第4回椋鳩十児童文学賞を受賞。著書に『シェーラ姫の冒険』(童心社)、『コンビニたそがれ堂』『百貨の魔法』(以上、ポプラ社)、『アカネヒメ物語』『花咲家の人々』『竜宮ホテル』(以上、徳間書店)、『桜風堂ものがたり』『星をつなぐ手』『かなりや荘浪漫』(以上、PHP研究所)、げみ氏との共著に『春の旅人』『トロイメライ』(以上、立東舎)、エッセイ『心にいつも猫をかかえて』(エクスナレッジ)などがある。

「2022年 『魔女たちは眠りを守る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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