カフェかもめ亭 猫たちのいる時間 (ポプラ文庫ピュアフル P[む]1-8)
- ポプラ社 (2014年3月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591139349
作品紹介・あらすじ
風早の街、港のそばに佇むかもめ亭。
ある冬、凍てついた風とともに現れた謎めいたお客様が若き主の広海に語るのは、
愛する家族の幸福のため、小さな英雄として生きた黒猫(「猫の魔法使い」)に、
絵が好きな少女と三匹の白猫(「白猫白猫、空駆けておいで」)、
三度生まれ変わり最愛の娘を守ることを願った山猫(「約束の騎士」)と、なぜか猫にまつわる物語ばかりで――。
その店の紅茶には、魔法の香りがする。
人気シリーズ第二弾、文庫オリジナルで登場!
感想・レビュー・書評
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「カフェかもめ亭」の続編。
だが、実際には「カフェかもめ亭」の表紙に描かれた猫のイラストにヒントを得て、作者が子供向けに発表した猫にまつわるエピソードを、かもめ亭のマスター・広海に向けて、広海が子供の頃に出会った野良猫が魔法の力を借りて、人間の姿になって現れ、猫にまつわる話を語るという形式で描かれている。
猫とか魔法とか、とてもファンタジー要素が多いのだけど、この作家さんの作品はいつも人生のいいことばかりを描いている訳ではないことが特徴的。
魔法が出て来るのに、普通に助からない命もあるし、人の悪意もきちんと描かれるし、悲しい話もある。
ファンタジーが苦手な私は、いつも最初に「失敗したかも」と思いつつ、読み始めるが、いつの間にか作者の世界観に引き込まれてしまう。
子供向けの作品の方で活躍されているのか、なかなか新作が出ない作者さん。
「百貨店の魔法」はまだ読めてないけど、新たな風早の街を描いた作品が待ち遠しい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『カフェかもめ亭』の2巻です。
物語が進行するのは、カフェかもめ亭の店内だけ。
なのに、時間も場所も越えて、世界中を旅しているようです。
しかも、7つ全部が、猫に纏わるお話なので、猫好きにはたまりません。
でも、流石だなぁ、と思うのは、ただただ、猫が可愛い!というお話ではないところ。
「猫は大好きな人と一緒にいる事が何よりの幸せで、その為なら魔法も使える」、というのが、一貫したテーマなのですが、登場する全ての人が猫好きだったり善人な訳ではなく、残忍な人も出てきます。
でも、そんな中でも揺るがない、それぞれの物語の主人公と猫との絆に、あたたかい気持ちになりながらも、涙がどんどん流れてしまいます。
すべての猫と、彼らと暮らす人たちが、幸せでありますように! -
村山早紀先生の小説は、読んでいると本の中と同じような穏やかな時間を感じる事ができます。
カフェかもめ亭は曽祖父の頃から続く大好きなお店。引き継いだ広海はマスターとして日々丁寧に珈琲を淹れながらお客様をお出迎えします。
シリーズ2冊目は毎回、絵を見せながら、猫が出てくる不思議なお話をしてくれる男性が登場します。
この人自身がとても不思議なんですが、でも暖かな感じが伝わってくる。
また、毎回頼む飲み物が気になっちゃうんですよね、猫舌仕様のぬるめなお茶やホットミルク。
ラム酒入りの紅茶と薄荷風味のホットミルクは作ってみたいなぁ。
一章目の猫のクロコの物語とか三章目の踊るツキノワとか、ミステリアスでマイペース、少し怖い感じもある猫の魅力と、本当はすっごく情があって悲しいほどに尽くす魅力が伝わってくる。悲しい結果になる話もあったんですが、絵本を読むように語る書き方なので、あまり残酷な感じはありません。
穏やかな時間、香り高い飲み物、流れる音楽、、クラシックな雰囲気が目に浮かぶ描写で、すごく入り込みやすいです。
まさしくカフェで、ゆっくりと染み込むように読みたくなる小説シリーズです。 -
暖かい時間が音楽と共に流れる本。
この空間が終わって欲しくない…と、読み終わるのが淋しくなった。
タイトルにある音楽を思い浮かべると、想像力が更に広がる。こんな本は久しぶり。 -
【収録作品】猫の魔法使い/ふわにゃんの魔法/踊る黒猫/三分の一の魔法/白猫白猫、空駆けておいで/猫姫様/エピローグ~約束の騎士
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今回も、村山さんの作品は素晴らしい。
カフェかもめ亭にやってくる不思議なお客様が語る、
猫たちの物語。
猫って、クールなイメージもあるけれど、こんなに
人間を思ってくれるにゃんこたちに胸が温かくなる。 -
心から愛した猫との出会いと別れがたくさん詰まってる。人の心の脆さも沢山出て来ますね。
人って、いつも心を客観的に見つめていないと、それこそすぐにダークサイドに落ちちゃう弱い生き物な気がします。
人の不幸を願ったり、自分の運命を呪ったり…運命なんて、自分でなんとかできるものがほとんどだし、そう出来ない場合でも、心持ち一つで毎日って変わったりするんですけど、そんな簡単なことにも気づかずに生きてる人は沢山いるんですよ。
そんなダークサイドから一歩踏みとどまるのに、チカラを貸してくれるのが、愛する友だったりします。犬や猫…人の愛に無償で応えてくれるモノたち。
私は犬を飼ってるから、完璧犬派なんですが、それでも心にぐっときます。愛犬に置き換えると、ボロ泣きかも。
犬や猫を見てると、毎日美味しいご飯と愛する家族、気持ちいい睡眠があれば、他に何もいらないと思いますよね。人生シンプルさが大事なんですよね。
うちの子にも、この先どんな別れが待っていても、こうしてずっとそばにいて欲しいなぁ。 -
カフェかもめ亭第二弾。
今度は猫好きにはたまらない、かもめ亭を舞台に猫たちにまつわる不思議な物語を綴る連作短編集。
村山先生というと優しいハッピーエンドの物語を書く作家さんというイメージがありましたが、今回の短編の中にはホラーテイストで少しドキリとするような物語もあり、先生の新たな一面を知ることができたような気持ちです。
それでもやはり美しかったです。
毎回のことですが、読んでいると自然と言葉遣いが綺麗になるような感覚に陥りました。
どの短編も猫好きとしてはたまらない話なのですが、中でも「白猫白猫、空駆けておいで」は去年の今頃、我が家で命を引き取った野良猫のシロちゃんと重なり、涙がとめどなく溢れてきました。
病気にかかった彼を保護して病院に連れて行ったのですが、何度も入退院を繰り返し、最期は退院できぬままこの世を去ってしまい、「シロちゃんは幸せだったのか。こんな狭いゲージの中ではなく、外で死にたかったのではないか」というように考えました。
しかし、この話を読み、やっと「幸せだったんだな」と思うことができました。
ありがとうございます。
私情を交えてのレビューで申し訳ありません。
しかし、猫が好きな方なら必ず共感できる話があると思います。
一人でも多くの方がこの本によって癒されることを期待しています。 -
一冊まるまる猫のお話でした。
うん、私も猫は魔法が使えると思っている。
数年前、ノラ猫に助けられたことを思い出した。
精神的にまいっていたとき、ふらりと現れたノラ猫が居た。
アパート住まいなので猫を家に入れることはできなかったけど、抱っこもさせてもらえたし撫でることもできた。
私の精神面が浮上したころ、その子はふっといなくなってしまいました。
そんな昔のことを思い出させる物語です。