- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591139622
感想・レビュー・書評
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百貨店勤務三年目に個人外商部に出され、顧客の江上さんにキレて、その後課長と謝りに行った時に致命的なキレ方をして会社を辞めて社宅も出されて住むところがなくなった森が7日間に渡り友人知人の世話になる話。
いやあ、森、甘い。甘いわ。と読みながら思うんだけど森が東京の街を彷徨いながら垣間見るその人たちの様々な人生や、何故かあっさりと泊めてくれ、親切にしてくれるあったかさ。
読んでいると東京を歩きたくなったり船に乗りたくなったりしながら、最後森が成長したのか、そんなしてないのか、なんかよく分からないけど不思議と優しい気持ちになれる、そんな本でした。
表紙は前島さんか。怖いわぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「銀座に住むのはまだ早い」を読んで、この小説の事が紹介されていた。
というか、ご自身の小説の登場人物がこの街で暮してるとか働いてるとか、いろいろ紹介されてた。
森くんはデパートの外商で働いてたが、お客様とちょっとしたトラブルがあって3年勤めてたが辞めた。
自然と寮も出なくてはいけなくなり、友人の家に泊まらせてもらう日々。
海外旅行に出掛けてるお姉ちゃんが戻ってくるまで。
それぞれの友人にもいろんな出来事があり、考えがちょっと甘かった森くんも、この1週間で成長したようだ。
終わりはみんないい方向に向いて一件落着って感じ。
友達との繋がりっていいなって思えた1冊。 -
社会人としての考えの甘さから職住を失くしてしまった青年が、いろいろな人たちとのふれあいを通して成長していく青春小説。
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作者の初期作品。いかにも小野寺氏らしいストーリーでした。
森は甘い。もともと働きがいを感じてなかったとは言え、退職が衝動的すぎるでしょう。
退職すれば社員寮を出なければならないことや、頼みの姉が海外から帰るのは1週間後であることはわかっていたはずです。
なのに待てない。自分を抑えられない。短気だし思慮が足りない。なんとつまらない人物が主人公だろうと思いました。
友人・知人に当たって1泊ずつ世話になろうとするなど、実に厚かましい人間だと呆れましたが結局、泊めてくれる相手は見つかっていくのです。このあたりでおやっと思いました。
森がいい加減でだらしない人間なら、親切に泊めてくれたりはしないはずです。「甘い」と森を非難した根本でさえ、森に再就職先を探してくれたりします。実は人から信頼されるに足る人間だったのだとわかりました。
そんな森だからこそ終盤の展開は圧巻でした。
一宿一飯の世話をしてくれたツネのために一肌脱ごうとする森に、多くの友人・知人が手を差し伸べていきます。このクライマックスは実にすばらしい。いかにもな感じの予定調和であっても感動してしまいます。
そして森が自分の甘さや偏狭さを悟り、リスタートを決意するラスト。職・住ともに目処がつき、恋まで始まりそうな森の明るい前途。満足しました。 -
好きな作家さん 読みやすい。章それぞれのタイトル 俳句が いい感じ。
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<懐>
本書の感想はまあ誰でもこの本の表カバーを見ると思う事。キリンラガービールの瓶かと思ってよく見たら「キングビール」るだった。笑った。
この本は東京の西から東までのあちこちの場所をめぐって毎晩たいがいはどっかに飲みに行く話で出来ている。愛知県に住んでいる僕もコロナバイラス禍根になる前は月に一度の東京出張があってその際には東京中のあちこちに飲みに行った。池袋,新宿,吉祥寺,西荻窪,浅草は云うに及ばず。赤羽,浅草,三軒茶屋,都営荒川線で三ノ輪にも。そういう東京の吞み場を懐かしく思い出す本であった。ああ,またそう云う具合に飲みに行きたいものだなぁ。 -
軽く、でも深く感じるいい小説でした
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3月-17。3.0点。
百貨店に勤める主人公、行き先決めずに退職。
寮も出て、知り合いの家を転々とする。
ゆるーい成長物語。はっきり言ってそんなに成長しないが。
ありそうな感じが意外と共感出来た。 -
95やっぱり甘いねえ。と小春さんなら言うね。良い人に恵まれていてよかったね、って言うお話です。
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百貨店をクビになった森が宿無しで放浪する7日間。
・水曜日、第1夜 揺れ動く 高田馬場の 橋の上
・第2夜 彼方には 東京タワー 車中泊
・第3夜 川の字で ほとりを往くよ 江戸川の
・第4夜 世田谷の 壁の向こうに 妻がいる
・第5夜 焼鳥の 煙にむせぶ 町屋かな
・第6夜 天王洲 高みに浮かび さわさわと
・第7夜 地に潜り スマホが灯る 日本橋
・もう一度、水曜日 何やかや 始まりもまた 橋の上
客の傲慢に耐えられず百貨店をクビになり、宿無しになった森は、高校や大学の同級生、姉の友達、先輩などの家を泊まり歩く。
再起を図るも、起きることは良くないことばかり。
皆が世の中の理不尽を受け入れつつ、生きていることを感じ、少しずつ自分の根っこを見つけていく。
上がりも下がりもしない、皆が経験する人生。