- Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591140031
感想・レビュー・書評
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戦後の激動の時代を生き抜いた人々。声も発せなかったおとなしい少女が、戦場カメラマンとなり逞しく力強く生きていく。愛する人たちとの別離、死が彼女を強くしていく。この世の中には戦争が消えることはない。人間の最も醜い欲望、そして悲しみをカメラを通して伝えるために写真を撮り続けた一人の女性の壮絶な生涯。圧倒されました。
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読了するのに思ったより時間がかかりました。
取り上げられている戦争や事件は、どれも私が生まれる前に起こった出来事ばかりで、名前は聞いたことがあっても、その出来事がどれほど悲惨なものなのか、今まで想像したこともありませんでした。しかし、作中に出てくる出来事を1つずつ調べながら読み進めていくことで、様々なことを考えさせられました。胸が締め付けられるようでした。現在も世界では戦争が起こっているだろうし、日本でも毎日異なる事件や事故が発生しています。さらに、ネットが普及した現代だからこその誹謗中傷やいじめなど、人間が人間を傷つける出来事が多く起こっているにもかかわらず「よくある話だ」と、ほぼ無関心で生活している現状に気付き、何とも言えない気持ちになりました。
また、マリーの逆境の中でも懸命に生きていく姿に強い憧れを抱きました。どんなに苦しくても私なら大丈夫だと思える考え方がとても素敵だと感じました。私は、今の生活は辛くて嫌なことがいっぱいだと思っていましたが、マリーが経験してきたことに比べれば屁でもないと思いました。マリーのように積極的に、また笑顔も忘れず、もう少し頑張ってみようと勇気が出ました。
この作品は絶望と希望がうまく混在してると感じます。この作品に出会えて良かったです。 -
空襲で生き残った赤ちゃんの茉莉江が様々な困難に立ち向かって激動の時代を肌で感じながら生きた話
子供時代の親戚との暖かい日々、寂しい実の母親との生活、アメリカでの義父と母親との居場所がない生活、1人ニューヨークへ向かう電車で全財産を失うも狼狽えず懸命に生きていく
写真に魅せられカメラマンを目指し、小さな美しい世界を切り取る喜びを覚えたが、使命感もあり悲惨な現場を伝える報道カメラマンへ。
終戦から9.11テロまでの戦争や事件の臨場感も感じられ、すごく考えさせられる話だったし、茉莉江の人柄に惹かれ、読み終わり満足感と共に寂しさもあった。
久々にこんな読んでよかった!と思える本に出会った -
これまでに読んだ小手鞠氏の作品と比べると、こんな作風もあったのかとまず驚いた。
終戦間際の岡山の空襲のあと瓦礫の中から救い出された女性が、のちにアメリカへ渡って写真家となった。彼女はやがて運命的な出会いに導かれ、戦争や災害を扱う報道写真家への道を歩むことになる。
非常に興味深い設定ではあるのだが、第2次大戦中の空襲、ベトナム戦争、あさま山荘、三菱重工爆破、チェチェン紛争、日航ジャンボ機墜落、9.11テロ・・・とまあ、そういう場所を求めて「突っ込む」写真家だから仕方ないのかもしれないとはいえ、ネタがてんこ盛り(笑)少々お腹いっぱいの感は否めない。
でもまあ、最後で判明する「私」との関係で、時代を越えた様々な事件もうまくつながったと思いました。
表紙の写真も含めて、素敵な雰囲気の流れる一冊でした。
2018/11 -
一人の女性の波乱に満ちた生涯。
戦後から現代まで、人類の発展と戦争の歴史を辿る。
なんて波乱と愛に満ちた生き様だろう。
息つく暇もなく読まされてしまう。
伝わって来るのは、強烈な反戦への祈り。平和を望む想い。ずしりと胸に残る。 -
読みたい!と思っていたこの本、ようやく読めました。
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衝撃的だったし、こわかった。登場人物は皆、架空の人だけど、この物語で描かれていることは現実にあったこと。この本の言葉をかりるなら、忘れてはならないのにちがいないのだけれど、忘れなくては、生きていけない。そんな感じがしました。
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架空の女の一生に重ね合わせて戦後日本の場面場面を描いた力作。最初はよかったけど、途中から少し失速したかなぁ。瓦礫の中から救い出した兄貴とか、もっと後半で重要なキャラになってもよかったのでは?
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初読みの作家さん。戦中戦後を通して、報道写真家茉莉江の足跡をたどる物語。小説というよりも、ドキュメンタリーを読んでいるような印象を受けた。それにしても、内容詰め込みすぎかな?途中挟まれる、美和子の語りの部分が最後までなじめなかった。