シャバはつらいよ (一般書)

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 581
感想 : 104
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591140826

感想・レビュー・書評

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  • 少し前に書かれた本だが、ミャンマーの現状をどんな思いで感じていられるのか心配になる。
    その後、車椅子には慣れたでしょうか。
    ご活躍を期待してます。

  • 20代後半という華々しい時期に難病患者となり、長期にわたり入院生活を送っていた筆者がひとり暮らしをし、暮らしていく姿を描いたエッセイ。

    とても語り口が軽快で、まるで難病指定された病気の話とは思えないが
    内容は痛々しく、読んでいて辛くなってしまう部分もあった。

    赤裸々に書かれた文が心地よく、さくっと読めるのに心温まる。
    良い一冊だった。

  • 難病を抱え自分の体が辛い時にユーモアを言える、書ける人ってすごい。病院を出て一人で暮らし始めた大野更紗さん。「シャバ」の生活は大変なことばかりだろう。使える福祉は利用しつつも、基本的に友人家族に頼らず自分でできることが何かを考え行動していく大野さんを尊敬します。かっこいい女性だなぁと思う。

  • 『困ってるひと』のその後。『困ってるひと』ほどの密度はないものの、日本に数人しか罹患していない難病を抱えながら東京で一人暮らしを始めた大野さんの奮闘ぶりが相変わらずの軽妙な筆致で綴られている。車椅子の補助金申請が想像以上に大変で時間がかかったり、その検査を行う施設がやたら古めかしいらしく、とても障害者のための施設とは思えないほどバリアフリーがなってなかったりと、こういう行政のなってなさをというか足りなさに憤慨するだけだったらちょっと窮屈な感じを受けるんだけど、大野さんの文章は本当に読みやすいし面白い。玄関のカギを開けるのも一苦労だったり、夏の外出、冬の外出、それぞれの装備の大変さ、自力で行動できる範囲の狭さとか、(平時でこの大変さなのに東日本大震災が起こる。本当に物資がなくなる)日常生活の不便さというのは行政を変えてほしいという前にまず実際的に自分で行動を起こさないとその日その日を生きていけない、巨大な壁の連続。大野さんの目線で取材してほしいことや伝えてほしいことはいくつか思い浮かぶけれど、まずは一日一日生き延びてほしいと思いました。
    震災直後、担当医に会って大野さんが思った、「先生にとっては毎日がこういう危機的な状況でこれが日常なのではないか」というような感想が印象的だった。

  • うーん、そういうこともあるのねと気付きが多い。マンションのドアが重くて開かない、包丁を持ってカットする、ペットボトルのふた、缶詰をあけたいが、力が入らない、パスタをゆでるにもやけどでもしたら感染症になるので細心の注意が必要。追体験することはできなくても、発信された情報から想像してみることはできる、と思って読みました。分野は異なれど、再度、大学院に入学し、難病人、物書き、研究の「三位一体」をこなすことのこと。この先の情報発信も楽しみです。

  •  前作の困っているひとが「病になるということ」に観点を置くとしたら、本作は「それでも生きること」に観点を置いている。
     私にとって、ただ、普通に日常を送り、当たり前のように生きるということが難しいという現実を知ることはまず無い。

     病気になれば入院し、その間にお見舞いに行き、治ったらまた普通通りに働いて生活をするひとばかり見ているからなのだと思う。

     このシリーズがいつまでも続いて欲しいと思うと共に、新たに入った院生生活が実りあるものであることを願うばかりです。

  • 2014年刊。「困ってるひと」に続く。2023年7月現在もご存命で、先ずはホッとする。ミャンマー研究から、自身がドップリ浸かる事になった「難病・社会システム」に関して研究?されているようなので、その辺まで分かるかな?と思ったが…。
    「困ってる…」より言葉の弾け具合が落ち着いた分だけ、普通と言ったら失礼だが「体験情報」として読める。

  • かなり前に読んだことを思い出したのでメモ程度に感想を。
    難病ながら、退院して一人暮らしを始める。
    ケア用品やヘルパーなどについて、使える制度があることの大切さを感じた。
    困ったときにはもう困ってるのでなかなかアクセスするのも大変。アクセスできても時間、費用、手続きが大変。そもそも困ってないときはそんな制度知りもしない…。
    今困ってなくても明日例えば事故に合うかもしれない。想像力と聞く耳を持って、使える制度を本当の意味で使い勝手よくしておくことは、本当は皆の為。

  • 6年前に前作『困ってるひと』を読んだとき、恥ずかしながら、著者が震災をどう乗り切ったのかということに全く考えが及びませんでしたが、そのあたりのことも書かれていて大変興味深く読みました。一人暮らしをしようという考えに至るきっかけを作ってくれた人との関わりについてはちょっと切ないながら、極力読みやすく、伝わりやすく、ということを優先してきっと文章を何度も何度も推敲されたんだろうな、という印象を今回も持ちました。満足して読了。

  • 前作『困っている人』の続き、というか。後日譚というか。

    難病を患いながら一人暮らしで自活しようとしている無謀ともいえる計画を粛々と実行する彼女の強さと賢さに圧倒されます。
    適度にユーモアもあり、やはり文系大学院のひと特有の頭でっかちな感じの鼻につくところもあり、で。
    面白いです。

    日本は制度が整っているかといわれればかなり厳しいけど、その使える制度ですら受動的には受けられないんだなぁ、というのが感想。
    しっかり自分から取りに行かなきゃなのです。大変。

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