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- Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591146040
感想・レビュー・書評
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広島で原爆が投下された時、爆心地からたった500メートルの場所で、類焼を防ぐための家屋の解体作業を行っていた広島二中の一年生の消息をできる限り追ったルポ。
一瞬にして命を奪われた子供もいれば、大やけどを負いながら家に帰ろうと5キロも歩いた子供もいた。全員が死んだ。日本の勝利を信じ、自分も兵士となって戦うのだと純粋に信じていた少年たち。「天皇陛下万歳」「おかあさん」と叫んで死んでいく姿の無残さに息がつまる。川に飛び込んだ子供たちは「海行かば」を歌って励ましあったとあるが、「海行かば水漬く屍」という歌詞のなんと残酷なことか。歌詞の通り、水漬く屍となった少年たち。ほぼ全員が数日のうちに亡くなるまでを淡々と描いている。決して声高に反戦を叫んだりはしていないのだが、一人一人の姿を描いていくことで、数字ではない、個人の姿がくっきりと浮かんでくる。
読み物として面白いという本ではないが、同じ年ごろの子供を持つ親や、小中学生にぜひ読んでもらいたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示