働く君に伝えたい「お金」の教養

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591147948

感想・レビュー・書評

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  • 年金は国が無くならない限り破綻しないことや、保険のビジネスや就業不能保険というものの存在を知ることができ、今まで自分はお金について全く知らなかったと痛感しました。

    知らないと本当に損することが多いのに、どうして学校ではこういう実用的なことを教えてくれないのか不思議でならないです。

    損をしないためにもぜひ読んでおくべきです。

  • ○財布(生活費)・投資(なくなってもいいお金。自分への投資と金融投資の両方を指す)・預金(困ったらすぐ引き出せるという流動性が重要)の財産三分法
    ○貯蓄のコツは「期限と貯める額を決めたら使わない」
    ○保険の原則は「掛け捨て」
    ○若いうちこそ自己投資(本・人・旅を通じた勉強等)
    ○投資信託でフロー(収入)を増やす
    …など、分かりやすく実践しやすい原則を示してくれる。
    お金の不安に縛られない、幸せな生き方の道しるべとなる。

    著者は、他の著書でも「価値観の押しつけは大嫌い」と言っている。大切なのは、自分の頭で考えること。

    また、日本人は、現代では通用しない「高度成長期の常識」に囚われすぎていると痛感させられる。

  • アラフォーなのに恥ずかしながらお金の勉強をしてこなかった私。
    老後までにどれだけ貯めておけば安心できるか、その為に保険も賢く使って。。という内容を想像していたら全く違いました。

    老後に備えてどうお金を貯めるかよりも、老後にお金が継続的に入ってくる状態を作れていることの方が大切で、その為に「自分」に投資する、という話は、なるほどと思いました。

    将来年金はもらえるのか、老後の資金はどれだけ必要か、など、不安に思う人は20代でなくても読んでみると良いと思います。また本書はお金だけでなく、不確かな世の中を賢く生きていくためのヒントにも触れられています。読み終わると、不思議と人生頑張るぞと前向きな気持ちになっていました。

    とても読みやすく、10代でも充分理解出来る易しい説明だと思います

  • 私お金のことよくわかんないから、とても面白く読めたよ。結論、何でも自分の頭でよく考えて行動しろってことだった(笑)

  • 1287

    ゴルフ自体が好きというよりゴルフを通していろいろな人に出会えるのが楽しい。マナーのある場所で適切な距離感で社交するみたいな感じ。

    立命館アジア太平洋大学

    出口治明
    ライフネット生命保険株式会社代表取締役会長兼CEO。一九四八年、三重県生まれ。京都大学法学部卒業。七二年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当する。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て二〇〇六年に退職。同年、ネットライフ企画株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。〇八年四月、生命保険業免許取得に伴い現社名に変更。一三年より現職。『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『直球勝負の会社』(ダイヤモンド社)、『仕事に効く教養としての「世界史」』(祥伝社)、『本の「使い方」』(角川oneテーマ21)、『「働き方」の教科書』(新潮社)など著書多数。

    それでは、「どうして不安になるのか?」の前に、「そもそも、なぜメディアは不安ばかり煽るのか?」を考えてみましょう。 答えは簡単。不安を煽るほうが商売がしやすくて、「儲かる人」がいるから。それだけのことです。

    さて、これまでの説明で政府が信用できないから金融機関に自分で預けよう、という考えは間違っていることがわかったのではないでしょうか。国民年金の保険料を払うのをやめて、その分、自分で貯蓄しようとする行為などがその典型です。そういう人は、より安全なところ(国)からそうではないところ(金融機関)へと資産を移し替えていることになります。

    でも、金や銀は、多くの人が使うには発掘する量に限界があります。そこで中国の春秋時代(BC770年~)には大量に産出できる金属を原料に、加工がラクな青銅を使った貨幣が誕生し、宋の時代には紙幣も生まれました。どんなかたちになっても国家が「この通貨はこれくらいの量の金・銀と交換できます」と保証することで、貴重な鉱物と同等の価値を持つすばらしいものになったのです。

    みなさんはいま、職場に「所属しているから」給与をもらっている、と思っているかもしれません。けれど、本質的にはそうではありません。「価値を生み出しているから」こそ、お金をもらえるのです。 つまり、価値さえ生み出し続ければ、何歳になっても、食いっぱぐれることはないということです。

    社会は、ものすごいスピードで変化しています。でも、変化していることに気づいている人は、あまり多くはないのですね。 その変化を捉えるためには、X(旧ツイッター)やフェイスブックなどのSNSやメディアを盲信してはダメです。 自分で一次データを見て、数字やファクトをきちんと把握して、自分のアタマで考えるしかありません。いままで情報を受動的に受け取ってきた人にとっては一苦労でしょう。でも、これが「お金リテラシーのある人」への第一歩でもあります。

    しかし、ただ一口に「投資」と言っても、「お金への投資」に限る必要はありません。たとえば自分のために英語を習ってもよし。「うまくいく保証はないけれど、うまくいけばリターンがありそうだぞ」と思えることに使います。

    じつは、僕は「貯める」や「殖やす」よりも、「使う」ことのほうがずっと大切だと思っています。なぜなら、お金を使うってすごく楽しいことだから。そして、使うことこそがお金の本質だから。ほしいものを手に入れたり、おいしいものを食べたり、すてきな音楽を聴いたり……。 そう、お金を使うときのルールはひとつだけ。「楽しいかどうか」です。楽しく、かつマイナスにならなければ、それでいいのです。

    まず、みなさんに強くお伝えしたいのは、お金は、人生を楽しくするための手段、ツールであるということ。つまり、お金そのものに価値があるのではなく、何かと交換したときに、はじめて価値が生まれるということです。交換しないまま、使わないままに置いておいても、価値は生まれません。 じゃあ、どうすればツールとして賢く楽しく使えるか。これに関して、僕が定めているルールがあります。 それが、「オール・オア・ナッシング」の原則。100か0か。すべてか無か。いいものにはドンと大きく使い、そうでないものにはできるかぎり使わない、というルールです。

    とはいえ、僕は家からの少しの仕送りに加えて奨学金を2つもらい、アルバイトをして生活しているごく普通の大学生。いまで言えばミシュランに掲載されるような有名なお店には、普通に考えたらとても通えません。ところが僕は、1ヶ月に1回は有名店に足を運び、「なるほど、こういう世界があるんだなあ」と感心しながらおいしい食事に舌鼓を打っていました。

    お金の使い方を考えることは、自分が何を楽しいと思い何を大切にし、どんな人間になりたいかを自問自答することなのです。

    「ラテ・マネー」という言葉を知っていますか? 「毎日使うちょっとしたお金は、1回ずつの出費は少なくても積み重なると大きな額になる」という意味で使われる言葉です。習慣で買ってしまうコーヒー代がその代表格として挙げられるために、このように呼ばれています。このラテ・マネー、お金について書かれた本や記事を読んでみると、まるで害虫であるかのように徹底的に排除すべき存在として扱われているようです。

    大切なのは、世間が「いい使い方だ」と思うことではなく、自分の価値観を知り、どのように使えば自分はハッピーになれるのかを知ること。

    こう考えると、家を買うことのメリットは「老後も確実に住める家がある」くらいしかありません。それを重視するのであれば、購入に踏み切ってもいいでしょう。 いかんせん、不動産を投資目的で35年のローンを組んで買うというのは、戦後からバブルがはじけるまでの日本においてのみ意味を成した、ガラパゴス的なお金の運用方法です。 みなさんは、「たまたま」その一瞬を垣間見た、世界でもたぐいまれな世代だと思ってください。

    考えてもみてください。抜群に能力が高いのに職場ではやりたいことがやれず、一念発起してベンチャー企業を立ち上げる友人に借金を頼まれたら、「よし、化けるかもしれないから少しぐらいは貸してやろう」と思います。一方で、仕事もできない、勉強もしていない、酒ばっかり飲んだ挙げ句に「上司とケンカしたからいまの仕事を辞めてベンチャー企業を立ち上げる」と言っている人に、お金を貸すでしょうか。僕は、そんな負けが確定しているようなギャンブルには乗りたくありません。

    夜遅くまで働く。帰って、飯、風呂、寝る。また次の日も早起きして朝ごはんを食べ、職場に出かけて行く。自分ではごはんを用意する時間も、風呂を沸かす時間も、布団を敷く手間も、ワイシャツにアイロンをかける時間も、掃除する時間もない。 ……そう、家のことをすべて担ってくれる女性がいることが、企業戦士が職場で徹底的に働くために必要不可欠だったのです。 そこで爆発的に広まったのが、性分業の仕組みである専業主婦文化です。 専業主婦文化を、日本固有の伝統的なものだと思っている人もいるかもしれませんが、どこの国でも「伝統」をたどっていくと、意外とおじいちゃん、おばあちゃんくらいからはじまっていることが多いもの。自分が小さいころから体験している文化や習慣は、まるで平安時代くらいから続いているように勘違いしてしまうものです。

    みなさんの人生もこれからどう変化していくかわからないですし、社会全体も何が起こるかわからない。だから、流れる川に身をゆだねて、ゆったりと流されていけばいいのです。あなたが無理して泳がなくても、川は自然と流れてあなたを運んでくれます。行き当たりばったりのほうが人生楽しいでしょう。「何歳でこうして、何歳でこうして……」と組み立てた自分のプランどおりに進む人生なんて、ガイドブックに書いてあることを指さし確認していく旅行のようなものです。それは少し、退屈ではないでしょうか。

    というのも、みなさんを見ていると、お金に対する不安のひとつに、「貯めることへの執着」があるような気がしてならないのです。 執着とは、思考がそこでストップしてしまうこと。しかも自分のアタマで考えず、「手取りの15%は貯蓄すべき」「老後資金は3000万円必要」といった言葉を鵜呑みにして、わけもわからないまま考えることを放棄してしまうのです。そんな空気が蔓延していたから、過去の日本人の貯蓄率は、世界的に見ても圧倒的な高さを誇っていたのでしょう。

    でも、これまでの講義を思い出してください。こういった言説にもまた、必ず社会的な背景、あるいは「それで儲かる誰かの意図」があるはずです。 なぜ、貯蓄は「正しいこと」になってしまっているのか。そこから説明していきましょう。

    ある調査によると、東京で亡くなった高齢者が遺したお金の平均は、なんと3000万円だそうです。その3000万円があれば、若くて元気なときにもっと楽しいことがいろいろできただろうに……と思わざるを得ません。

    このデータによると、20代の平均貯蓄額は179万円、30代は606万円、40代は818万円となっています。「そんなにあるの?」と思われたかもしれませんね。でも、これはあくまで「平均貯蓄額」。平均は一部の超お金持ちが全体をつり上げている可能性があるため、数字を並べていったときの真ん中を示す「中央値」を見ます。するとこちらは20代では20万円、30代では56万円、40代では92万円です。取り立てて平均を気にする必要はありませんが、参考のデータを挙げてみました。

    投資の力を借りるのです。投資は、投じた価値より、返ってくる価値を高くすることを目指すもの。1の価値を3にも5にも、10にもして、「入る水の量を増やす」。お金に不安を持っていればこそ、すべきです。たしかに「投資」は確実なものではありません。損をすることもあります。「1万円使ったけれどリターンはゼロだった」「投じた1万円がゼロになってしまった」と失敗することもあるでしょう。 しかし、そのリスクを恐れて投資から目を背けたままでは、蛇口の水量は現状維持。「出ていく水を減らす」細かい工夫をこらすことしかできません。 恐怖心から投資を避け、1の価値を1のまま享受し続けるほうが、むしろリスクなのです。

    さて、投資には2種類あります。「自分への投資」と「お金(金融商品)への投資」です。 じつは、僕がほんとうに伝えたい投資の基本は、「自分への投資」。自分に投資をして、いまのみなさんが持っている価値を何倍にもすることです。そうすると、「蛇口から出てくるお金」を大きく殖やせるようになるし、おもしろい人生を送れるようにもなるからです。

    たとえば、いま100万円の貯金があるとします。また、現在の会社員の生涯年収は高卒で2億円、大卒で2億5000万円と言われています。 さて、ここで投資のセオリーを思い出してみましょう。「なくなってもいいお金をリターンが得られそうなものに投じること」でしたね。この「リターンが得られそうなもの」とは何か。 これから成長しそうなものです。 では、いまのみなさんにとってもっとも価値が大きく、なおかつ成長性が高いものは何でしょうか? いま手元にある資産の100万円? 違います。 2億円の価値を生み出す可能性がある、自分自身です。 100万円をせっせと運用しても、よほどセンスのあるデイトレーダー(一日で売買を完結させ、翌日に持ち越さない取引方法を採る個人投資家)でなければ2億円にすることはできません。2倍になっても200万円、10倍にできても1000万円止まりです。 けれど、2億円の可能性を秘めた自分自身に投資をして、将来その価値が2倍になったら4億円です。極端なことを言えば、働きながら自分に投資をして、そこで学んだことを仕事に活かした結果、年収が2000万円になるかもしれません。そうすれば、5年で億の稼ぎだって目指せるのです。 一方で、自分自身への投資をしなければ、生涯で稼ぐ額は一生2億円のまま。手元にある100万円をコツコツ運用するのと、2億円の価値がある自分自身に投資をしてその価値を増やすのと、どちらがいいのかは一目瞭然です。「何に投資をするのがいちばん得か」と問われたら、迷わず「自分自身」と答えるべきなのです。

    自分にいちばん価値があるなんて、考えてもみませんでした。出口さんが若いときは、何に投資していたのですか? それにはちゃんとリターンがありましたか? ひたすら人と会い、たくさんの本を読み、旅をしていましたね。当時は「投資」だとは思っていなかったけれど、それが後の人生を支えてくれたと実感しています。ライフネット生命を立ち上げるときも、昔お酒を飲みながらいろいろな話をした人たちにずいぶん助けてもらいました。 自分への投資は、勉強をしたり、資格を取ったりするだけではありません。自分を賢くし、結果として人生の選択肢を増やすものは、すべて投資です。 たとえばみなさんがいま、海辺にいると仮定しましょう。選択肢はいくつもあります。水泳、サーフィン、ビーチバレー、シュノーケリング、はたまた砂浜でゆっくりする……。さあ、どれを楽しみたいですか? いまそう聞かれても、困ってしまいますよね。だって、そのときの体調や気分によって、やりたいことは変わるものですから。元気が有り余っているときは朝から晩まで泳いでいたいし、いい波が来ていたらサーフィンがしたい。 このとき、自分の意志でどれでも好きなことを選べるようになるために必要なのが、投資です。 泳げるようになったり、サーフィンができるようになるためには、「学ぶ」という投資が必要です。投資して習得すれば、「泳ぐ」という選択も「波に乗る」という選択も気分次第で選べるようになるわけです。もちろん、「何もせずに砂浜でゆっくりする」ことだってできる。一方、何も投資しなければ、「砂浜でゆっくりする」ことしか選べません。 人生の選択肢を増やすのは、自分自身への投資です。習得しているときは必ずしも楽しいとは限らないし、コストもかかります。しかも「投資」ですから、リターンがない可能性もおおいにある。 けれど、一緒に波乗りした人がたまたま取引先の社長で、そこで大きなビジネスチャンスが生まれるかもしれない。ビーチバレーにハマり、思わぬ才能を開花させ、海辺の暮らしをはじめるかもしれない。「そんな話、ありえない!」と思いましたか? でも、大小を問わずあらゆる人生の可能性は、新しいことを学んだり、読んだり、足を運んだり、人と話したり、異文化に触れたりしなければ、決して生まれないのです。 そうそう、フランスの有名な画家バルテュスは、日本を訪れた際に通訳をしてくれた日本人女性と恋に落ち、その後結婚しました。彼女は当時、上智大学のフランス語学科に在籍していましたから、コミュニケーションがとれたのでしょう。人よりフランス語を勉強していた、すなわち投資していたことで、彼女の人生ががらりと変わったのです。 先ほど言ったとおり、「お金の投資」で100万円を2億円にするのは、普通の人にはかなり難しいことです。それよりは、フランス語を学ぶほうがずっとやさしい。時間さえかければ誰にでもできることですから。 自分への投資は、習得するまでの時間の差はあれど、がんばればモノになるもの。知り合いの華道の先生も、「どれだけやる気がなくても、3年続ければ師範くらいにはなれる」と言っていました。 けれど、途中でやめてしまっては絶対に身につかない。これでは投資の意味がありませんから、何に投資するにしても身につくまで続けることです。「投資は長期で」が基本です。 みなさんはまだ若く、インプットする能力も高い。僕の何倍もの成長が見込めます。僕と「ヨーイドン!」でフランス語の勉強をはじめたら、間違いなくみなさんのほうが早く習得できるはずです。

    ですから、将来を予測しようとしたり損得で考えたりせずに、「自分が好きなこと」に投資するのがいちばんです。「好きこそものの上手なれ」です。英語、ピアノ、習字、料理、プログラミング……なんでもいいでしょう。新聞を欠かさず読み続けるのも、ひとつの投資です。「いまより人生の選択肢が増えそう」「いまより賢くなりそう」なものならなんでもいいわけですから、難しく考える必要はありません。 もちろん明確な目標がある人は、それに全力で投資すべきです。一方でやりたいことがわからない人は、好きなことや興味があること、誰かに勧められたといったご縁のあるものからはじめていきましょう。 将来何がどう役に立つかは誰にもわかりません。けれど、ただ空いた時間をぼーっと過ごすのであれば、ひょっとしたら将来実をつけるかもしれないことにお金と時間をつぎ込んでみてはいかがでしょう。2億円をどれだけ膨らますことができるだろうかと考えると、なかなかエキサイティングな投資に思えませんか? 自分という圧倒的な価値の源に投資する意識を、ぜひとも持ってほしいと思います。人生最大の「投資」なのですから。

    ③長期投資で考える 
    3つのなかでもっとも大切な心得です。短期投資で儲けることは難しいのです。10年~20年のスパンで投資をし続けたとき、はじめて高いリターンを得る可能性が生まれます。その理由を説明しましょう。 みなさんは「自分の給与のプラスアルファとしてリターンを得たい」と思って投資をするわけですね。つまり、投資で生計を立ててはいないアマチュアです。 一方で、投資の世界には、その道何十年のファンドマネジャー(お客さんから預かった資金を運用する投資のプロ)や、投資を生業にしているデイトレーダーたちが跋扈しています。そんなプロ中のプロたちでさえたくさんの失敗や苦労を重ねているのに、アマチュアの自分がそう簡単に成功するはずがない。そう思いませんか? 自分が「この企業は伸びるはずだ」と思ったら、目先の価格が下がってもじっと持っておく。「10年スパンで勝負しないと、僕たちはリターンを得られないんだ」と、ぐっと唇を嚙みしめてください。──ちょっと下がったからといってあわてて売ったり、いいニュースがあるとすぐに飛びついて買ったりする人が、失敗していくわけですね。敵は、早く結果を出したくなる自分なのかもしれません。 そのとおりです。アマチュアの投資家は、買ったことを忘れるくらいがちょうどいいのです。5年、10年、20年と長くつきあい、あらかじめ目標としていた金額まで成長したとき、「いまだ!」と売る。そうすれば確実に殖やすことができます。だからこそ投資は、早いうちからはじめるのがオススメなのです。

    FXの〈デメリット〉
    メリットの裏返しで、10倍のレバレッジを使うと、10万円の資金で100万円の損失が出るリスクが発生します。数十倍のレバレッジをかければ損失も数十倍に。また、株式市場と違い、通貨市場は世界中、24時間動いています。日中であろうと夜間であろうと容赦なく為替は動くため、アマチュアには短期の取引は向いていません。 加えて、為替取引は誰かが儲かった分、誰かが損をする仕組みなので、ゼロサムゲームとも言われています。企業のように成長するものではなく、あくまで参加者同士で価値を取りあう仕組みなのです。比較的ギャンブル性の強い取引だと心得ておきましょう(もちろんレバレッジの設定を低くし、為替変動の方向性に則って中長期的に投資することも考えられますが、初心者にとってはかなりテクニカルです)。

    さて、いま紹介した5種類の投資のなかで最もオススメなのは、「投資信託」です。とりあえず投資をはじめてみたいが経験がない、毎日仕事が忙しくて価格をチェックする余裕がない、自分で運用する自信がない、というないないづくしの投資ビギナーにもっとも向いている投資法と言えます。

    たとえば、うっかり入った職場が過重労働やセクハラ、パワハラ、給与未払いなどのブラック企業だったらどうすればいいですか? 即、逃げ出しましょう。 悲しいかな、歴史を見れば明らかですが、独裁者という人間は改心したためしがありません。ヒトラーもスターリンもそうでしょう? 独裁者は死ぬまで独裁者なのですから、入った企業がブラック企業だったら、みんなで大脱走するのがいちばんです。そうすれば、ブラック企業は自然と倒産していくでしょう。 だいたい、パワハラを受けたり、望んでもいない長時間労働を強いられたり、給与をもらえなかったりしたら、何より一回きりの人生が楽しくないでしょう。心身を病む前に、スパッと辞めてしまいましょう。

    しかし、アズハル大学が示しているように、学ぼうと思ったそのときが学びどき。今の環境から脱却するためには、教育がいちばん効くのです。大学に行けないのであれば、図書館に行く、インターネットで調べる、通信教育を受ける(オンライン講義も最近では充実してきています)。知識が吸収できるものであれば、なんでも構いません。有志の勉強会に参加して仲間をつくってもいいでしょう。

    みなさんは、まだ若い。自分ではもう若くないと思うかもしれないけれど、幸いにも平均寿命は延びているので、これからの人生は長いのです。一極集中、全額投資。そうと決めたら、一度セオリーを離れ、貯蓄を忘れ、投資に振り切ってみましょう。

    みなさんは、まだ若い。自分ではもう若くないと思うかもしれないけれど、幸いにも平均寿命は延びているので、これからの人生は長いのです。一極集中、全額投資。そうと決めたら、一度セオリーを離れ、貯蓄を忘れ、投資に振り切ってみましょう。 ここで何かのスキルを少しでも身につけられれば、自分という人間にマーケットからの需要が生まれ、稼げる人になる一歩を踏み出せるはずです。ほんの少しでも自分に対して需要が生まれれば、あとはがんばって供給して、スキルアップしていくだけ。10万円を突破口にして、自分自身にレバレッジをかけていきましょう。 お金とは何か、預金とは、ローンとは、借金とは、投資とは……。政治や経済も含め、ひとつずつ知識を積み重ねて思考を深めていけば、お金にも人生にもつまずくことはなくなります。それが、じゅうぶんなリテラシーがあるという状態なのです。 大切なのは、数字とファクト。そしてそれをもとに自分のアタマで納得できるまで考えようとする姿勢です。普段からそのクセをつけておけば、いたずらに不安になることも、メディアに煽られることもなくなるでしょう。 お金に振り回されることなく、楽しく自由に生きていきましょう。

  • 直球ですっきりハッキリ伝えてくださっていて、読みやすく分かりやすいです。
    お話の順番もいいな、と思いました。
    若い世代の方にもぜひおすすめしたいです。

    お金の不安を因数分解して、「それならどうする」が明快に示されているのですが、それがまったく嫌味がない。

    それはきっと、決めつけではなくて、それぞれの事情も汲んで伝えてくださっているから。
    生命保険に長く携わってこられた出口さんのご経験の厚みが説得力を持って伝わってきます。

    40代の私が読んでもおもしろく、勉強になりました。
    今更ではありますが、早速取り組もう!と思います。

  • 非常にわかりやすく読みやすかった。

    税制度とかについて、漠然とした不安からきちんと知らないまま国を批判したりするってことが多いんだろうなと思ったり。

    個人的には、体力と気力のあるうちに使う3万円と、衰えたときに使う3万円の効用は変わるって話だったり、

    同一商品やサービスを比較して安い方を選ぶこと→倹約 であり、
    商品やサービスの質を下げても安い方を選ぶ→ケチ という違いの話が印象に残った。

    もっと金融の知識を身につけたい。

  • 自分が若い時に知っていたら、という内容ばかり。特に「自己投資」。自分の得意技を見つけること。途中でやめてしまっては身につかないので長期的な自己投資が必要。将来を予測するのは不可能。むしろ偶然の出会いや運次第。よって、将来を予測しようとしたり損得で考えずに、「自分が好きなこと」に投資するのがいちばん!
    その他、保険の話や金融投資の話も基本が良く分かりました。本書を我が子にお勧めしたいです。

  • お金について知ることができた。年金のことや保険のこと。
    使い方や貯め方、大事なのは自分の楽しいと思ったことに使うこと。自分への投資が、最大の投資だということ。例えば、本を買ってみたり、旅行に行ったり、資格試験の勉強するための参考書を買ったり。

    貯金するのも大事だけど、どう貯金するかより、どう収入を増やすのかの方がよっぽどだいじ!そのために自己投資して、収入をふやせるために日々成長することが良い!

  •   最後に。くれぐれも本書に書いてあることを鵜 呑みにしたりせず、自分のアタマでしっかり考えるようにして下さいね。(本文より一部抜粋)


    この一文に感銘を受けた。何百冊も本を読んでいると、信頼できる書き手と話半分に受け止めた方が良い書き手は区別が付くようになってくる。出口治明氏は前者だ。

     旅と読書が好きというのは本当なのだろう。殊更出典を明示せずとも、明らかに『資本論』の言説だったり、恐らくは異国の諺だったりと随所にキラリと光るような、然し細やかなウィットに富む。

     成金まがいの若僧が書いたハウツー本とは一線を画す。読んでみる値打ちは充分にあった。

著者プロフィール

出口 治明(でぐち・はるあき):立命館アジア太平洋大学(APU)学長。ライフネット生命創業者。1948年、三重県生まれ。京都大学法学部卒。日本生命入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2006年に退職。同年、ネットライフ企画(株)を設立し、代表取締役社長に就任。2008年4月、生命保険業免許取得に伴いライフネット生命株式会社に変更。2012年上場。2018年より現職。著書に『全世界史(上・下)』(新潮文庫)、『0から学ぶ「日本史」講義』シリーズ(文春文庫)、『歴史を活かす力』『日本の伸びしろ』(文春新書)、『哲学と宗教全史』(ダイヤモンド社)、『一気読み世界史』(日経BP)、『ぼくは古典を読み続ける』(光文社)等多数。

「2023年 『人類5000年史Ⅴ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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