おしょりん

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著者 : 藤岡陽子
  • ポプラ社 (2016年2月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591147962

おしょりんの感想・レビュー・書評

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  • 弟の提案しためがね製造に大反対だった兄が少しずつめがねに惚れ込み最後には全てをかけていく。そこには誰よりも弟を信じる兄と誰よりも兄を誇りに思う弟の熱い絆があった。増永兄弟の思いに胸を打たれた村人達もいつしかめがね作りに没頭していく。小さな村のめがねは世界を人生を変える事が出来るのだろうか…

    おしょりんの朝、二人の兄弟が目を輝かせ道なき道をぐんぐん歩いて行く姿が目に浮かぶ。脇目も振らずに目的地まで。それはめがね作りの険しい道を歩く二人に似ている気がした。私もおしょりん見てみたい。

    激動の明治時代、親の決めた許嫁、秘めた恋心、新しい何かを始める事の厳しさ難しさ、女の学問、朝ドラを見終わったような達成感と満足感と久しぶりのキュンを味わえた1冊だった。

    終わりの方で東京には女子のための大学もあると出てきて、ひとりニヤニヤしてしまった。「朝がきた」が好きだった私にはとても面白い本でした。

  • おしょりんの中を兄弟が歩く。
    弟が行きたいと言った方に兄が連れて歩く。
    この関係は大人になっても変わらなかった。
    行きつく先は地場産業の発展=眼鏡の製造。
    文明開化の音がする。と言われた明治。
    都会と地方の産業の差は大きく開くばかり。
    地場産業の弱い地方は土地も人もやせ細るばかり。
    その中で増永兄弟は眼鏡の製造を立ち上げる。
    0からの出発。
    失敗、挫折等々…。その都度乗り越えて行く2人の強さと脆さ。その関係に兄嫁であるむめ、従業員たち、それぞれの葛藤も書かれている。
    読み終わった後とてもお腹いっぱいになった。

  • 素晴らしかった。

    地元、福井から日本の中心へ
    世界へ発信し続ける産業を育てたいという
    兄弟の強い思いが伝わった。

    藤岡さんの優しい文章の中に
    きちんと力強さもあると感じた。

    福井で眼鏡が作られているということは
    なんとなく知っていたのだけれど、
    こんなに地元を愛する力が生んだことなんだと思うと胸が熱くなる。

    地元への愛、
    職人への愛、
    職人の愛。
    兄弟の互いを思う愛、
    妻への愛、
    夫への愛、
    かなわぬ相手への愛。

    どの愛も自分よりも相手を想うことで
    成り立つ愛だった。

    特に兄の嫁むめの決心と弟、幸八のむめを想う気持ち、これは
    究極の恋愛と言える、と思う。

    愛することは相手の幸せを願うことで
    困らせたり、ややこしくしたりすることではない。
    そしてその愛はとても強くて、
    その愛し方は難易度が高い。

    弟、幸八ぃ、めっちゃよかった。
    兄ちゃんの五佐衛門もめっちゃよかった。
    しぶかったよぉ。

    映像化、してほしいなぁ。

  • 福井の田舎の村に、眼鏡の工場を作った兄弟の物語。職人視点の話かと思ったら、経営者視点の話だったのが少し物足りなかったけど、読みやすくて面白かった。眼鏡作りに難色を示していた末吉が、娘のツネが眼鏡をかけてよく見えるようになったのを見て、気持ちを変えたシーンが好き。「めがねはただの道具やないんや。めがねは人生を変えるかけがえのないもんやったわ」

  • 福井県鯖江市で眼鏡産業の礎を築いた増永兄弟の熱い物語。素晴らしかった。ものづくりに対する情熱、試行錯誤、組織としての在り方、などなど読みどころはたくさんあるが、弟・幸八の心情が何よりいい。兄・五左衛門の妻、むめに対する秘めた愛、尊敬する兄への想い、ラストのセリフに涙が出た。「おしょりん」というタイトル(福井の方言)と、兄弟の生きた人生が重なり合った最終章に、深い感動と勇気をもらった。ぜひ映像化してほしいと思う。

  • 最初はおんな目線の話かしら?と思ったけど、うまいこと交錯して増永兄弟の挑戦と努力について書かれていた。
    職人さんのほとばしる情熱や、めがねに対する熱い思い、周りを思いやる気持ちなどバシバシ伝わってよい作品だった。初めの一歩を踏み出すのには勇気がいるけど、世界が変わるっていうはじまりの予感を思い起こさせる描写が素敵でした。

  • 今や、世界有数の眼鏡産地となった福井県鯖江市。
    その起源とも言える、1905年創業の増永眼鏡(株)。
    その創業者で、「国産めがねの祖」とも呼ばれる、
    増永五左衛門と末弟の幸八兄弟が、
    明治の御一新に取り残された福井の田舎の寒村で、
    「めがね」
    といぅ未知の道具に、寒村の未来をかけて臨んだ、
    失敗と再生、苦難への挑戦と家族愛のお話です…。

    とは言え、
    題材的には、やはり地味なところはありまして…、
    多少の地元びいきでもなぃと、なかなか関心は…?
    などとも、福井出身のボクには感じられました…。
    (作品の評価とは、全く関係のなぃところでね…)

    それでも、
    最近流行りの地方再生、産業創造といぅ視点では、
    決して、ビジネス書の類でも内容でもなぃですが、
    むしろ、オススメしたぃですね…!
    (個人的には、結構、面白かったですよ…!)

  • 昭和のTVドラマみたいな話なのに、それほど面白くもなく、夢中にもなれないのはなぜだろう、と読み終わってから考えた。特に下手とも思わなかったのだが。
    昭和のTVドラマじゃなくても、こういう筋立ての物語は、人の心をつかみやすいのに。
    まず、夫の弟を密かに思慕する女の苦悩が火事のシーンと重なる始まりは良かった。その後、なぜ彼女が弟を好きになってしまったのかが語られる。ここで、読者は、彼女が主人公であり、彼女を中心に話が進むと思うし、普通の女性読者なら、彼女に同化して読みたくなるだろう。ところがなぜかそうはならず、急に彼女は物語の脇役になり、福井で眼鏡づくりを始める兄弟の話が中心になる。
    それもそこそこ読ませるのだが、弟はまあまあだが、兄があまり魅力的に描かれていないので、読者の思い入れは置いてきぼりになってしまう。弟におとらぬ兄の魅力を読者に伝えることができれば、兄の妻(はじめ主人公だと思われた人物)の決断を読者も納得することができるのである。が、兄が、読者が惚れるほどの魅力がない。大衆小説では、これ、本当に大事。悪役の職人夫婦(こういう人物が昭和のドラマっぽい)も、もっと悪い奴にした方が物語が盛り上がった。
    作者としては福井の眼鏡産業のはじまりとともに、その中心に道ならぬ恋と、それを乗り越える夫婦愛を書こうとしたのだろう。
    こういう作品を読むと、宮尾登美子なんか、本当にうまかったなと改めて思う。こういう話は好きではないが、成功しなかった作品を読むことで、書くことの難しさと、上手い作家の実力を改めて思い知った。

  • めがね枠製造で地元を活性化させるという幸八の考えに、初めは反対していたが経営者として一緒に歩みだす兄の五左衛門。そして、職人として育ち支えていく末吉たち。外部からどんな扱いを受けようとも職人のために踏ん張り、それに報いようと職人たちが努力する、とてもお互いが思いやりあるいい職場だと思う。その末に掴んだ成功だからこそ意味がある。

  • 福井県の増永眼鏡を舞台にした小説

    会社と社員の関係は 契約でなく、信頼だと思った。仕事は 儲かるからやるのでなく、社会的意義があるから やるのだと思った

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おしょりんの作品紹介

曽祖父母や増永一期生の人々が眼鏡枠作りに取り組む中で抱えていた思いや悩みは、今の私達と共通したものであり、とても励まされました。
                                                         --増永眼鏡株式会社 増永宗大郎

めがねで世界を変えた、兄弟の魂の物語。日本のものづくりの真髄が、ここに。

明治三十八年、福井県麻生津村。増永五左衛門は、この地に農業以外の産業を根づかせるべく苦闘していた。そんな時、大阪へ出稼ぎに出ていた弟の幸八が、
当時はほとんど普及していなかっためがねに着目、村でのめがね製造を提案する。村人たちの猛反対の中、輝く地平を求めて、二人は困難な道を歩み始めるのだった--。「トライアウト」「手のひらの音符」などで注目を集める作家・藤岡陽子の新たなる代表作の誕生!

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