([ほ]4-1)活版印刷三日月堂 (ポプラ文庫 ほ 4-1)

  • ポプラ社
3.95
  • (257)
  • (416)
  • (245)
  • (24)
  • (3)
本棚登録 : 3320
感想 : 346
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591150412

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • あらすじ
     川越。閉まっていた活版印刷所が再開された。店主の弓子はまだ若いが、先代の祖父を手伝っていたが、待ちの運送店従業員ハルさんに背中を押されたのだった。
     大学進学で北海道へ行くハルさんの息子へのレターセット、伯父から引き継いだ喫茶店を営むマスターへ、俳句の入ったコースター。高校では印刷のワークショップも依頼される。
     弓子は幼い頃に母親を亡くし、祖父母と父親に育てられた。しかし、父親も癌にかかり、闘病の末他界。看病が原因で婚約者とも破談になってしまったのだった。

     活版印刷の説明も多くて、興味深い。つくづく職人技なんだと思う。普段何気なく見ている文字のクセとか、活版では文字の重みのことが繰り返し書かれていた。確かに俳句だと、一句だけ紙に印刷されていると印象に残るな。
    印象に残ったところ
    ・われの星燃えてをるなり星月夜 高浜虚子
    ・昔は銀座に印刷所が多かった。理由は有楽町に都庁があったから。役所が集中していたため、公文書の印刷の仕事が多かった。

    ストーリーも、穏やかで、今のところ棘のある人などは居ない。調べてみるとシリーズ6作出ているようで、ゆっくり読んでいくつもり。

  • 1話目が特に好き!読んでて活字の良さを感じて読書好きになりそう。どう表現したらいいかわかんないけど、紙の質感インクの匂いとか、見えないし触らないのに読んでて感じることができて好きな作品。まだ2巻までしか見てないのでまた読み続けたい。

  • 私は活字が大好き❤1話めのお話は数年前に体験した息子との別れを思い出し、気持ちがシンクロしすぎて、なんとも表現し難い気持ちになりました。私の幼い頃、母が和文のタイプライターで内職していたことを思い出した。懐かしい暖かい気持ちになれた。

  • 母のすすめで読了。読みやすく、前向きな気持ちになれる。
    4つの話が載っていて、それぞれの主人公が活版印刷を通して新たな1歩を踏み出す姿が描かれていて、読後感が良い。

    「8月のコースター」の最後のお客さんとの会話と、「星たちの栞」の栞を交換するシーンが泣けた。。

    続きも読みたい!

  • 東浩紀さんの奥様ってどんな方だろうと思って読んでみた。予想通り、感情豊かで味わい深い物語であり素敵な方なんだろうなと思った。

    「舟を編む」のときも思ったけど、言葉を扱う道具って、人の思考や表現やコミュニケーションに直接関わるものなので奥が深いし、それを生み出したり届けたりする人の責任感は予想以上に強いものだなと考えさせられた。
    そして、活版印刷を中心に交わる登場人物達の背景や心情の切実さとか純粋さが印象に残る物語だった。特に「まわりから見て個性に映るものって、その人の世界への違和感から生まれるものなんじゃないかな。それが強い人ほど人を惹きつける。でも、本人にとっては苦しいものでしょう? それに耐えられるほど強くはないかもしれない」という言葉は、日頃自分も実感していることであり、思わず唸った。
    人の生き様はそれぞれ尊いものだと感じた。

  • 【活版印刷三日月堂シリーズ01】
    活版印刷というものを知らなかったが、ほっこり系のシリーズものと知り読み始めた。

    ・世界は森
    お節介で面倒見のいいハルさん。ハルさんは夫を亡くしており、運送屋で働く。一人息子の森太郎が北海道の大学に進学するので、お祝いのプレゼントを悩んでいた。
    その時に、活版印刷の『三日月堂』の孫である弓子さんが、川越に住み、運送屋のバイトをしたいと言ってきた。
    そこで学生時代に憧れで、ハルさん自身がお祝いでもらった三日月堂のレターセットを思い出す。
    『三日月堂』は祖父母・両親を亡くし、弓子さん一人で住んでいるが、学生時代に祖父と作業をしていたため、小さい機械なら動かせるから、とハルさんのためにレターセットを作る。ハルさんの息子の想い、すごくよかった。

    ・八月のコースター
    伯父から受け継いだ喫茶店「桐一葉」のマスター岡野。
    伯父の思いのつまった店で、何か変えたいけど変えたくない。そんな時にハルさんから『三日月堂』を教えてもらい、ショップカードを作ることに。
    弓子さんは一緒に何をつくるのがいいか考えてくれ、コースターを作成する。
    岡野は岡野らしい「桐一葉」を作っていけているし、弓子さんも活版印刷にのめりこむ。

    ・星たちの栞
    高校教諭が文芸部の生徒と鈴懸学園の学園祭で、弓子さんにお願いして活版印刷のワークショップをすることに。
    教諭の友人関係と文芸部の友人関係が、文字を通して和解していくのがいい。

    ・ひとつだけの活字
    結婚式前に、川越に活版印刷のお店があることを知った雪乃。実は雪乃の祖父が銀座で活版印刷の活字店をやっており、すべて戦争で失ってしまったが、祖母がひらがなだけのフォント活字を持っており、雪乃がもらっていたので、それで結婚式の招待状を作ることになる。
    弓子さんとともに銀座の活字店を訪れ、雪乃さんの祖父のことも知ることができる。

    活版印刷の良さと弓子さんのキャラの良さが、優しい話を紡いでいく。

  • 物語りを生み出した人が居なくなっても、その影として活字が残る……残った活字が物語りとして実体になり、あとに続く誰かの中にあり続ける。
    今はいない誰かの世界が読んだ誰かの中で花開いていく。素敵で不思議な魅力です。

  • 読むの何度目だろう。
    でも、毎回好きだなと思える。

  • 心穏やかになる本。装丁が美しいのと、活版印刷って?と興味が湧き図書館で借りた。
    昔に読んだ本で記憶が薄れているからもう一度読もうと思う。
    シリーズで何冊か出版されてるので全て読みたい

  • 1作1作に人間味が感じられた。
    活版印刷にすごく興味がでた。

全346件中 71 - 80件を表示

著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『三ノ池植物園標本室(上・下)』など。

「2021年 『東京のぼる坂くだる坂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ほしおさなえの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×