(116)死に逝く人は何を想うのか 遺される家族にできること (ポプラ新書)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591153215

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  • 読んでみて、遺された家族が患者にできることは、シンプルなことだった。
    読みながら、ホスピスで亡くなった伯母を思い出しながら、自分のやったことは間違っていなかったのだなと、安堵している自分がいた。

    グリーフケアとしては、自分は、死を否定していた人である。
    伯母のためにしっかりと葬儀をやってあげなくてはならない。その想いだけで突っ走り、初めのうちは、悲しむ機会を自分は持たなかった。
    そして、伯母の妹である母も。
    それを改めて思い至った本だった気がする。

    ターミナルケアの学習の中で、キューブラー・ロスの「死ぬ瞬間」について学んだことがある。
    でも、伯母をみていた時、その通りのプロセスではなかったのを覚えている。
    著者が、その段階通りのプロセスを全ての人がいくのではなく、行きつ戻りつ、個人それぞれのパターンがあると書いていて、納得した。
    ああ、確かにと。
    プロセスは、一直線上ではないのだ。

    遺されるものができること。
    それは、「聴く」こと。
    カウンセリングと同様、その人が何を考え、どう思い、どうしたいのか。という答えは、他人が分かるものではなく、答えを持っているのはその人本人だけなのだ。

    でも、実際、近しい人だと、自分の恐怖、不安で「聴く」ことが難しくなるのだけれど。。
    頭でわかっても、行動に移すことは容易ではない。。

  • 本来の意味での癒やしが実現するためには、その人自身が問題と向き合い、取り組む必要がある。なぜなら、心が回復したり成長したりするために必要な力は、その人の中にしかない。死に直面した人の場合も同じで、癒やすことが出来るのは、本人だけ。
    死に近づいている人への点滴は、赤ちゃんに栄養を与えたり、健康な家族に食事を出したりすることとは根本的に違う。口の乾きを癒して上げたいのであれば、氷片やかき氷を少しだけあげたり。乾いた唇にクリームを塗って保湿してあげたりするだけで、患者さんの安らぎにつながる。点滴は、あくまでも医療行為であり、副作用や合併症が起こる可能性があることを忘れないで欲しい。
    死に際したとき、人は、今まで命を維持してきた様々なものを必要しなくなる。身体のエネルギーもどんどんなくなっていく。
    聴覚は最期まで残る感覚。
    人間が抱く最も古く強い感情は恐怖であり、その中で最も古く強い恐怖は、不確かさの恐怖である。
    死そのものをコントロールできないにしても、患者がなるべく、他の面で選択出来る事を増やす。それで不安を軽減できる。誰がいつ面会に来るのかなど、患者の一日の出来事において、彼らの意思をできるだけ尊重する。末期の患者さんは日々体調が変わるので、本人に選択権があることが重要。患者が好きな食べ物を選べるようにする。
    感謝や謝罪、承認の気持ち ありがとう・ごめんね・許すよ 大切な人と共有することが家族から、患者さんへ、最期の贈り物になる。
    会いたい人が来るまで待っていて、その直後に亡くなる。
    音楽には普通さを取り戻す力がある。QQLと言う言葉:Quality of Life 質:数や量を表すQuantity
    末期の病気とともに生きるというのは、今まで当たり前にやってきたことができなくなる事。音楽は、リラックスするために効果的
    最愛の人を失うことは、人生において最もつらいこと。喪失が人生で誰もが一度経験することだが、それといかに向き合うかは誰も教えてくれない。
    大切な人を失ったあとは、人生は大きく変わっていまう。それでも地球は回り続けるし、人生も続く、グリーフはつらく長い道のりだが、どんなに長い夜も明けることは知っておくこと。
    グリーフとは、直訳すれば深い悲しみや悲嘆を意味する。大切な人を失ったときに起こる身体上・精神上の変化を指す。死別はもちろん、離婚などに寄って関係が切れるとき、引っ越しで慣れ親しんだ場所から離れるとき、職を失ったとき、さまざまな状況で経験する。
    最初の一年は大きな決断をしない。遺品をどうするかという決断もすぐには行わない。物を処分することはあとからいくらでも出来る。
    自分に優しくする。肉体的にも精神的にも疲れる過程なので、セルフケア(自分を思いやること)を忘れないようにする。健康的な食事・十分な睡眠、適度な運動を心がける。

著者プロフィール

ホスピス緩和ケアの音楽療法を専門とする米国認定音楽療法士。バージニア州立ラッドフォード大学大学院音楽科を卒業後、オハイオ州のホスピスで10年間音楽療法を実践。2013 年に帰国し、国内の緩和ケア病棟や在宅医療の現場で音楽療法を実践。その様子は、テレビ朝日「テレメンタリー」や朝日新聞「ひと欄」で報道される。2017年にふたたび渡米し、現地で執筆活動などを行なう。著書に『ラスト・ソング――人生の最期に聴く音楽』、『死に逝く人は何を想うのか――遺される家族にできること』(ともにポプラ社)がある。
Twitter: @YumikoSatoMTBC
HP: https://yumikosato.com

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