かがみの孤城

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著者 : 辻村深月
  • ポプラ社 (2017年5月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (554ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591153321

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かがみの孤城の感想・レビュー・書評

  • ある事が原因で学校に行けなくなったこころ。それは行かないのではなく、行けないのだ。母親とは気まずくなり、人目が気になり外にも出られなくなる。こころの居場所はどんどんなくなっていった。
    そんなある日部屋の鏡が光り、こころは中に吸い込まれていく。鏡の中には城があり、オオカミさまがこころを迎えてくれた。そこには、こころの他に6人の中学生がいた。共通点はみんな学校に行けていない事とそれと…。

    それぞれ色々な事情があって辛い思いをしている子供たちがいる。「あなたを、助けたい」帯の言葉が胸に響く。

    どうして鏡のお城ができたのかがわかった時涙が出た。全てが綺麗に繋がり読み終わった時には色んな想いが込み上げてきて胸がいっぱいに。
    あの子たちはこれからを空想する。もちろん幸せな未来を空想をする。

    悩んでいる人たちにも読んでもらいたい。我が子にはたくさんの選択肢があるということを伝えてほしい。自分が今どうしたいのか、それを聞いてあげる事が何より大事。選ぶ事は逃げではない。

    こころのウジウジが私に似ていてわかる、わかる〜と何度も思った。親の立場としてはお母さんの気持ちもよくわかって苦しい時もあった。

  • 中学生のこころは、ある出来事を機に学校に行けなくなり、
    いつも家で過ごしている。
    ある日一人で家にいると、部屋の鏡が突然輝き始め、
    潜りぬけてみると、そこはお城の中だった。
    集められたのはこころを含め、似た境遇にいるらしき中学生が七人。
    ジャージ姿のイケメンのリオン。
    ポニーテールのしっかり者のアキ。
    眼鏡をかけた声優声のフウカ。
    ゲーム大好きで、生意気そうなマサムネ。
    ロンみたいなそばかすの、物静かなスバル。
    小太りで気弱そうなウレシノ。
    9時から17時まで滞在が許されるその城で彼らにはひとつの課題が出される。
    猶予は一年。
    戸惑いながらも七人は、少しずつ心を通い合わせていくのだか…。

    最初、中学生になったばかりのこころが学校に行けなくなる…。
    部屋の鏡が光って異世界への出入りが自由になる…ファンタジーかぁ…。
    ちょっびり、切なくなりながらもがっかりしたヾ(;´Д`●)ノぁゎゎ
    虐められた事も不登校になった事もない私ですが、でも揺れ動くこころの
    硝子の様な心がとても繊細に描かれていて凄く共感した。
    そして周りの大人の気持ちも凄く理解できたし、どうなって行くんだろうって
    グイグイ引き込まれていった。
    舞台設定が学校だけど、ファンタジー要素があるからといって子供向けじゃない。
    帯の一気読み必至!通りに本当に一気読みしてしまいました。
    読んだ本の内容をすぐ忘れてしまう私が決して忘れてしまわない。
    辻村さんの事、大・大好きになった「冷たい校舎の時は止まる」を何度も思い出した。
    あの頃の繊細で、揺れ動く気持ち・葛藤・悩み・些細な事で傷ついたり消え去りたくなったり…。
    色んな感情を思い出したし、今も硝子のハートだなぁって痛感させられた(*T^T)
    辻村さん自身が繊細な心を持っていて、
    今も忘れていないんだなぁって感じさせられた。
    少しずつ少しずつ明らかになっていく皆の姿。
    皆、辛かったんだなぁって切なかったし、最後にすべてが明らかになった時、
    本当に驚いた(゚Д゚;) 涙が零れました。

    本当に素晴らしい作品でした。
    今、現在も学校に行けない…社会で居場所を見つけられなくて苦しんでいる多くの人に、
    いや、苦しんでいない人子供にも大人にも読んで頂きたいです。
    「たかが学校」・「たかが職場」ですね(*´ー`*)♡

  • この本に出会えてよかったと、本当に思いました。
    序盤で、「これは、いじめの話なのか」と
    思って読んでいた自分を殴りたいです。
    これは、「生きる」ための物語でした。
    後半の流れは読んでいてとても鳥肌がたちました。
    "オオカミ様"のこともそうだし、城のメンバーのことも
    知れば知るほど好きになりました。
    生きてれば、きっとなにかに出会えるし
    なにかを見つけることが出来るんだ。
    誰かに誇るような
    何か特別な「才能」がなくてもいい、
    誰かに急かされて
    「生きること」を焦る必要なんてない、
    だってこれは、「君」の人生なんだから_
    そう思えるような素敵なおはなしでした。
    私は辻村さんのオーダーメイド殺人クラブも読んだことがあるのですが、いじめの描写が上手いというか
    そういう心象とか心の情景とか感情とかがとても
    リアリティがあって辻村さんは、もしかしたらそういう
    体験をしたことがあるのかなと思います。
    単なる私の勝手な想像なのですが…
    学生の方にぜひとも読んでいただきたいお話です!



  • 即、新刊購入した作品。

    『あなたを、助けたい』
    学校での居場所をなくし、不登校となり引きこもっていた中学少女の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。

    輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、謎の不思議な城。そこには主人公と似た境遇の7人が集められていた。

    7人を招いた狼仮面の少女が告げる。『ここは願いの城。城の中にはどんな願いも叶える願いの部屋があり、部屋の鍵は城の何処かに隠されている。お前たちは来年の3月30日まで、9時から17時までの時間限定で、この城にいつでも来て留まれる』

    願いの鍵探しを始める7人は徐々に仲良くなっていく。
    この7人が、なぜこの場所に?全てが明らかになる時、驚きと共に大きな感動に包まれる。生き辛さを感じている全ての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作!


    以上、そんな作品です。
    思いっきり泣けて感動しました!個人的には『ぼくのメジャースプーン』は僅差で超えられなかったけど、辻村さん作品では歴代2番目の神作品でした!

    僕自身、中学2年~卒業まで虐めに遭い、不登校までは行かなかったものの身体的拒否反応から朝に頭痛を起こし、2年間で20日ほど休みました。
    また、20歳位まで毎晩、累計2000回以上は悪夢にうなされ続けました。
    そんな過去まで救ってくれる慈愛に満ちた素晴らしい作品で、
    中学時代は苦しみから逃避するために読書に夢中になってた心境も思い出し、中学当時と同じキラキラした輝きの作品世界へ僕を導き救ってくれた本でした。

    過去でも現在でも学校や職場やあらゆる場所で居場所を無くし怯えて引きこもっている全ての方へ……届けたい・贈りたい・読んで欲しい神作品です!

    そして更には終盤、『あなたを助けたい!』と、登場人物と共に叫んで手を伸ばした方への助けたい理由が、
    僕には最上位の要因だったので、涙が溢れて止まりませんでした!

    壮丁も素晴らしく、表紙に城へと誘う鏡とヒロインと狼少女が描かれており、
    丁度最近、自宅のベッドの足下に対面する形で設置した本棚があって、そこに表紙が見えるように今作を横に置くと、
    表紙の鏡を通り抜けて、読書中の本の世界へ心身共にワープ出来たような気になれて、より読書そのものが楽しくなりました(^-^*)/

    今作を読む時も、カバーを取って表紙がきちんと見えるように本棚へ表紙だけ飾って読む事で、より本の世界へ入り込み幸せへ浸れました(*^-゜)⌒☆

    辻村さんは初期の少年少女主人公の不思議要素作品で評価されるも、
    そこで終わらずに一般人にも共感しやすい『キズナ』や、読書家には別分野に思えるアニメ業界を分かりやすく抜群に面白く感動的に描いた『ハケンアニメ』、
    不思議な要素がなく現実的要素の少年少女のみでもバッチリ感動作に仕上げた『島はぼくらと』、
    結婚や育児を経てリアルな問題を見事に昇華した『朝が来る』『クローバーナイト』等々、
    テーマや手法が変わっても、きちんとこれだけ名作が書ける降り幅は本当に素晴らしいなと思ってましたが、
    原点回帰とも言える『 少年少女主人公の不思議要素作品 』で、これだけ過去を超える感動作を産み出した事は、神々しさすら感じますし、
    今作をテーマやメッセージは変わらぬまま『島はぼくらと』のように現実的要素のみで仕上げる事も可能だったでしょうが、敢えて初期の頃のように不思議要素を加えた事により、今作を1番届けたいであろう傷付いた少年少女たちが読みやすい仕様・作品世界へ入り込みやすい仕様へ仕上げた点を深く敬愛致します。

    そして本では生まれて初めて、読者感想葉書きに感想と感謝を書いて出版社へ送る予定ですし、
    今作に出会えた事を心から感謝したいし、
    文句なしで、早くも次回の本屋大賞1位候補作品で... 続きを読む

  • 本当に素敵な作品でした。
    辻村さんの描く学生ものは
    本当に大好きだ。

    前半からあっとゆーまに引き込まれて
    読むのがもったいないけど
    読みたくてたまらなかった。

    ファンタジーなのに現実感がある。
    傷ついている戦い続けている
    子たちの話なのに読後が
    みんなの幸せしか想像つかない。
    装丁もめちゃくちゃかわいい。
    おおかみさまのイラストもかわいい。

    前半中の前半から
    これは文庫も絶対買おうって
    思えました。
    解説を誰が描くのかも
    楽しみだな。

    2017.5.27 読了

  • 鏡をのぞき込む狼の面をつけた女の子と
    それを反対側から見つめる中学生の少女・・・
    そんな表紙を見ただけで、
    『なんだ女子向きのファンタジーか』と決めつけてしまうのはもったいない!

    学校が嫌で、そんな自分はもっと嫌で
    自分の本当の味方なんてこの世には誰もいないと思い込んでいた中学生の頃の自分を
    少しでも覚えているならば、ぜひこの本を読んで欲しいと思う。

    学校に行けなくなってしまった中一の少女が
    鏡の向こう側の世界に入り込む。
    学校だけがすべてではない、同じクラスの子だけが友達じゃない、
    本当に辛いなら逃げたっていい。
    大人になれば当たり前だと思えることを
    少女はひとつひとつ傷つきながら覚え
    どんどん強くなっていく。

    読み終わって今、自分にも遠い昔
    鏡の向こう側の記憶があったのかもしれないなと思えている。
    覚えていないだけで、気づかなかっただけで
    どこかで自分をわかってくれていた人たちがいたような温かい気持ちを感じているのだ。

  • 中学生のあの頃、この本に出会っていたら、、と思わずにはいられない。帯の「あなたを助けたい」の一文に物語のすべてが詰まっている。どうか一人でも多くの子供の手にこの物語が届きますように。目の前の世界が唯一であると絶望を感じたあの頃。そんな時期を乗り越え大人になった私たちの心にもきっと温かく広がる物語。やっぱり私は辻村深月さんの物語が本当に好きだ。いやそれにしても、もっとじっくり読みたかったのに、一気に読んでしまった。後日ゆっくり丁寧に読み直したい。

  • 正直、展開は読めてしまって驚きはない。
    でも確かに救いがあるし、未来があった。
    どんな時代に生きていたってこの年頃の世界は厳しい。

    次は私の番、と言い切って、こころに手を差し伸べるアキを抱きしめてあげたくなりました。

    みんな、幸せになれ。
    がんばれ。

  • 私の嫌いなジャンルのファンタジー。
    現実には起こり得ない物語。

    またまた会社の方に貸して頂いた。

    これがとても読みやすく面白い。
    本当に面白い。ファンタジー嫌いの私が★×5 の面白さ!

    全然自分とリンクする部分も無いのだけど心はすっかり主人公に乗り移る。

    それぞれの悩みを抱え、学校に行けなくなった不登校の中学生と、ハワイに住み彼らと同じ中学に行きたかった男の子。

    彼らはある時かがみの向こう側の世界へと繋がる。かがみの向こう側の世界では、、、

    難しい表現や難しい漢字は使われておらず、表現も易しい為小学生、中学生でも十分楽しめる作品ではないだろうか。

    悩みを抱えた各世代へ勇気を与える一冊だと思う。
    とても良かった(*^^*)

  • もし、自分の部屋の鏡が光ってその裏に広がる別世界へ通じてたら。
    そして、そこで波乱万丈命がけの冒険活劇がはじまるわけでもなく、最低限のルールさえ守ればとても快適で閉じられた空間がある。
    出入りは自由、何も強制されず、プライバシーも侵されない。
    すこぶる魅力的なはずなのに、そこに選ばれたのはそれぞれの事情で深く傷つき学校や家に居場所を失くした中学生たち。
    かがみの孤城は、彼女たちの理想であり現実であり、避難場所であり逃避先であり救済の場である。

    よく練られた話で、ファンタジーでもありミステリーでもあり社会派要素もあるし、ふつうにエンタメとしても面白い。
    鍵の在り処は直前まで気づかなかったけど、彼女たち7人については割と早い段階でそんな気がしてた。
    なのでミスリードにも引っかからなかったし、予想が当たった部分もあったけど(アキとか)、それ以上に全体としてよく練られて、オオカミ少女や城の仕組みもちゃんと理由があるのがすっきりしてよかった。
    違和感はあっても絶妙に描き分けられていて、閉じられた狭い世界に生きる中学生だからこそだよなぁ。高校生や小学生だと早々に破綻する。
    そして詳しい事情が分からなくてもどこか共感して助け合おうとするのは、この微妙な価値観や社会常識の違いがあるからであり、でも彼らが中学生だからであるっていう。

    それはそれとして、彼女たち7人の抱えてる感じがもどかしいし、そうさせてしまう周囲が腹立たしいし、身につまされて怖い。
    みんなの気持ちが分かる。こころの母親の感じすごい解る。
    かがみの城は救いの場所だったけど有限の世界。
    実は最初はイジメ問題で唐突のファンタジー展開かーって思った。すみません。
    そうじゃないのは読めばわかる。
    それぞれの生きる現実世界にも救いがあり希望が見つけられてよかった。

  • 心に傷を負い、不登校となってしまった中学生のこころは家に引きこもる様に。ある日突然、部屋の鏡が光りだし、潜り抜けられるように。着いた先は城の中で、そこには同じような境遇の7人の中学生が。なぜ彼女達が集められたのか、そして学校には・・・
    時間軸に関してはなんとなく分かるような。かなりファンタジーな設定だが、現実的ないじめに関しては、希望が持てる終わり方。心温まる話。

  • 自分の居場所を求めて悩み苦しんでいる中学生の男女7人が、光り出す鏡を通って孤城で出会う。そこには"オオカミさま"がいて、期限内に「願いの部屋」の鍵を見つけると、扉を開けて一つだけ願いを叶えることができるという。またこの世界のルールを守らなければ、食べられてしまうというペナルティもある。
    パラレルワールドだと思っていたけど、時間がズレた同じ世界にいるとわかってからの展開は、一気読み。"オオカミさま"の正体からエピローグにかけては、もう涙涙…
    喜多嶋先生の「闘わなくてもいいよ」が、心に響く。
    この本、中学生の時に読みたかったなあ。もちろん大人が読んでも十分おもしろいけど。

  • おおよその結末はなんとなく察してしまった部分があったので驚きとかはあまりなかったのだけれど、それでもとても心がぎゅっと締め付けられる物語だった。
    ああそうなのか、そうだね、やっぱり!と読む手が止められなかった。

    これからも、みんなはそれぞれ戦ったり戦わなかったりしながら素敵な大人に成長していくんだろう。
    そう信じられるラストだった。

    喜多嶋先生や、お母さんがとてもあたたかかったなぁ。大人の私も、きっと怖かったよ、こころちゃん。

  • 狼のお面をかぶっているから、オオカミサマは「狼様」なのだろうけれど、時々 「大神様」かと思えてしまって不思議だった。
    この先生はひょっとしたら子供たちのうちの誰かか?と思ったり時代?と思ったり
    続きは明日と呟きながらついつい次のページを読み始めてしまう。結局夜中までかかって読んでしまった。久しぶりにやめられない止まらない本でした。

  • 辻村深月さんの本は2冊ほどしか読んでいないが、優しい本を書く方だなあ。展開は読めたので、驚きはなかったけれど、こころ以外の6人はもう、この世に存在していないのかも?と思いつつ読んでいたので…。ああ、そうやって繋がるのか、とホッとした。子供にも読ませたいな。

  • 不登校となり引きこもっていたこころ。
    ある日光る鏡に導かれた先には
    同じ中学生の男女6人と謎の「オオカミ様」。

    大筋はわりと早い時点で予想した通りではあったが
    それでもしっかり読みごたえあり。

    【図書館・初読・9月10日読了】

  • 学校に行けない子供たちの話を中心に物語が進められるが、読みやすく、読書に自己啓発させる要素もあって、読後感がとても良い作品でした。
    最後に話が全て繋がっていて、とても感動しました。


    「私が何か言わなければ、わからない方がどうかしているだろう?赤ずきんちゃんたちが一言、お互いに話し始めれば良かっただけ。そうすれば、ああ、自分たちは同じ学校なんだってすぐにわかったはずだ。お前たちは時間がかかりすぎだな。自意識過剰すぎるんじゃないか。お前たち」

  •  良かった!物凄く良かった!
     読み終えてからしばらく鳥肌が立っていた。
     面白い本はたくさんあるけれど、心が震えるような感動する本にはなかなか出会えない。でも、出会えた。

     辻村深月さんは、前に『ぼくのメジャースプーン』を読んで面白くなかったので(すみません^^;)、敬遠していたのだが、内容を見て何気なく読んでみたら・・・。これが面白くて止まらなくなってしまった。

     不登校のこころは中学1年生の女の子。ある日、部屋の鏡が光っているのに気づき、手を触れてみると鏡の中へと入ってしまった。そこには狼のお面を被った少女がいて、この建物の中にある鍵を見つけることができれば、何でも願い事が叶うという。その鏡の中の世界には他にも6人の男女がいて・・・。

     物語はファンタジー要素が強いが、こころたちのその年代にありがちな心理が上手に描けていたし、現実の世界で色々な問題を抱えたメンバーが、立ち向かっていく姿には応援したくなった。
     色々なことが1つに繋がっていく様子は読んでいて非常に気持ちが良く、ラストも秀逸。
     
     本当に素晴らしい作品だと思います。読んでいない人には是非読んでもらいたい。ファンタジーが苦手な人にも読んでもらいたい。自分もファンタジーは苦手ですが、純粋に感動しました。

  • 『冷たい校舎の時は止まる』に似た、ちょっと不思議で、ちょっと残酷で、すごく優しい物語。
    著者が年をとったのか、読者である私が年をとったのか、それとも子どもができたことが影響しているのか、『冷たい…』と比べると、子どもの目線ではなく、子供を見る大人の目線で物語に接する感覚があり、その変化が面白い。

    序盤はじわじわと絶望的な気持ちも追体験しながら、後半の救い、あたたかさには本当に優しい気持ちになれる。
    自分自身を愛せない子どもたちが、「誰かを愛せる人たち」になっていく様がすごく誇らしく感じられた。

    ”ミステリー”要素に対してヒントが出過ぎていて、わかりやすすぎる点が完全にハマれなかった点。
    とはいえ全部のオチに気づけたわけではなく、”オオカミさま”の存在の謎には気づかなかった。なんだけど、この設定がちょっと後付け感というか、物語全体の中では浮いている気がして、これもちょっとモヤッとしてしまった。

    まあ、でもそれは些末なこと。

    「誰かに優しくされた人は、他の誰かに優しくすることができる」
    前提を満たせない人も世界にはたくさんいて、ちょっと残酷なんだけど、それでも人ってそういうこと。
    子ども達に対して、その「優しさ」を提供できるように、そして親からは与えることのできない「優しさ」に出会えることを祈りながら、大人として親として、生きていかなくちゃな、なんてことを考えさせられた。

  • 「一気読み必至!」ってタイトルでしたが、前半の7人の学校に行けない中学生の話あたりが、なかなかのめり込めずに苦しんでいましたが、中盤から後半にかけては本当に一気読みでした。7人の居場所を失った中学生が、鏡の中の世界で出会う不思議な城、そこに住む狼顔の少女「オオカミさま」。最後にその少女の正体と、現実の世界を知るところで最高潮に達するいい本でした。

  • 間違えなく、2017年読んで良かった本になります。あの頃の鈍い痛みをこんなに温かく包んでくれる作品に出会えるなんて。たくさんの今を生きてる子ども達に、そしてあの頃子どもだった大人達に読んで欲しい作品です。最後はやっぱり、辻村さん♪やってくれました♪

  • 素晴らしい傑作です。月初めの幸せな読書体験でした。学校に行けなくなってしまった少女こころが、鏡の中で出会う仲間たちとの幻想の世界。でもその謎が解けたとき、目まぐるしい感動が押し寄せました。多感な年頃を辛く苦しい日々に押しつぶされてしまうのは珍しいことじゃない。最初はそんな子供たちの逃避の物語かと思っていたけれど、これは逃避ではなく前進の物語でした。最後は涙が止まりませんでした。とても面白かった。辻村さんありがとう。

  •  光り出す自室の鏡、手を伸ばせば彼らの集う「孤城」へ行ける――。不登校の中学1年生・安西こころは、鏡の中の城へ同じように集められた同世代の中学生たちと出会う。城にいるのは自分を含めた7人の「不登校」の男女、そして彼らをいざなった「オオカミさま」と呼ばれる少女。
    「お前たちには今日から3月まで、この城の中で〝願いの部屋″に入る鍵探しをしてもらう。」
     城にいられるのは9時から17時まで。願いを叶えられるのは一人だけ。
     居場所を持たない中学生たちは鍵探しを始めた。しかしそれぞれの事情を抱える7人はけん制し合い、すれ違い、ぶつかり合う。そしていつしか「鏡の孤城」が彼らの居場所となった時、終わりが訪れ、彼らの心の傷と共に全ての謎が明かされる…。
     直木賞受賞作家・辻村深月による、2004年出版のデビュー作『冷たい校舎の時は止まる』への原点回帰を思わせる珠玉の密室青春ミステリー。

     間違いなく2017年最高の一冊。550ページは中だるみなく、飽きることなく、最後まで読むことをやめられない。この世界観から、登場人物たちから、目が離せなくなってしまった。
     辻村さんは思春期特有の不安や脆さを描くのが本当にうまい。自分でもわけがわからず負の感情を膨張させ、未来に爪の先ほどの希望も見いだせず、「助け欲しい」という言葉すら吞み込んで蹲る自分が心の片隅にいる…。『冷たい校舎』の時もそうだったが、読んでいる時のイメージは「斜陽」だ。山の端や都会のビルの陰、または水平線に沈もうとする夕陽。空がトーンを落とす一方で茜色は強さを増していく。そのコントラストは見る者の心に如何ともし難い切なさを思い起こさせ、胸をギュッと締め付ける。掻き立てられるような形容しがたい哀切の一方で、そんな世界に溶けゆく自分に酔う。そんな思春期独特の雰囲気を、辻村さんは本当に丁寧に描き切る。
     最近は女性心理や家族をテーマに書いていた印象だったが、本作は『冷たい校舎』を思わせる青春ミステリーである。そのことが本当に嬉しい。登場人物のキャラ立ちが本当に巧みで、いつまでもこの世界に浸っていたいと思わせる筆力は健在だった。むしろ『冷たい校舎』は冬と雪と校舎の世界観を描き出すことに力を注ぎ多少難しい表現が見られることもあったが(そこも好きだったが…)、本作は全体的に柔らかい描写が多い印象で小中学生でもすんなりと読めるようになっている。そこにも辻村さんの作家として歩んできた道が見えるような気がしてファンとしては思わず綻んでしまう。
     辻村さんの描く世界を「斜陽」と前述したが、落ちる夕陽と思春期にはひとつだけ違いがある。それは、夕暮れを見る者はその時が必ず終わることを知っているが、思春期を過ごす本人はその哀切や絶望が永遠のものだと思っているということだ。思春期の哀切が刹那的であることを知っているのは、思春期を過ごしてきた全ての大人たちである。今の苦しみを永遠の苦しみのように感じて学校へ行けないすべての子どもたちへ、本作は強いメッセージを送る。

    「大丈夫。大丈夫だから、大人になって。」

     夕陽は必ず沈む。そして朝は必ずやってくる。悲しい茜色に染まった思春期を今過ごしている全ての子どもたちに、そしてコントラストの弱まった現実に疲れ茜色の美しさを思い出したい全ての大人たちに、本書を強く薦めたい。
     私達は皆、かがみの孤城で過ごした過去が本当はあるのかもしれない。ただ、忘れてしまっているだけで――。私やあなたを支えてくれているあの人は、あの時の仲間の一人なのかもしれない。

  • 辻村さんの原点回帰とも言われ、評価が高いこの作品、さすがです!

    それぞれの事情を抱えた中学生たちの生きづらさが痛すぎます。
    確かにあの頃って、学校が世界の全てみたいなところがあって、そこで居場所をなくすと、行き場がない。。

    違うんだよ、たかが学校!
    居場所は他にもあるんだよ!
    闘わなくていいんだよ!
    と、教えてあげたい。
    そんな、辻村さんの温かい眼差しが感じられる物語でした。
    暖かい春の陽射しが感じられるようなラストは、思わず微笑みがこぼれました←ラシクナイ

    作者インタビューで、中学生の自分に自分の作品を1つだけ渡すとしたら、この作品だと答えたように、かなりの自信作のようです。

  • 中学校に行けなくなってしまった主人公の安西こころ。鏡の誘いで城に集まった7人の子供達。
    最初は中学生の「学校にいけない」心情が丁寧に描かれています。共感できる箇所も多いです。

    物語は、学期が進むにつれて核心に迫ってきます。
    最初の章割りでもわかるとおり、山場は3月です。
    今まで、いろいろちりばめられていたヒントがうまく解決できていると思いました。

    人が生きるというのはこういう事なのだ。というヒントや生きる力をもらえる本でもあります。

    様々な理由で学校に行けなくなる。それを共感したり、理解したりするにもこの本は役に立ちます。

    全ての中学生とその親に特におすすめの一冊です。

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かがみの孤城の作品紹介

不登校の少女が鏡の向こうの世界で出会ったのは――生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。

あなたを、助けたい。

学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――
なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。

かがみの孤城のKindle版

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