風町通信 (ポプラ文庫ピュアフル た 1-1)

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 161
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (171ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591155714

作品紹介・あらすじ

「どちらまで?」
「じゃ、風町、まで」
 その町へ行くのに、特別な切符や旅券はいらない。
ナンバーに7のついた黄色いタクシーで行けるというけれど、
その町がどこにあるか運転手も知らない。
「風町」と呼ばれる架空の町でひっそりと紡がれる、
ちょっと不思議で心地よい日々。
「風町から」「風町まで」の二部構成で三十一の短編を収録。
心がほぐれる束の間のファンタジー。

もくじ

風町から 5

贈り物…6
婚礼…12
かもめ…17
青い空…22
窓ガラス…26
風電話…31
月の光…36
喫茶店…41
音楽会…46
飛行機雲…51
橋の上で…56
聖夜…61
灯台…66
トランプ…71
改札口…76

風町まで 83

日時計のジョー…84
彼女の青空…89
木の家…94
雨が待ってる…99
ゆりかもめ館…105
トマト畑に雨が降る…110
ポケットにピストル…116
アイスクリーム・ブレイク…121
名前の猫…127
地図のない町…134
夕焼け映画館139
星を拾う…145
笛吹きの木…150
風町郵便局…155 
風町まで…160

夢の芝生――あとがきにかえて…166

感想・レビュー・書評

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  • その町へ行くのに特別な切符や旅券はいらない。その町へは電車に乗っても行けるし、歩いても行ける。だけどその町は、いったいどこにあるのだろう…。

    「風町から」「風町まで」の二部構成。

    「風町から」はひとりの住人が語る風町で起こる不思議な、だけど風町にとっては普通の出来事のお話。
    「風町まで」は風町に行きたい人、行った人がそれぞれに語る風町への想い、不思議なお話。

    毎日1章ずつ読んだ。風の小包、月光計、アジサイ色の雨傘、夕焼け鑑賞、風の町。宝石のようにキラキラ輝く素敵な言葉がいっぱいで、今日はどんなお話に出会えるのか、わくわくキラキラの毎日でした。

  • 風の街を舞台にしたファンタジー短編集。
    どのお話にも、ちょっとあやしくておかしい住民が出てきて、季節の匂いがする風を感じる。
    あぁ、夢の中でもいいから、こんな世界に迷い込んでのんびりしたいなぁ。

    すごく色彩豊かな世界観だから、色鉛筆とか水彩で絵本にしたものがあれば、子どもも大好きな絵本になりそう。
    でも、ルビを振ってないから一応大人向けの本なのかな?紅茶片手にゆっくりこんな本を読めたら本当に贅沢な時間だと思う。
    他のシリーズも疲れたときに、時間を作って読んでみたい。

    お気に入り↓
    かもめ
    風電話
    喫茶店
    改札口
    日時計のジョー
    夕焼け映画館
    笛吹きの木
    風待ち郵便局

  • 読み終わるのが勿体なかった、極上のファンタジー短編集。
    随分昔だが、偕成社時代のMOEで竹下さんが連載をしていたのをうっすら覚えていた。「風町通信」は、読みたいなぁとずっと思い続けていたのだが、文庫化されていたことを最近知り、即購入。懐かしくて優しい空気感、心あたたまる作品世界。いつまでもこの風町に入り浸っていたくなるような居心地の良さ。よい作品は時間がたっても色褪せないものだなと改めて思う。頭の中で何度もリピートしたい、幻想的な表現がたくさんありました。うっとりさせられつつも物語としてちゃんと楽しませてくれる、起承転結のしっかりした展開はお見事。ファンタジーとしては勿論、短編集としても本当に良質な一冊だと思う。一気読みしたくなるのをこらえ、長い時間に渡り、ちびちび噛みしめるように読むのはなかなか楽しかった。
    リリカルな竹下ワールドをもっと体験したくなってきた。他のファンタジー作品も是非読みたいと思う。文庫化して下さい!

  • 月の光で動く器械、バケツに落ちてくる星くらげ、雨の降り出す傘。
    文字の雰囲気からしてキラキラ瞬いているような、風町の小さなお話。
    いいなぁ、こういう、ちっちゃな不思議がたくさんつまった町のお話って、いくらでも読んでいられるなぁ。

  • sg

  • 仕事のストレスに苛まれた日々の中で通勤電車内で読むこれが一服の清涼剤でした。使い古された比喩は詩歌の世界では「死喩」といい良いものではないと短歌の大家、笹公人さんが著していたのを思い出しました。「死喩」のかけらもない表現の自由さに驚きの連続でした

  • 「風町」
    存在するのかしないのか、
    するっとどこかへいってしまいそうで、
    つかみ所のないような、
    ふわふわさらさらキラキラした、
    ファンタジックで少し素敵な、

    そんな、小さなお話が詰まってた。

  • 風町という幻の町での不思議な話。
    短編連作で、きれいなステキな話。
    初期の長野まゆみをふんわりさせた感じの話が多いかな。

  • 不思議なお話の短編集。
    この作家さん初めて知りました。もとは、児童書として出版されていたみたいですね。埋もれてしまっている優れた作品を再度届けてくれる試み、とてもありがたいです。今後もどんどんお願いしたい!

  • 「風町から」と「風町まで」の二部構成で三十一の短編。短い不思議なお話の中でなんとも言えない心地よさを感じる物語であった。

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著者プロフィール

1957年、福岡県に生まれる。東京学芸大学在学中に童話集『星とトランペット』でデビュー。「黒ねこサンゴロウ」シリーズで路傍の石幼少年文学賞を、『ひらけ! なんきんまめ』で産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞。『なまえのないねこ』で講談社絵本賞など6つの賞を受賞。主な作品に「のりものえほん」シリーズ、『まじょのむすめワンナ・ビー』『トリケラトプスのなんでもないいちにち』『しゃっくりくーちゃん』『ねえだっこして』『にげろ! どろねこちゃん』『なんでもモッテルさん』などがある。静岡県在住。

「2022年 『三日月島のテール 行くぜっ! 海の宅配便(全5巻)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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