彼氏彼女の事情 15 (花とゆめCOMICS)

著者 :
  • 白泉社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (133ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592120797

感想・レビュー・書評

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  • 雨の夜に、何度目かの読了。

    当時僕は中学生でこれを読んでいて、男子校でカレカノを回し読むというのもかなり変わった少年時代だけど、思春期にこういう行間の深い作品を経験しているというのは、確実に僕の人生にとってプラスに働いているし、それから15年近く経ってすっかり大人になって読み返しても、透明な水がしみわたるように心を満たしてくれる、ほんとうに素晴らしい物語だとつくづく感じている。
    親が別居して家を出るときも、京都の大学で一人暮らしを始めるときも、会社の寮に入るときも結婚しても、何度引越しても本棚にはカレカノの14・15巻だけは常備してきたことを、僕は僕自身に感謝したい。

    彼氏彼女の2人だけの世界から、少しずつ友達を増やしコミュニティを広げていく彼女に対し、「ある言葉」をきっかけに、再び見せかけの関係へと溝を深めてしまう彼氏、有馬総一郎。
    2年後、ふとしたきっかけでマスコミに注目された有馬は、長らく連絡の途絶えていた生みの母親と接触することで、閉ざされていた凄惨な幼少時代の記憶を呼び起こされてしまう。
    好奇心から義理の両親に不義を働いてしまった後悔と、嘘をつき続けていた自分への嫌悪感、混濁する記憶の中で、自分を失いゆく有馬。
    一方の彼女、宮沢雪野も時を経て、彼の心が水面下で離れていたことに気付き、彼を取り戻し、ほんとうの意味で「彼氏彼女」として向き合うために奔走する。
    そんな重たい重たい「彼氏の事情」編。

    有馬くんの義理の両親、親友の浅葉、みんなが宮沢の救済に想いを託す姿は、まるで少年漫画のヒーローのようだ。マリオとピーチ姫とクッパの構造さながら、トゲトゲの過去というツタに絡まれた幼い有馬を、宮沢が救い出す絵のカタルシス感。こんな泣けたかな。泣けました。

    今回よく読んでみると、宮沢が過去に遡って有馬との距離が分かたれてしまった時を探す場面、「あの言葉」に辿り着いてから、呼び名が「総一郎さん」から出会った頃の「有馬」に戻っていることに気づいた。修学旅行の竹林で、2人がラブラブで名前で呼び出す話が少し前にあるのだけど、まさに「恋愛ごっこ」から振り出しに戻ってやり直す宮沢の意志を感じる。

    「私はあなたに/輝くような世界を見せてみせるわ/私を好きになってよかったと/思わせてみせる」

    太陽の彼女と、月の彼氏の話。光の強さは違っても、お互いを尊敬できることの強さ、愛することの尊さを、僕は二人に教わったんだと思う。

  • 人間には陽光型(サンシャインがた)と月光型(ムーンライトがた)が
    あるという。

    陽光型は自分で光を発せて他人まで照らすことができる。
    月光型は陽光がいてはじめて自分も光ることができるタイプ。

    一見、似た者同士の有馬と雪野だけども
    陽光型の雪野が月光型の有馬を照らし続けて
    いい関係が築けるといいですね。

  • 高校3年生編になり雪野の二人称が「有馬」から「総一郎さん」に変わったが、ACT71. 彼女のソネットで再び「有馬」に。二人の関係の経年以上に意味のある変化だったとわかった。

  • .

  • 【※コミック注意】

     ついに有馬が自分の過去を思い出して、何もかもを破壊する衝動に出る。
     両親に、実の母親に会っていることを知られ、ギリギリの状態で、でも自分を守ろうとしている有馬に、雪野が現れて、有馬に対して「話をしたい」と言う。
     でも、有馬にとっては、今は自分を支えることが限界で、太陽のような雪野のことを拒絶してしまう。
     それでも雪野はめげなくて、最後には有馬の心の奥底にあった本当の望みを見つけ出すことに成功する。
     その代わり、ちょっとした不穏な変化が雪野の身体に起こっていて、「おそらく……」と思う部分ではあるんだけど、まあそれはまだ秘密で。
     いつか、きっと明かしてくれるでしょう。

     そんなわけで、ドロドロぐちゃぐちゃになった有馬が立ち直るまでの話。

     人を愛するというのは、愛してもらって、その上で初めて出来ることなんだなあ……と再確認。
     私の愛も百パーセントじゃないけど、それでも確かに「そうだ」と思えるものをもらったから、私もそれに大事にしたいと思います。

  • ちょっと前までは、声出して笑って読んでいたコメディだと言うことが信じられないような展開ですね。

    「今 傍にいなくていついるの?」

    これは、有馬が、自分の本性が大好きな人にばれて、その人に怒りをぶつけてしまったときに、ぶつけられた雪野が言うんですよ。

    この強さを持ちたいと切実に思います。

    なんだか最近、わたしは、世の中のすべての悪いことは、「孤独感」が生み出しているような気がしています。
    「孤独」を楽しむ強さ、自立心をもてればよいのですが、なんだか本当に、「孤立」しちゃって、それが悪いことにつながってるような気がしてしかたない。

    もし、1番ひどい絶望を感じたとき、自分の闇に気づいてしまったときに、雪野みたいに言ってくれる人がいれば……。
    それだけで、すごく、生きやすい世の中になるのにね。

    そして、有馬の絶望感は、愛されなかったことではなくて……。そこまで、気づく雪野。
    それは、やっぱり物語なのだけど、そういう物語は、とても大切にしていかないといけません。

  • ※感想は第21巻のレビューに。

  • 時間の積み重ねが読者に伝わってこないのが、残念。

  • 母親の虐待を思い出す有馬。

  • 彼氏彼女の事情15
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