ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 3 (ヤングアニマルコミックス)

  • 白泉社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592141891

作品紹介・あらすじ

サクラ、サクラ──。開戦から約1か月。美しかったペリリュー島は、日米両軍が殺し合う焦土と化した。生きることすら難しい状況で、田丸は米軍の攻撃を逃れ、日中は騒音と振動と蒸し風呂のような暑さの中で眠り、夜は食糧を探す日々を過ごしていた。一方、徹底持久を命じられ、抗戦を続ける守備隊本部にも、米軍の猛火が迫る──。戦うにも武器弾薬は尽き、生きるにも食べ物が無い。極限状態の中、ついに玉砕の許可を請うが──!? 「戦場」を「日常」として受け入れることを余儀なくされ、それでも前を向いた若者の?生?の記録。
2017年7月刊。

感想・レビュー・書評

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  • 開戦から74日、天皇陛下からの「御嘉賞」は11回という異例の多さを誇ったペリリュー島の守備隊も、組織的な戦闘を終えます。
    「玉砕」という勝ち目のない突撃を命じられ、効果を上げることなく死んでいった兵士たちも悲劇ですが、「玉砕」すらゆるされずに補給もないまま「持久戦」を強いられ、病魔に苦しみながら戦う兵士たちもまた悲劇だと強く感じます。
    むしろ、本部の指示系統から離れて一日いちにちをひたすらに生き抜こうとする者たちの方が、”解放感”があるように描かれていると感じます。

    いずれにせよ、戦争という行為の恐ろしさや、国際法にもとづく「降伏」という手段を決して認めず、理論的に思考せずに困ったときには精神力で解決しようとする日本軍の体質が、本来であれば生まれることのなかった被害を生んでいるように感じてなりません。

  • たまに
    これ戦争だよな?
    と思うほど平和な空気が流れるのだけれど
    現実に引き戻される
    戦争が日常で
    日常が戦争

  • 借りたもの。
    表紙の桜は最後に玉砕を伝える電文「サクラ」を暗示するものだった。

    洞窟で火炎放射器で一掃される負傷兵。
    自身の死後、家族に恩給が支払われることを望む。
    補給も退路も用意されず(できず)、本部からは玉砕も許されず……
    極限状態で死を望む空気が蔓延する。

    燃料も食料も、医薬品もあらゆるものが底を突き、万策尽きた机の上。
    暗い壕内には他に誰もおらず、黒くシルエットだけになった大佐の姿。目だけが白く浮かび上がって見える。
    周りには蝿が飛び交い、描くことができない血と膿と腐臭がすることを感じ取る。
    その死が近いことも……

    大佐の慟哭は何であろうか……
    国のためという大義名分ではなく、単純に「敗北」という無念だと思った。
    無念…敗北という「失敗」を認めたくない、認められないという理由だっただろうか?おそらく当時の空気感はそうではなかったのだろう。
    機密保持だけでなく、誰のせいにもできないことが解っているから自害するのだろうか?しかしそれは今となっては無責任となってしまった。

    見せしめとして屈辱的な姿にされたアメリカ兵の遺体。
    その遺体が持っていた薬によって命を繋ぐ、その皮肉。

    単独行動をしていた小杉伍長は洞察力に優れ要領がいい…
    彼が最善の行動を取っているともいえる。

  • ついさっきまで話していた仲間があっという間に亡くなってしまう。
    巻頭では元気に話していた人が次々と死んでいく。
    これが戦争なんだと痛感しました。

  • 戦争モノの漫画は積極的に読むことにしているから、本作もマストか、と。ただ、著者の絵がイマイチ苦手なので、どうかな…とも思いながらトライ。3巻までひとまず読んで、悪くないけど凄く好きでもない、みたいなところ。でもこれは最後まで読みますけど。

  • 美しい表紙は玉砕の電文。

    7巻まで読んでから戻ってきてるので、もう泉くんの姿に涙が止まらないよ。島田の決意、優しさ、漢気。そうだよね、泉くんはそこに憧れて惹かれて尊敬してたんだよね。

    イマイチ小杉がわからんが、彼には彼なりの哲学みたいなものがあって、彼なりに最良を選んで生きてるんだろうなあ。

    吉敷くんは、なんか本当に頼りになるし強いけど、どこか脆くて、でも素直で本当にいい奴。

    鬼畜米兵か。仲間を焼き払って、爆撃で殺して。だから日本兵はあんな風に死体を、あんな。ああ、戦争なんて本当に嫌だ。本当にクソだ。

    本巻はついにさくらさくらの玉砕。Wikiのこの部分も本当に熾烈。この数ページのコマの紹介で私はこの漫画に出会えたので、本当に印象深い。
    死ねることを喜ぶのだ。もうようやく終わると。国と家族のために、そうやって死んだのだ。

  • ようやく探し当てた備蓄米だったが、運搬中の不発弾事故により米軍の集中砲火を受け、小隊はまたしても散り散りに。その間、束の間の安心を与えてくれた壕も、米軍の掃討作戦により傷病兵とともに焼き尽くされてしまう。米軍は遂に大山の地区隊本部に肉薄し、大佐(中川州男大佐がモデル)は持久作戦の目的を達したと判断し部下たちと共に自決する。玉砕の暗号伝は「サクラ サクラ」。灯油も尽き真っ暗な壕内での描写はあまりに痛々しい。

  • 8刷 帯

  • 開戦1ヶ月後 食糧と水は求めてる隠れ生きる

  • 「サクラサクラサクラ」ということで、表紙も桜。
    まさか3巻でペリリューの戦い終結(11月27日)を迎えるとは思いもよらなかった。

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