3月のライオン 8 (ヤングアニマルコミックス)

著者 :
  • 白泉社
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感想 : 379
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592145189

感想・レビュー・書評

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  • 宗谷名人と桐山くんの記念対局。
    向かい合って指している2人だけに聞こえる声に頼らない会話のようなものがあるのかな。
    魅了されたかのように棋譜をみつめる桐山くんが少し心配になったけど、二海堂くんとひなちゃんと、みんなの笑顔が周りにあるからきっと大丈夫。
    ずっと笑っていてほしいなと思う。

    そして柳原棋匠と島田八段の棋匠戦は、もぅ、格好いい!
    こんなにすごい戦いなんだからポスターももっとすごいの作ってください!
    (「天国からいつも見守ってるよ」的なポスターもときめかしいけれど‥)

    次巻は二海堂ワクチンの続報と桐山くんの部活動風景があると嬉しいなぁ。

  • 「早くぅ~、早くぅ~。次は『信長』が待ってるんだから」って、
    読み終わったそばから持ってかれちゃった。
    高2と高1の姪達に。
    だから、『3月のライオン』のレビューはパスするかって、思っていたら、
    彷徨の第八巻、感動しました。

    私自身が、登場しているではありませんか。

    「定年を繰り上げてくれって、内示もらってな。5月いっぱいで、退社したんだ……。ま、早い話、リストラだ」
    「―――でも、朔ちゃん、俺は、アンタはまだ、戦ってるんだって思ったら……。いてもたってもいられなくて……。」
    「俺から仕事とったら何が残ってんだ?」
    「こえーよ、朔ちゃん」

    『3月のライオン』、若い人たちだけの物語だと思って読んでいたのに。

    精一杯頑張った人間が、
    最後に辿り着く場所が、
    焼野ヶ原なんかであってたまるものか!!

    そして、涙が止まりませんでした……とはいかずに、
    Chpter79のポスターのエピソード。

    「この楕円の枠がいけないんですかね? なんていうかこう…、卒業アルバムの欠席の人みたいで…」
    「いや…取ったら取ったで、今度はなんつーか…
    『天国から見守ってるよ』的な空気感が出ちゃってさ…」

    久しぶりに大笑い。
    いまでも、思い出し笑いをして、妻に気味悪がられています。

    ここで、笑い飛ばせるうちは、“戦い続けるという事”ですよ。
    私だってまだ、捨てたもんじゃねえですぞ。

  • 人の傷みが分かる人でありたい。
    そう願ってはいるけれど、まだ程遠い。

    このマンガを読むとそんな私でも
    人の傷みが分かるような気になってしまう。

    今回はおじさんたちがメインだったけれど
    読み応えたっぷりだった。
    年をとればベテランとは呼ばれるものの、
    ゴールはまだ途方もなく先だったり、
    折り合いをつけなければならなかったり。
    敵も見方もそれぞれの人生を背負っている。

    『精一杯頑張った人間が最後にたどり着く場所が
    焼野ヶ原なんかであってたまるものか』


    これは勝負の世界だけの話じゃない。


    やっぱりすごい。人間讃歌だ。

    道行くおじさんたちに
    『がんばれ〜』ってつぶやいた。

    私もまだまだ、がむしゃらでありたい。

    • PEACEFULLY BOOKSTOREさん
      iii76385さん、コメントありがとうございます!
      こちらこそフォローしていただき、ありがとうございました。

      羽海野さんの作品は『...
      iii76385さん、コメントありがとうございます!
      こちらこそフォローしていただき、ありがとうございました。

      羽海野さんの作品は『3月のライオン』が初めてで、
      女子っぽいタッチと骨太なストーリーに
      振り幅の広さを楽しみつつ、毎回ジーンとしちゃいます。

      『ハチクロ』iii76385さんが大好きなら
      きっとこちらも素敵な作品のはず。
      読んでみようと思います!

      こちらこそよろしくお願いいたします!!


      2014/04/16
  • 二つの対照的な戦いの巻。
    前半の、静かな宗谷名人と零の戦いも良かったけれど、後半の激闘の棋匠戦が本当に素晴らしかった。

    筆者の描く物語はいつも「ガチ」で、何か曖昧に諦めたり、斜に構えたり、そういう人がいない世界だ。今回もそう。
    小さな頃から棋士として、これ以上無いほどの努力を続けて来た二人の、大人のガチンコ勝負。

    悩める老齢の棋士と言えば、2巻で松永さんが出て来たけれども。それ以上に深く、14期も「棋匠」のタイトルを保持して来た「化け物」柳原棋匠の、夢破れた仲間からのたすきの重さ、そして自分から将棋を取ったら何が残るのか、という四十にして惑わずとは全く逆の苦悩が、対局を通じて描かれていて、胸に迫る。
    線の細い棋匠が重い重いと言いながら、望むと望まざるに関わらず背負った夥しい数のたすきを、精一杯担いで届けようとする様に心打たれた読者は、きっと多いはず。

    恐らく島田八段と同年代位(もう少し上?)位の、筆者自身の人生にも通じる「託された願い」と「積み上げてきた努力」の物語は、圧倒的な説得力を持っている。

    そして二階堂が復帰して本当に良かった。
    彼には、彼のモデルとなった村山さんとは、違う人生を歩んで欲しいと、切に願う。

  • 零と宗谷の対局、二人には大きな実力差が有る。だから結果そのものはほぼ決まっている
    ここで求められているのはどれだけの将棋が指せるか。

    明確に悪手を指してしまった零はその時点で敗着と悟りつつもそこから全てを最善手のみで指してやろうと意気込む
    島田との対局の際には自分の足りなさを恥じて途中で対局を辞めたいと思ってしまった零だけど、ここでは全く逆の考えを見せている。
    この対局を思う存分「味わってやろう」との気持ちだったのかもしれない

    そうして対局が終わった零は帰るのだけど……
    ここで思わぬ展開になったね。迷子をお家に送り届けるような展開には見ているこちらまで何とも言えない気持ちに…
    それでも見えてくるのは宗谷の人間性。将棋に関わる部分では彼は鬼か神かといった所だったけど、迷う零に精算窓口やホテルを示すなど年長者としての振る舞いを見せる
    また、明かされた宗谷の事情からも判るように宗谷って将棋のために人間を辞めたわけではなくて、耳が聞こえなくなったことで将棋の世界にのめり込めるようになってしまった人間だったというわけか
    そうなった宗谷の振る舞いを見て周囲は勝手に天才だ、鬼才だと持て囃すけど、その実情はとても孤独で儚い人なのかもしれないと、零が朝起きたら消えていた描写含めてそんな風に思ってしまった


    79話から始まるのは島田と柳原による将匠戦なんだけど……
    いやはや、これがどうして予想外に深みのある重い対局を見せてくれたね
    最初は完全にギャグ調で二人のポスターも投げやりだし期待されてないのかな、なんて思ってしまったが実際は二人は周囲からの想いをこれでもかと身に纏った人間だったわけだ

    こうしてみると柳原って島田の上位存在なのかなと思えてしまう
    島田は故郷に錦を飾る為に胃の痛みと共に何十年も戦い続けた。故郷の期待は島田の重圧となりつつも一方で諦めさせない強さとなった
    対して柳原も長い棋士人生の中で諦めざるを得なかった人々の想いを雁字搦めになるまで身に纏っている。それが柳原の重厚な力の源泉となっている
    二人は似ているようで少し違う。島田は棋士になれなくて故郷に帰った自分を夢に見ていたけど、柳原には棋士を辞めて残るものなんて想像できない。また幾重にも絡まった想いの襷は柳原に棋士を辞めることを許さない
    けれど、棋士を辞められないとの想いがまるで将棋盤にしがみつかせるような、それでいて誰にも退かせられないような将棋を指させる

    全てを拾い、全てを捨てないまま永世称号を獲得した柳原
    それだけでなく、焼け野っ原にいるようだと漏らしていたがんちゃんに頼み集合写真を撮るシーンは感動モノ
    柳原が火だるまになっても離さなかったものの価値が集約されているような気がした

  • じいちゃん!(最大の敬意を込めて)

    と思わず握りこぶしを固めてしまいましたよ。
    大好きな島田さんには勝ってほしいのですが、
    今回はやっぱりじいちゃんでしょ。
    さすが羽海野先生、分かっていらっしゃる。

    この漫画を読むと、
    生きるのは何てつらいことかとつくづく思わせられる。
    自分の好きな将棋をして飯を食えるなら幸せじゃんなんて、
    口が裂けても言えませんよね。
    自分の好きなものを仕事にするのは、
    自分で自分に呪いをかけるよなものです。
    どれだけつらくても逃げることのできない呪。
    でも、そこでもがくからこそ輝くことができる。
    いくつになっても輝くことができる。

    自分も自分の仕事の中でもがくしかないな。

  • 泣かなかったw

    宗谷名人は、零をさらに高みへと連れていってくれそうですね。

    柳原棋匠と島田八段との戦いは、地味、地味でしたww

    二階堂が出てくるシーンが好きだった。
    二階堂って将棋を愛してるね。
    そんな二階堂も零を人間的に高めてくれている。
    零と二階堂、末永く棋譜を残していって欲しいです。

    ひなたと零の2人の会話がもっとほしかったな〜

  • 「戦い続けることの重みを読者に投げかける」というような文言が8巻の背表紙の解説に書かれてありましたが、やっぱりベテラン柳原棋匠の戦いっぷりが印象的で、カバーイラストになっている、無数のタスキに絡め取られながら振り向く柳原棋匠のあのシーンが本巻のハイライトでしょう。何年もその道を歩み続けてなおアグレッシブな攻めをみせる姿は、背負うものが大きいからでもあるんだろうなとしみじみ思いました。

  • いつもながらに感心してしまう。
    何でこんな物語を紡ぎ出せるのかな。
    零くんと宗谷さんの音のない闘い、島田さんと柳原さんの病弱同士の手に汗を握る熱戦。。

    三姉妹の登場は少なめだけど、夏祭りの白玉には思わずにやり、じゅるりと。
    読み終わるのがもったいなくてもったいなくて、ひと匙ひと匙大事にいただきました。

  • 宗谷名人が、音の無い世界に暮らす人であったことが、
    自然に描かれています。
    恐らく勝負のプレッシャーや繊細さからくる
    難聴なのかもしれませんが…。
    名人と桐山くんの、静かな心の繋がりが美しかったですね。

    しかしむしろこの巻の読ませどころは棋匠戦。
    柳原棋匠と島田八段の熱戦が素晴らしかったです。

    なにも背負ってこない人生は、気が楽ですが薄い。
    たくさんの事を背負いつくして来た人生は、
    重く、本人には焦土しか見えなくとも、
    その後には緑が芽吹きます。

    まだ柳原棋匠のところに追いつくまでには、人生の年数は
    まだまだですが、重いばかりでなにも残っていない自分の
    人生を思うと、惨めで涙がこぼれそうでした。

    そうして、涙などでどうにかなった気になる、自分もイヤで。

    壊れかけた身体にもこころは瑞々しいまま宿るかもしれないし
    老いていても燃える火は誰もが自分なりに持っている。

    どんな、惨めなひとも、素晴らしい業績を持った人も
    人生を生き抜いていくっていうことは、熱く、苦しく。
    誰かに軽んじられるなどということは許されない。

    そんなことを思いました。

    ああ、それからもうひとつ。

    川本家のほんわりした風景が挟まれているのは一種の
    清涼剤のようなものですが、二海堂くんと桐山くんの
    「名前のつく技」の場面など、ふと優しい風が吹く場面が
    あるのがよかったです。

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著者プロフィール

東京都出身の漫画家。デビュー作品、 美術大学を舞台にした青春漫画『ハチミツとクローバー』が大ヒットとなり、アニメ化・映画化された。 2007年より『3月のライオン』の連載を開始。 同作はマンガ大賞や講談社漫画賞、手塚治虫文化賞などを受賞した。

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