秘密: トップ・シ-クレット (7) (ジェッツコミックス)

著者 :
  • 白泉社
4.43
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本棚登録 : 930
感想 : 86
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592145370

感想・レビュー・書評

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  • 出色の出来。
    死者の脳から記憶を掘り起こすという舞台設定をこれほど効果的に見せられるとは!

    作品は有名なある事件を下敷きにしていますが、それよりも「復讐の為鬼になる」と決めた犯人の、周到に練り上げられた復讐そのものが恐ろしく、おぞましい。しかし、その気持ちに到るまでの思いを考えるとやり切れません。どんでん返しと伏線の巧みさに唸らせられ、サスペンス色も強い上に、薪さんの正義感や自分の職務への誇り等等、無駄な頁は一切なく、現存完全な作品と言っても過言ではないと思います。
    グロもなく、絵柄で引かずに是非一読を。

  • 清水玲子著『秘密:トップ・シークレット7(Jets comics)』(白泉社)
    2009.11発行

    2017.3.5読了
     アニメで放送されていたらしい。死んだ人の脳を解析することでその人の記憶を映し出し、犯罪捜査を行う第九という警察組織の話。
     少女漫画という位置付けだが、話がものすごくシリアス。特にこの7巻は、外務大臣の娘が誘拐される話だが、最後の最期に全ての因果が跳ね返ってくる残酷な結末が待ち受けている。最後のシーン、薪室長の情け容赦のない罵言と酷薄な表情と言ったら……。薪室長の突き刺さるような怒りが読む者にストレートに伝わってくる。

    URL:https://id.ndl.go.jp/bib/000010615352

  • Case 7. 外務省大臣長女・千堂咲

    連載時から大分経っているので、未読のように楽しめた(笑)

    気になるのは、果たしてこの父親は、自分が「二回も見捨てた」実の娘に、自分が生物学上の父親であると名乗るのか否か?

    14年も慈しみ、そのために殺人まで犯した義理の娘に、自分は生物学的には他人である(他人と知っていたら殺人などしなかった)と伝えるのか?

    もし本人が口をつぐんだとして、
    事実を知る二人の母親は、娘に真実を伝えるのか?


    何も伝えないのがベストのように思えるが、
    なによりも「血」を重視しているようなので、遅かれ早かれ実の娘には「父」と認めてもらいたくて、言ってしまいそうな気がする。
    普通の流れだと、こちらの義理の娘には育ての父がいる訳なので、すんなりとは受け入れてもらえないような気も。


    ハッピーエンドにすることも、バッドエンドにすることも可能な終わり方。
    日本人的な思考だけど、まぁ、因果応報ということで、両方の娘を失うのが妥当かなと思ってしまうけど、物語としてはそれはどうかなとも思うので、
    結末を描かなかったのは正解。


    余談
    元大臣が妻と娘に会いに行かなかったことに関連して。
    咲が「父」に見せたかった雑誌などがビリビリに破かれており、泣いている。母親も泣いている。
    昔は「父が来なかったからかなー」とあっさり流してたけど、よく考えたら、それぐらいで雑誌破いて突っ伏して泣いて、母も泣いているのはおかしい。
    なぜか知らないけど、うっかり母が血が繋がってないことを言ってしまった?いやでも、それならショックは受けても、記事を破るほどじゃない。
    破るぐらいの衝撃なら「他人」「知ってたら殺人なんてしなかった」発言を知るぐらいじゃないと…、とは思うけど、あの短時間でその情報が伝わるには無理があるし、あそこに居合わせた人でそれを本人達に言うような人たちもいないはず(仕事で来てるし)。
    時系列で見ると辻褄が合わないけど、私はこれが作者のこの物語の「終わり」のヒントなのかなと思っている。

    あと、もう一つの、元大臣への「復讐」としては、仕掛けた方も確証はないけども未必の故意的な復讐として、「浮気されたと思い込めばいい(または、浮気されたことを知ればいい)」というのがあったと思う。
    個人的には、妻は浮気したんじゃなくて、精子の提供を受けたんじゃないかなと。元大臣は妻を「裏切り者」呼ばわりしちゃったし、これも本人に伝われば、結構な楔になると思うんだよねー。
    「別に隠すことないじゃん」って思うかも知れないけど、あの元大臣が、他人の子供を育てることに同意するとは到底思えないから、妻が隠す気持ちもよく分かるんだよね。



    特別編 一期一会
    薪が誰にメール送ったかが気になりすぎる(笑)

  • 凄い話だった。
    人間の醜さをこれでもかと見せつけ、ラストは畳み掛けるようなどんでん返しの連続。
    千堂大臣はホント人として最低だなと思うけど、政治家にはこういう人たくさんいるよなあ、という。

    ラスト、ニュースの声が「幸せな3人だけの家族の時間を過ごしている事だけは間違いないとお伝えして終わります」と読み上げる内容と、真実とが余りにも乖離していて、それがまた何ともやりきれない。

  • ここまで読んできて、一番良い話だった。良いというのは、語弊があるかも。とても考えさせられる。
    北朝鮮拉致被害者の家族、外国で反社会勢力に誘拐される日本人、よくニュースで見ていた事へ新たな視点で考えるきっかけを与えてくれる。
    大臣への社会の反応と、実際の大臣の行動のギャップ。
    どんな事もあらゆる角度から見ることが大事だと思った。

  • この7巻が作品的にも最もクオリティーが高い。

    人違いと知ったとたん、人命より己の立場を優先させた大臣に静かにキレる薪さん。
    閉じ込められたのがもし「薪さんだったら」と青木に言われハッとする薪さん。
    無謀な青木に対し「僕がすべて指示を出す!」とリーダーシップを発揮する超カッコイイ薪さん。
    総監に怒鳴られ一瞬ひるむも、外のヘリの音に命をかけて少女の救出に向かった青木を思い出し、毅然とした表情に変わり総監に進言する薪さん。
    無事戻った青木を見て、思わず感情があふれだし、抱きついてしまった薪さん。
    そこに雪子が来て、青木からすっと離れる薪さん。
    雪子と青木の触れ合う手を見、二人を見、青木の表情を見てから目を伏せてエレベーターの扉を閉め去る薪さん。


    薪さんはもとより、ここに来て青木の感情にも変化があらわれている。

    親と子の絆をテーマにしているが、season0の原罪を読んだ後に読むと、薪さんの心情はいかばかりかと。

    犯人である淡路にどうしても共感してしまう。
    大臣には嫌悪感しかないが。

    読むたびに あちこちに散りばめられた細かい心理描写に気づくので、マンガってすげえなと。

    あ、清水先生がすごいのか。

  • 犯人が怖いというよりも、最後の薪サンが一番怖いと思ってしまう巻でした。
    どんでん返しが凄い!もう、魅了に魅了されて何度再読したことか!!
    テレビの音声と現実の違いが、より一層この話を深くさせてくれます。

  • 凄かった。
    眠る前にと読み始めたけど、読み進めるとどんどん目が冴えてぐさぐさ突き刺さる感じで。

    この話の薪さんの言葉や行動には賛否両論あるんだろうと思う。それは大臣の態度だけでなく、薪さん自身がプライベートでもぐらぐらしていたせいもあるだろうし、いろんな映像を見続けた影響がないとも言い切れないだろうとも思う。
    でもホント、薪さんには幸せになって欲しいなと思います。

    そういえば、地元の地名が出てきました。見たときは変な声が出ました。この世界にどっぷり浸りこんでいたはずが、一気に作品世界が身近なものになりました。

  • 『今助けを求めている被害者があなたのお子さんだったとしても
    同じ判断をしますか。』

    1から10までこの理屈が通るわけではないのは重々承知。
    それを全面に出し過ぎることを『公私混同』と呼ぶのも重々承知。
    ただし、その質問にきっちり向き合って考えて、ハッキリ自分なりのYES/NOを言えるくらいの覚悟をもって事に当たっている人がそう多くなさそうなのもどうやら事実。

    フィクションの中でのみ成立する胸熱シーンだと言われがちだが
    胸熱だと思うなら現実の世界でもやったらいいじゃない。




    ところで三好センセイが明らかに『バカな女』化しているのはどうしたらいいのでしょうか
    恋しちゃうと女ってバカになっちゃうの的なキャラに変更なの?

  • この巻を読んで、改めてこの作品の凄さが分かりました。
    作品傾向としては社会風刺派だと思う。とにかく
    裏の裏の裏をかいた凄い展開なので・・お勧め。

    ちょっとつらつらなのですが
    青木が何故あそこまで雪子先生をモノにしようと急ぐのか
    納得がいかないというか・・なんというか、好きになる経過、
    起「承転」結あたりを飛ばしまったと思うんです。(なので終始モヤモヤ
    みんなそれぞれが薪という人間に(形はどうであれ)執着
    し過ぎていて、事件やモラル等含めたがんじがらめの現実を
    認めたく無いが故意地になっているというか・・うーん

    というか同性愛的な要素があるので
    うん・・ううん?となる。友愛なの親愛なのか恋愛なのか、
    色々曖昧なのも魅力の一つなのでしょうか・・なんか描写が
    変に色気あるんだよな・・8巻次回帰国時に。

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著者プロフィール

十文字学園女子大学名誉教授。桐朋学園大学(ピアノ専攻)卒業後、NHKラジオ幼児番組「ピッポピッポボンボン」、教育テレビ「ふえは歌う」などにピアノのお姉さんとしてレギュラー出演。現在は後進の指導をはじめ、朗読ミュージカルのピアノ演奏、雑誌等での音楽あそびやリズムダンスなどを発表し好評を得ている。

「2022年 『保育のうたあそび決定版-ワクワク☆春・夏のうた-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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