花よりも花の如く 3 (花とゆめCOMICS)

著者 :
  • 白泉社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (177ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592174431

感想・レビュー・書評

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  • 楽の茶髪について、お客様のこと、ひいては舞台のことを
    気遣って染めるべきという意見なら分かるが
    そうでない理由で批判してくる意見は腹立たしい。

    自分ならこうしないのにと思うことをされるとイラつくが
    「それは実は自分に一番近い人かもしれない」
    というおじいちゃんのアドバイスが結構衝撃だった。
    生まれた時はみんなまっさらで
    あらゆる性格の人間に育つ可能性があった、
    だから憲人がその人のように育つ可能性もあった
    という考え方は想像だにしなかった。
    そうならなかったのは、認めたくなかった自分を押し込めて今の自分になったし
    だからそれを発揮する人を苦手に思うのも当然
    と憲ちゃんを肯定してもくれているし
    それは自分の一部で自分の影だ
    というのがなるほどなぁと思う。

    お母さんが憲人じゃないと無事終わらないわよ
    と言ってくれるシーンも良かった。
    確かに同年代だとストレスだし、若手の中では
    憲ちゃんが一番うまくこなせそうだ。

    言われた時は腹も立てていただろうに
    お舞台のあとそっと渡会さんにお茶を出す楽くんもとても良い。

    父が先生でなければ能もいいかも、という直角さんからのお手紙にちょっと笑ってしまった。

    諸説あるが、影向の松と鏡板の言い伝えが好きだ。
    連綿と続いてきた伝統芸だからこそ
    先人たちの思いがつまっていて、だから今がある。
    小太郎さんを招きたいという憲ちゃんの思いが伝わったのだと
    シンプルに思える。

    稽古で作るのは自信、というのもよく分かる。
    よく稽古をするのは不安だから。

    役に入り込み、国土創生を語るのに夢中になっていた、
    というシーンがとても良かった。
    停電でマイクが切れたからお客さんがかえって集中して、
    中途半端なタイミングで電気を戻してそれが切れるのも嫌だし
    でも暗いのは危険だってわかってたのにと
    謝るところ、全てが西門らしい。
    木霊する囃子の音、暮れていく空、地平線、
    星が見え始めてすべてが完璧で止めたくなかった。
    この表現でその場の空気感や光景が目に浮かぶようだった。

  • 同装・相舞という珍しい曲目「二人静」に挑むことになった憲人。本来なら拮抗する芸力の役者二人ですることの多い曲に、大先輩と舞うことになってしまう。「影に形の添う如く」舞えと言われるその心を掴めるのか!? 他、気合い勝負の「石橋」、壮大な物語がテーマの「淡路」に挑む。
    (2005年)
    — 目次 —
    影に形のよりそいて
    秘密
    大王 あん玉 あんこ玉
    Making of 花よりも花の如く 花を観るのも楽じゃない
    附祝言

  • ほんの少し選択肢が違っただけで、おそらく、今いる場所に立ってはいないのかもしれない。

    ほんの少し選択肢が違っただけで、おそらく、知り合えない人もいるのだろう。

    でも、今、立っている場所にいること、今、出会っている人と一緒にいることは、必然のような気もする。

    そんなことを考えさせられるお話です。

  • 認めたくなかった自分の一部を押し込めて今の憲人になったわけだ。それは自分の一部で自分の影なんだよ

  • 「影に形のよりそいて〜二人静」「秘密〜石橋」「大王あん玉あんこ玉〜淡路」

    色々と豆知識の増えるマンガ。

    けんちゃんって惚れっぽいよね。しかもお話の中の人とかでも…それだけにリアルで恋愛するの難しそう。(リアルって…まあ、マンガの中の話ですけど。成田氏のキャラクターはわりとリアリティがあるからさ)

著者プロフィール

成田 美名子(なりた みなこ、1960年3月5日 - )は、日本の漫画家。代表作は、『エイリアン通り(ストリート)』、『CIPHER(サイファ)』など。血液型はAB型。
青森県青森市出身。青森県立青森東高等学校出身。1977年、『花とゆめ』(白泉社)掲載の『一星(いっせい)へどうぞ』でデビュー。
登場人物の前向きな姿の描写へのこだわりで知られる。マンガ評論家ヤマダトモコは、成田作品の個性を「明るさへの意思」だと評した。

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