花よりも花の如く 3 (花とゆめCOMICS)

著者 :
  • 白泉社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (177ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592174431

作品紹介・あらすじ

同装・相舞という珍しい曲目「二人静」に挑むことになった憲人。本来なら拮抗する芸力の役者二人ですることの多い曲に、大先輩と舞うことになってしまう。「影に形の添う如く」舞えと言われるその心を掴めるのか!? 他、気合い勝負の「石橋」、壮大な物語がテーマの「淡路」に挑む。 2005年2月刊。

感想・レビュー・書評

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  • 楽の茶髪について、お客様のこと、ひいては舞台のことを
    気遣って染めるべきという意見なら分かるが
    そうでない理由で批判してくる意見は腹立たしい。

    自分ならこうしないのにと思うことをされるとイラつくが
    「それは実は自分に一番近い人かもしれない」
    というおじいちゃんのアドバイスが結構衝撃だった。
    生まれた時はみんなまっさらで
    あらゆる性格の人間に育つ可能性があった、
    だから憲人がその人のように育つ可能性もあった
    という考え方は想像だにしなかった。
    そうならなかったのは、認めたくなかった自分を押し込めて今の自分になったし
    だからそれを発揮する人を苦手に思うのも当然
    と憲ちゃんを肯定してもくれているし
    それは自分の一部で自分の影だ
    というのがなるほどなぁと思う。

    お母さんが憲人じゃないと無事終わらないわよ
    と言ってくれるシーンも良かった。
    確かに同年代だとストレスだし、若手の中では
    憲ちゃんが一番うまくこなせそうだ。

    言われた時は腹も立てていただろうに
    お舞台のあとそっと渡会さんにお茶を出す楽くんもとても良い。

    父が先生でなければ能もいいかも、という直角さんからのお手紙にちょっと笑ってしまった。

    諸説あるが、影向の松と鏡板の言い伝えが好きだ。
    連綿と続いてきた伝統芸だからこそ
    先人たちの思いがつまっていて、だから今がある。
    小太郎さんを招きたいという憲ちゃんの思いが伝わったのだと
    シンプルに思える。

    稽古で作るのは自信、というのもよく分かる。
    よく稽古をするのは不安だから。

    役に入り込み、国土創生を語るのに夢中になっていた、
    というシーンがとても良かった。
    停電でマイクが切れたからお客さんがかえって集中して、
    中途半端なタイミングで電気を戻してそれが切れるのも嫌だし
    でも暗いのは危険だってわかってたのにと
    謝るところ、全てが西門らしい。
    木霊する囃子の音、暮れていく空、地平線、
    星が見え始めてすべてが完璧で止めたくなかった。
    この表現でその場の空気感や光景が目に浮かぶようだった。

  • 同装・相舞という珍しい曲目「二人静」に挑むことになった憲人。本来なら拮抗する芸力の役者二人ですることの多い曲に、大先輩と舞うことになってしまう。「影に形の添う如く」舞えと言われるその心を掴めるのか!? 他、気合い勝負の「石橋」、壮大な物語がテーマの「淡路」に挑む。
    (2005年)
    — 目次 —
    影に形のよりそいて
    秘密
    大王 あん玉 あんこ玉
    Making of 花よりも花の如く 花を観るのも楽じゃない
    附祝言

  • 成田美名子先生が描くお能の世界も第3巻。憲人が独立したり、茶髪の楽君も活躍します。伝統芸能の世界を描くことで、色々な意見もあるようですが、若い世代がこういうのに興味を持つって、いいことだと思うなあ。

  • ほんの少し選択肢が違っただけで、おそらく、今いる場所に立ってはいないのかもしれない。

    ほんの少し選択肢が違っただけで、おそらく、知り合えない人もいるのだろう。

    でも、今、立っている場所にいること、今、出会っている人と一緒にいることは、必然のような気もする。

    そんなことを考えさせられるお話です。

  • 再読中。
    あれ、最近ガクくんがあんまり出てこないなー。
    彩紀ちゃんとのことも気になる。

    てか、メガネありのころとなくなってからと
    ケントの印象もずいぶん違う。
    カラが敗れたのかな。

  • この巻には「二人静」という曲が出てくるのですが、特徴的な演出に加えて、この漫画での取り上げ方も相まって、一度舞台で見てみたいと思いました。

  • 認めたくなかった自分の一部を押し込めて今の憲人になったわけだ。それは自分の一部で自分の影なんだよ

  • 毎度のことだけど、「二人静」の話には、同じように考えさせられる。そう言っているじゃないけれど、相手に変わって欲しいと思ったら、自分が変わらなければ、という考えと根っこは同じなんだと思う。
    それをこういう柔らかな表現も出来るのかー、と今回はそこにいろいろと思いました。
    榊原のじいさまの話は、結構きた。
    「(苦手な相手は)実は自分に一番近い人かもしれない。認めたくない自分の一部を押し込めて、今の自分になったのに、それを人が発揮していたら苦手に思うのは当然だ」というのは、沁みる一言です。
    「本当はそれすらも含めて自分の一部で自分の影」だという考え方、どうしたらこういう考えの境地に至れるのかな。それが自力では難しいと思うので、せめて少しでも語られたことを繰り返し考えて、自分の血肉にしていきたい。
    1巻でチカン事件に巻き込まれたことがバレた憲人にも「家族には言いなさい。分かった時情けなく思うから」という言葉の思いやりにもなー(泣)

    そんなじっちゃんの言葉を受けて取った憲人の行動も好き。

    後半ね青森の話もありましたが、話もいいけど、見渡す青森の風景が「ああ、わかるっ!」と思わず膝を打っちゃうような見事さ!
    その後の照明が消え、マイクがない状態での能舞台の雰囲気も、漫画でここまで表現出来るのかー、と思った。
    それだけで、これらが見られただけで、すっごく得した気分。
    成田さんの青森に対する愛を見たような気がします。

  • 絵が奇麗だと思う。

  • 小道具の古田さんが、事故で勾玉を作れなくなった。
    憲人が諦めずに、古田さんの心を思ってやり遂げたのが良いなと思った。
    本番舞台中に停電が・・・
    木霊する 囃子の音とか 暮れていく空とか 地平線 星も 見え初めて 全てがカンペキだ! 止めたくない!と思っちまったのよ・・・っていう西門の感覚もいいと思った。

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著者プロフィール

成田 美名子(なりた みなこ、1960年3月5日 - )は、日本の漫画家。代表作は、『エイリアン通り(ストリート)』、『CIPHER(サイファ)』など。血液型はAB型。
青森県青森市出身。青森県立青森東高等学校出身。1977年、『花とゆめ』(白泉社)掲載の『一星(いっせい)へどうぞ』でデビュー。
登場人物の前向きな姿の描写へのこだわりで知られる。マンガ評論家ヤマダトモコは、成田作品の個性を「明るさへの意思」だと評した。

成田美名子の作品

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