朝がまたくるから (花とゆめCOMICSスペシャル)

著者 :
  • 白泉社
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本棚登録 : 724
感想 : 78
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592198161

感想・レビュー・書評

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  • 三編収録、珠玉の作品集。どれも薄暗く重いテーマを扱っているが、結末には光が射している。羅川は「救済」を描く作家だ。しかし赦しを描くためには、罪もまた描かれる。好きになった相手の過去の"罪"に直面する女性、未成年の少年の倒錯趣味を助長し、相手の年齢を知りながら共犯者となった女性の"罪"とその幕引き、そして犯罪者である男が民家に押し入り子供たちを連れ去った"罪"…最後の作品が一番消化に苦労し、胸につまった。(冒頭の一編は、イギリス映画「BOY A」でも同題材が扱われているので、おすすめはしない映画だけど見てほしい)

  • 葦のお話と双子のお話は雑誌で読んでいたが、どうしても再度読みたくなってコミックス購入。カメラマンの女の人のお話は読んでいなかったが、すごく好きだった。
    でもやっぱり一番心に刺さったのは双子のお話。最後の方の恭一の語りが痛い。台詞だけでなく、コマ割や絵でもぐさぐさ刺された。羅川さん、さすがとしか言いようがない。
    もう何度も読み返してます。ずっと読み返すと思う。

  • 「罪」をテーマに描かれた3篇の漫画が収録されています。人の持つ強さや弱さ、心情の揺らめきを、十二分の画力と綿密に組み立てられた構成で描かれています。人の持つ罪とは何か、そもそも罪とは何であるのか、たくさんのことを考えさせられる作品です。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「そもそも罪とは何であるのか」
      意味深い作品なんですね、羅川真里茂って読んだコトがないので、チェックしておきます。。。
      「そもそも罪とは何であるのか」
      意味深い作品なんですね、羅川真里茂って読んだコトがないので、チェックしておきます。。。
      2013/01/15
  • デッサンがしっかりしている度★★★★☆
    着眼点の奇抜度★★★★☆
    満足度★★★★☆

    3作品からなる短編集。(とは言っても、一話あたり80頁で読みごたえ十分。)全ての作品に共通しているのは、「幸せ」だけでは終わらない、何かしらの痛みを伴う「愛情」。

    【葦の穂綿】
    小さな街の老舗和菓子屋で働く「鈴」が恋した彼は、恋愛感情を持たず、ただセックスするために女性と関係を持つような男だった。彼がそうした態度をとるには事情があって…

    【半夏生】
    カメラマンとして今一歩仕事に熱を込められないでいるリオ。「何も変わらないで人生終わるのだろうか?」と日々が過ぎる中、撮りたいものを見つける。それは、同じマンションに住む15歳の珪碁、ゴスっ娘にコスプレした彼だった。

    【冬霞】
    恭一は、双子のリキとチカを連れて逃げる。恭一は警察から、リキとチカは、自分達を育ててくれない両親から。


    と、これだけだといかにもありきたりなストーリーなようだ。実際、話のネタとしては使い古されたものかもしれない。しかし、羅川さんが描くと、細部まで話が作り込まれてどこか他の作品とは違う。
    ハッピーエンドの作品ばかりではない。けれども、どの作品にも心温まる瞬間が確かにあって、その瞬間を登場人物とともに感じることが出来るのが羅川作品の魅力なのではないかと思う。

  • やっぱり羅川さん好きです。読み終わったら鼻がぐずぐずでした。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「鼻がぐずぐずでした。」
      ふ~ん、、、やっぱり読んでみたくなってきた。。。
      「鼻がぐずぐずでした。」
      ふ~ん、、、やっぱり読んでみたくなってきた。。。
      2013/01/15
  • 罪をテーマとした短編3作品。
    twitterでおすすめされ読了。実は羅川さんの絵(目と口の描き方)は苦手だが、これは読めて良かった。かつての過ちから人付き合いを避ける男性に恋する「葦の穂綿」がお気に入り。二人が体の関係なく寄り添い眠る場面、そしてラストシーンに考えさせるから。「半夏生」「冬霞」も良い話だが、展開が上手く行き過ぎだと冷めた目で見てしまい感動が薄れてしまった。3作を総括し本のタイトルに「朝がまたくるから」と名付けるところが上手いなと感じた。

  • 双子と逃亡者のお話が一番好き。
    泣きました。。。
    重いテーマだけど、希望のあるラスト、心に残りました。

  • 3話ともすごく切なくて美しい話。
    3話目は子供がいるからか、すごく泣けた。
    ずっと手元においておきたい一冊。

  • まさに「真里茂」ワールド♪ テーマは罪ですけど、半夏生は罪なのかしら? 確かに条例の件はあるけど・・・。人々の怖さと優しさと、強さが眩しい。

  • 本棚整理で再読。
    殺人者、未成年淫行、虐待。罪をテーマにした、秋と夏と冬の3中篇。

    うかつには手に取れない、重い物語。

    それぞれのキャラクターたちに朝が来るお話、と思うけど、一話目の「葦の穂綿」は朝が来るというより「混濁の闇がいつか朝日に溶け出すように」と祈るお話。

    それぞれ、大人が子供を守ったり守れなかったりしている、という視点を持たされている。

    いい話だとか感動するとか、そういう簡単で安っぽい言葉では語りたくない。

    >どうか 彼の歩む道が
    >ただ穏やかに
    >穏やかに
    >穏やかであればいいな…と そう願っています

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著者プロフィール

羅川真里茂 青森県出身 代表作に『赤ちゃんと僕』、『しゃにむにGO』など。現在は月刊少年マガジンで『ましろのおと』を連載中。

「2022年 『ましろのおと(31)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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