ぼくの宝物絵本 (MOE BOOKS)

著者 :
  • 白泉社
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感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (129ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592732563

作品紹介・あらすじ

国内外の名作絵本、約70冊をオールカラーで解説・収録。

感想・レビュー・書評

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  • 穂村弘さんによる、絵本の紹介と書評。
    かつてMOEで読んでいたが、まとめて読むのは初めて。
    忘れている記事も多く、かえって新鮮だった。
    酒井駒子さんの装画がちょっぴり神秘的。

    社会人になってから絵本に出会ったという穂村さん。
    仕事で行き詰った思いを抱えている時に出会ったのが武井武雄さんの「おとぎの国の王様」。
    美しい絵本の実感に心が震えたという体験から、話は始まっていく。

    「天国は、こんなところにあった。こんなにも確かな姿で。
    これは子供のための本なんかじゃない、と私は思った。」

    心に感じていても、上手く言い表せないものがある。
    感動だけど、それだけでない。好きでも、もっと尊い気持ち。
    みんなが良いと言っても、何かしら違和感がある時。
    穂村さんは見事にそれを表現してくれる。
    好きなひとの多い「100万回生きたねこ」は、もう絶妙だ。
    感動したからと子どもたちに読む人に異を唱えるワタクシ。
    穂村さんのおかげで溜飲を下げた。
    傑作だけど苦手。気持ちが傷つく。それもかなり深く。
    子どもたちにそんな体験をさせてはいけない。

    昔話絵本、科学絵本、写真絵本、教育的配慮を超越した本、
    異世界とのコミュニケーション、シュールな本。
    とりわけ長新太さんの「めでたしへの不参加」と、武井武雄さんの
    キンダーブックの作品群に宛てた言葉は非常に的を射たものだ。
    この部分を読んで納得する絵本ファンが相当数いるだろう。

    絵本の中の動物や虫たちが、みんな可愛くなってしまった。
    これは絵本だけの話ではない。
    「死の未知数は恐怖の源であると同時にときめきの源でもあるに違いない」
    ・・怖さと「ときめき」が同居していた武井武雄さんの絵に対する最大限の賛辞だ。

    最初が酒井駒子さんの「金曜日の砂糖ちゃん」。
    最後も酒井駒子さんで「BとIとRとD」。括り方がお洒落だ。
    2冊とも私の本棚に大事に大事に入っている。

    絵本を読んでみたいけど、何から読んでいいか分からないという方、
    色々と頭がいっぱいで、気がついたら下ばかり見ているという方。
    穂村さんの案内で扉を開いてみませんか?

    • nejidonさん
      5552さん♪
      それはすごいお話です!
      サイン本を放出しちゃうなんて、穂村さんにはとても聞かせられません((+_+))
      手元にもしあっ...
      5552さん♪
      それはすごいお話です!
      サイン本を放出しちゃうなんて、穂村さんにはとても聞かせられません((+_+))
      手元にもしあったら、そうねぇ、ちょっぴり胸がいたみますね。
      未読のままじゃもったいないので、ぜひお読みくださいな。
      とても良い選書ですよ!

      表紙の少年はそう見えますよね(笑)
      抱えている本のタイトルが「3びきの・・」までは読めます。
      酒井駒子さんは必ずバックを黒に塗りつぶすので、それが苦手というひともいるようです。
      5552さんはいかがですか?
      2021/03/31
    • 5552さん
      nejidonさん

      うーん、よく考えてみると、売られた方も泣く泣く手放したかもしれないですし、数冊買った熱烈ファンの方の一冊かもしれま...
      nejidonさん

      うーん、よく考えてみると、売られた方も泣く泣く手放したかもしれないですし、数冊買った熱烈ファンの方の一冊かもしれませんし、、、。新古書店はサイン本が普通の値段で売られているんですよね。当たるとおおっ!と思います。

      酒井駒子さんの絵は大好きです。
      バックが黒に塗り潰されていること、指摘されてはじめて気がつきました。
      あんまり数は読んでませんが、ほの暗くどこか不穏な雰囲気が好きです。
      苦手だという方の感覚も新鮮です。
      恐さを感じるのかな、、、とか、いろいろ想像してしまいます。
      2021/03/31
    • nejidonさん
      5552さん♪
      新古書店にはそんな「当たり」があるんですね(*^^*)
      好きな作家さんのサイン本だったら、当たった方は嬉しいのかもしれま...
      5552さん♪
      新古書店にはそんな「当たり」があるんですね(*^^*)
      好きな作家さんのサイン本だったら、当たった方は嬉しいのかもしれません。

      酒井駒子さん、お好きでしたか!良かった良かった!
      「ビロードのうさぎ」という名作があるのですが、新しい方は酒井駒子さんで、元のは石井桃子さんなんですよ。
      絵が苦手だからと言って、必ず旧作のを紹介するひとがいましたね。
      画面の暗さが嫌なんですって。
      私はどちらも好きで、ひとに寄り蹴りだなぁと思ってました。
      穂村さんの紹介する「金曜日の砂糖ちゃん」なんてすごく良いですよ。
      「不穏」そのものです(笑)見つけたらぜひどうぞ!!
      2021/03/31
  • 歌人、穂村弘さんによる絵本の紹介。

    「絵本の紹介」というと、「子どもに読み聞かせたい」という観点で選ばれることが多いような気がして、子どもと接する機会がない大人にとって絵本は縁遠くなってしまう。しかし穂村弘さんは、あくまでも大人の自分が気に入った絵本を紹介してくれているので、絵本から遠ざかっていた私も、ちょっと手に取ってみようかな、という気持ちになった。

    穂村さんが興味を惹かれる本は、絵に力のあるもの、言葉の意味というよりリズムがあるもの、普通なら子どもにはタブーとされるような内容をさらっと描いているものが多いように思う。

    五味太郎さんの絵本は、話に落ちも教訓もなく、ただ躍動感、リズム感を楽しむもので、つい言葉の意味をとらえようとする私には新鮮に感じた。歌人の穂村さんが好きになるのも納得である。
    本書の表紙も描いている酒井駒子さんの絵本は、愁いをおびた少女の表情がとても印象的で、惹きつけられずにはいられない。

    これまであまり触れてこなかったジャンルだが、興味を引いた作家さんから手に取ってみたい。

  • 穂村弘さんの宝物絵本を一冊一冊丁寧に面白おかしく紹介してくれた本。古い絵本が好きだそうで、知らない作品も多かったけど、本当に楽しく最後まで読む事が出来ました。
    「…生きているのは当然、仕事をするのも当然、辛いのも当然という気分になってくる…そんなとき、『金曜日の砂糖ちゃん』(酒井駒子/作)を読む。」その文がとても心に残った。これからは私もそんなとき、絵本を読もう!

    憧れの酒井駒子さんに描いて貰った表紙素敵ですね。久しぶりに表紙に呼ばれた作品。凄い雰囲気。

  • ページを見開くと
    思わず目を奪われる
    ここは、なんだか変わった世界…

    (何だろう?)
    そっとささやく声に耳を澄ましてみる。

    「おや。なんだかおちておるぞ。おかしのえだ。」
    「うれしい。うれしい。」

    そうか。
    おかしのえをひろってよろこんでいたのか。

    おさらはおもった。
    「ぼくはなんてまるいんだろう。」

    そうか。それがおさらのほんとうのきもちだったのか。

    「さあ、まごよ、しごとはじめだ。
     せっせとはたらけ。」

    まごは、めいれいどおりせっせとはたらいている。このあとなにかいいことでもおこるのかな…

    小気味の良いひらがなの羅列と
    先の見通しがきかない不明瞭さってやはり、絵本の魅力なんだなぁと再認識したと同時に、
    穂村氏の(宝物絵本)というだけあって良く読み込まれている様子なのに、解説、評価的な言葉がない所、
    とにかくひたすら彷徨う事を楽しみ、気付いたあれこれを面白おかしく語りかけてくれるよな紹介の仕方がなんとも好ましく、どの絵本の世界にも触れたくなった本書は私の宝物絵本となりましたとさ。ちゃんちゃん。

  • ほむらひろしさんのお気に入り絵本の紹介です。
    大人向け。

    やっぱり昭和の絵本ってよいなーと思いました。
    ほむらさんの感性に感心してしまいます。
    ナンセンス絵本は私もとても好きなので、ほむらさんが紹介していた本をぜひ手に入れたいと思います。
    あとロシアの絵本への興味も増しました。

    酒井駒子さんの装画がすてきです。

  • マイエポックって言い方、古い? でもこの本で、穂村弘にはまっちゃったわたしです。なんというセンスいい言葉の選び方、使い方!に、ワクワクときめき、心をわしづかみ!でしたね。この人何物・・・?と、その後手当たり次第にほむほむの書いたもの読んでます。「ホムラー」になってしまいました。今は、『短歌という爆弾』読んで、歌人という表現者たちの、時間、想い、生命、感動を切り取る刃の凄さに圧倒されています。エッセイもおススメ。電車の中では、読めません。ニヤニヤした怪しい人に思われるからね。

  • 穂村さんの好きな絵本についてのエッセイ。知らないものが半分くらい。読んだのが半分くらいあった。

  • 穂村さんの絵本についてのお話。私的でユニーク。そんな視点もあるのかと。こんなふうに思ってもいいんだなと。きれいごとじゃない。個人的な宝物を語るマニアックさ。穂村さんにとって絵本は特別なものなんだということ、宝物だということはとにかくたっぷり伝わってきた。絵本はおもしろい、この絵本が個人的にぐっとくる、それでいいのよ。

  • ふむ

  • 表紙の酒井駒子さんの絵がすぎょい…赤ずきんくん…
    中身はいつぞやの本について語る穂村さんです
    まじめな穂村さん…

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著者プロフィール

穂村 弘(ほむら・ひろし):1962年北海道生まれ。歌人。1990年に歌集『シンジケート』でデビュー。短歌にとどまることなく、エッセイや評論、絵本、翻訳など広く活躍中。著書に『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』、『ラインマーカーズ』、『世界音痴』『もうおうちへかえりましょう』『絶叫委員会』『にょっ記』『野良猫を尊敬した日』『短歌のガチャポン』など多数。2008年、短歌評論集『短歌の友人』で伊藤整文学賞、2017年、エッセイ集『鳥肌が』で講談社エッセイ賞、2018年、歌集『水中翼船炎上中』で若山牧水賞を受賞。

「2023年 『彗星交叉点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

穂村弘の作品

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