絶対安全剃刀: 高野文子作品集

著者 :
  • 白泉社 (1982年1月14日発売)
3.90
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本棚登録 : 2024
感想 : 180
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592760160

感想・レビュー・書評

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  • 思春期の頃、特別な感覚な作品だと思い、注目していた。絵が凄く上手くて、独特のセンスあるストーリーばかり。衝撃だった。
    いつの間にか本棚から消えた。
    また欲しい本です。

    ※2021.2.12.  書店に注文していたこの本、購入しました。さっそく再読する。……高野文子って、本当にユニークな漫画家さんだ。純文学的な作品もある。「ふとん」や、「田辺のつる」「うらがえしの黒い猫」などの作品、これらを読むと、そう思う。この作品集の中で、1番美しい作品だと思い、好きだったのが、「うらがえしの黒い猫」。一人で、
    空想に遊ぶ少女のお話。少女の想像の世界と、絵がとても洗練されていて美しい。少女の心の中が、不思議。自分で作って、大事にしていた、黒猫のぬいぐるみを、魔女にみたて、自分は、その魔女シイシスに搭にとじこめられたお姫さま、エイベルだと、眠る前、一人芝居をする。自分でそのぬいぐるみを、

    わたしはすきを見て
    彼女の耳を 切り落としました  そしたら
    彼女は 頭から  もくもくと煙を出して
    だんだん体がちぢんでいき  さいごには
    黒い 影ぼうしだけが  床に 残りました
    と  突然 窓から 強い風が ふきこんで

    影ぼうしは  煙になって
    消えて  しまったのです。

    ……この1ページ、窓からふきこむ 風と少女が、とても美しい。


     

    りまの

    • りまのさん
      にゃんこまるさん
      おはようございます!
      絶対安全剃刀 のなかに、とても好きだった、美しい作品があります。作品名を、忘れてしまいました。その作...
      にゃんこまるさん
      おはようございます!
      絶対安全剃刀 のなかに、とても好きだった、美しい作品があります。作品名を、忘れてしまいました。その作品を、よみたいのです。 りまの
      2021/02/09
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      りまのさん
      猫も再読したくなってきました!
      りまのさん
      猫も再読したくなってきました!
      2021/02/09
    • りまのさん
      にゃんこまるさん
      うふふ…。(嬉しい)
      にゃんこまるさん
      うふふ…。(嬉しい)
      2021/02/09
  • 短編ばかり、17編。その語り口やテーマは変幻自在。漫画という形式で書かれた詩と言ってもいいかもしれない。どれもするりと読み終えるが、読み落としたものがあるような気がして、何度も読み返してしまう。

    分からなかったのは、冒頭の「たあたあたあと遠くで銃の鳴く声がする」だ。真昼に目覚めた中国人の少女は、銃声に貂が銃をいじめているのだと考え、助けに行く。石をぶつけて貂を追い払い、傷ついた銃を持って帰宅。銃に包帯を巻き、ベッドに休ませてあげる。

    お父さんは上海に行っていて、お母さんは台所でオムレツを作る。オムレツの上には爆弾が落ちていて、少女はケチャップをたくさんかけて、とお願いしている。

    戦争のイメージははっきりと読み取れる。カラートーンの感じは昔の多色石版などを連想させるから日中戦争か。

    この話そのものは謎めいているのだけれど、高野の世界を読み解くうえでは大いに手掛かりになる。戦前・戦争のイメージは表題作「絶対安全剃刀」の少年の自決、「田辺のつる」の蔦谷喜一のぬりえへと広がり、さらに死んだ少女が観音様と会話する「ふとん」の葬式、「はーい背筋を伸ばして、ワタシノバンデス」の出産・誕生へとつながる。

    少女漫画の描く女らしさへの反発は、同時代の漫画表現のアプロプリエーションからすぐに読み取れるけれど、こうやってあちこちにちりばめられた視覚表象をつなぎ合わせてみると、近代日本において銃後の守りや産めよ増やせよを担わされた「女であること」のどうしようもない重さが浮かんでくる。

    • りまのさん
      この本、私今日(2021.2.9)、書店に注文しました。
      もう、処分してしまったのですか?もったいない!!
      この本、私今日(2021.2.9)、書店に注文しました。
      もう、処分してしまったのですか?もったいない!!
      2021/02/09
    • mangatoclassicさん
      素敵な作品集ですよね。色あせない古典だと思います。ちょうど数日前に昨年たまった分と一緒に古書店に送りましたが、また読みたくなったらぽちります...
      素敵な作品集ですよね。色あせない古典だと思います。ちょうど数日前に昨年たまった分と一緒に古書店に送りましたが、また読みたくなったらぽちります!
      2021/02/09
    • りまのさん
      よよよ、、、(T_T)  りまの
      よよよ、、、(T_T)  りまの
      2021/02/09
  • こういうアングラな短編漫画を出してくれる白泉社の古きよき感覚好き

  • 少し前、ブックオフで100円でした。汚れも無くて状態良しなので、他人の手で汚されるのは我慢ならず、引き取りました。初版昭和57年平成27年41刷とある。
    30年前、友達の彼女が持っていた。女の子の友達も持っていた。初めてアパートを訪ねた2歳上の先輩(女性)の本棚にも、町田でぶらぶらデートした時、有隣堂で彼女が買ったのも絶対安全剃刀。
    話すことなどほとんどできない私は、女の子との一時を高野文子のこのマンガを読んで過ごしていた。
    この男何しに来た?とは言われなかった。感想も聞かれず、途中で邪魔もされず、彼女たちは半ば呆れてはいたけど、優しく放っておいてくれた。
    今読み返して思うのは、あの時この本について、少しでも彼女と話すべきだったなって。わかった風な批評するつまらん男子ガキ学生じゃなく、君が買ったこの本、面白いねの一言を言えばよかったじゃないかと。

  • 何回読んでも新鮮。

  • 初期作なのでわたしの好きな頃の絵柄とは随分違ったりするのだけど、トーンの使い方や構図のとり方が高野さんの絵だなという感じがして何度も読んでしまう。

  • 夢見心地。雲を掴むような感じ。
    読み終わった後、そんな気分になった。
    話の舞台は、全てが非現実的ではないのだけれど、目覚める直前に見ていた夢…全体的にそんな印象だった。

    「田辺のつる」は、認知症のおばあちゃんの描かれ方に、驚いて複雑な気持ちになったあと、納得した。
    ああ、そうか、確かに、こうなっていくのかも…と、自分の祖母のことを思い出した。

    「おすわりあそべ」や「うしろあたま」は、主人公の心と自分の心をぴったり沿わせながら読んだ。
    物語の彼女らと同じく、女らしさへの違和感を
    抱えているので、読んでいて悲しくもなったが心地よかった。

    最後に収録された「玄関」は、家が近所なだけでうわべだけ仲良くなっていたあの頃の友達を思い出し、苦々しくも懐かしい気持ちになった。

    リアリティとか求めていないから、って気分のときに読むと、気分が良くなる作品集だ。

  • 私が初めて高野作品で読んだ「ともきんす」や「るきさん」とは全然違う絵柄で別人みたい。

    でも、作品の底に流れる哲学的なカンジは初期のころからなんだな。漫画家さんはきっと今でもそうだけど、なんかエラくたくさんの宗教観あるいは哲学観があって、でも、若いころに読めば自然と親しむもので当時も読者を魅了したのでしょう。

    結末や筋をはっきりさせないカンジがムズムズとしていい。いいけど、これはどういう意味?と訊いてみたくて、またムズムズする。

    初めてのはずだけど、どこかで読んだことがあるような気もする・・

  • 子どもの頃の 体で覚える感覚、
    思春期の 頭で感情を膨らませる感覚、
    そしてどこまでも広がる妄想。

    かつて持っていた色々な感覚を、
    まとめて追体験できる一冊。

    リフレッシュしたいときに
    読むと良い一冊。

  • 看護師として人の死と誕生を見てきた作者による、短編集。
     記号性の高い表現で、語られる話は、深い。

  • わたしは強いうそつきになりたいんだ

  • アネサのかわいがりのポーズ!が、すきです。

  • とても繊細な漫画です。これからも繰り返し読むと思います。

  • 2019/12/22読了
    読み返したくなる
    一回じゃよく分からないということもある…

  • 懐かしく読みました。
    こちらのブログもどうぞ。https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/201904130001/

  • 自分の中の柔らかい部分をすっと鋭利なもので削がれる感じがして、1篇読み終わる度に、本を閉じる。ソーッと開いて読む、の繰り返し。
    どうやって「そこ」に着目して編もうと思ったんだろう。ぞくぞくしっぱなしで読んだ。そして記憶の底に閉じる。

  • 最後の「玄関」が好き。 昔の夏休みを感じる。

  • 図書館で。タイトルだけは知ってたので借りてみましたが…読み切れなかった… なんだか同人誌みたいだなぁなんて思いましたが反対に今の同人誌の方が雑誌連載漫画に近い作品が多いかもしれないなぁ。

    こういう世界観みたいなのが合う人は合うんだろうなぁ。多分、読む時期が合わなかったんだと思います。

  • 田辺のつる。
    うらがえしの黒い猫。
    あぜみちロードにセクシーねえちゃん。
    が特に好き。

  • すみません、全然わかりません…。

  • この人の絵、好きです。優しくてほんわかしている中に棘のある作風。セリフの奥を詮索してしまう感じ。そうこうしている間に高野ワールドに引き込まれてしまうのです。

  • 30年経っても、まったく古さを感じない。恐るべし、高野文子^^;

  • 神懸かり的な作品集。全てを理解することはおそらく出来ない。
    「田辺のつる」が傑作。
    10年ほど前にどうしても読みたくて、古本屋をはしごして入手。

  • 「1+1+1=0」
    「玄関」
     が、いいなと思います。

  • さらっとして、それでいて深いところも。

  • マンガ界の金字塔金字塔

  • 初めて読んだとき、「田辺のつる」が衝撃だった。

  • 私は死んで、ゆらゆらと知らない人の部屋を覗き、押し入れの奥からその人の古い写真集を見つけだしぼんやりと眺めています、誰の過去だって私にそっと寄り添ってくれるから好きです、私は私が死んだことに気づくのは、この写真集を見終えたあとでした

  • 寡作漫画家の一人でもある高野文子の80年代初頭の短編集。
    漫画という表現の文学。
    個人的に好きなのはコメディ要素の強い『アネサとオジ』シリーズ。

    いろんな作家が描いた漫画を数え切れない程読んだが、『玄関』で描かれた大波を超える作画の「海」は未だに見たことがない。


    だぶついた
    おもいほど
    しまつのわるいものはないわ

    (『午前10:00の家鴨』より)

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「「?」は読者の数だけ」
      高野文子って余白とか行間とかに重きを置いてる描き手ですよね。
      「「?」は読者の数だけ」
      高野文子って余白とか行間とかに重きを置いてる描き手ですよね。
      2012/11/07
  • 金魚屋古書店という漫画にこの漫画を扱った話があり、その中で「名作揃いの短編集だぞ。20年以上前の作品とはとても思えない。」というセリフがあるのですが、実際に読んでみてまさにその通りだなと感じました。

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著者プロフィール

高野文子(たかの・ふみこ)
1957年新潟県生まれ。漫画家。1982年に日本漫画家協会賞優秀賞、2003年に手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。作品集に『るきさん』『おともだち』『絶対安全剃刀』『ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事』『棒がいっぽん』『黄色い本』がある。漫画作品の他に、絵本なども手掛ける。

「2022年 『増補 本屋になりたい この島の本を売る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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