花扇

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著者 : 剛しいら
制作 : 山田 ユギ 
  • 白泉社 (2011年2月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592862765

花扇の感想・レビュー・書評

  • 故人となった初助師匠
    評伝を書こうと取材するライターの要への接触から
    初助の私生活が描かれていて
    落語のお話も絡めてぐいぐいと世界に引き込まれ…

    「夫婦茶碗」じわじわ
    喜びも悲しみも愛しさもじわーっと
    二人の時間がぴったり重なったまま、離れていかなければ良いのにと思いました

    それにしても作者
    かなりの落語好きなんだろうなぁ、と
    お話

  • 座布団に続き、満を持しての初助編、花扇です。
    前作と続けて読んで分かったのですが、これは要を通して
    語られる初助師匠の一代記だったんですね。
    初助の評伝を作りたい、と記者一色が要に接触したことから、
    過去と現在を行き来しながら初助師匠の生きた軌跡を辿ります。

    謎に多く包まれた初助の人生の中で、男を食い散らかしてきた
    だけかと思いきや、とんでもない真の恋がそこにあったわけです。
    寒也と要が陽だとすれば、銀さんと初助は陰。
    正反対の番ではありますが、初助が決して長くはなかった生涯で
    唯一、真の恋を貫いた相手が本当に【粋】な人でした。

    物語は淡々と進み、ジェットコースターのように起伏が
    あるわけでもなく、ドラマチックな展開が繰り広げられる
    わけでもなく、ただ一人の人間の日常を、あたりまえのように
    積み重ねていくお話でした。
    18年という長い年月の中に、初助が愛しい人とふれあった
    時間は、つかず離れずの5年間と、晩年のたった半年の間です。
    その間の中に、確かな愛というものがあって、初助の生い立ち
    からくる寂しさや悲しさ、そして確かに幸せがそこにあったの
    だと感じられるものが詰まっていました。

    膝の上にある頭の重みが忘れられない、というところで
    涙腺がついに崩壊。
    そこに至るまでに、何度も鼻を啜りながら読んでいましたが、
    この瞬間ばかりはもう、哀しくて、せつなくて、寂しくて……。

    今のBL業界では、絶対にタブーなネタではありますが、
    一昔前のBLはこういった話でも書かせてもらえたてたんだなぁ、
    と感慨深いものがあります。
    そしてタブーなネタでありながらも、こんなに読後に
    あたたかいものが胸に満ちるというのは、作品が間違いなく
    名著である証だと思いました。
    私の拙い表現では、とてもこの作品のすばらしさを
    伝えることがでないので、とりあえず何でも良いから
    読んでみて、と勧めたいです。
    ドナドナなんてとんでもない、永久保存版決定。

  • 芸のためなら男だろうが何だろうがどんどん踏み台にして、どれほどの愛憎にまみれようと芸の道を貫く初助師匠の生き様の揺るぎなさ、凄まじさにもうため息しかでない。そんな初助師匠が生涯誠を尽くしたただひとりの男寺田。寺田の最期の時をままごとの夫婦みたいに寄り添って暮らしたささやかな時間。
    一生の相方を得て仲むつまじく暮らしている愛弟子要とは対照的で、初助の孤独がより一層浮き立ってたまらない気持ちになる。それを不幸だとかつらいとか断じるのはおこがましい気がした。
    自分はさみしくて不幸だなどと無粋なことを初助はただの一度も考えたことはないのだろう。芸の道に信を貫くその姿に、読後はらはらと涙が止まらなかった。名作です。

  • 好きすぎて、素敵すぎて この本を語る言葉が見つからない。

  • うーむ。三九亭感謝(要)を通して見た師匠・初助の物語であったのか。かといって要の方も疎かになっていない、かえって奥行きが出ている巧妙さ。笑いの芸の底に敷いてある痛いほどの切なさ。参りました。ハイヤー運転手の太田さんも何気にいい味出してました。

  • ★3.0。初助と寺田の生涯。二人の最期は幸せだったんだろうけど、恋人を残し先立つ、恋人に先立たれる心中を想像すると…。こういう切なくて泣けるのは読んだ後気持ちが引きずられて落ち込んでしまうので、面白いと思う反面苦手です。せめて要と寒也には長生きして穏やかに逝って欲しいものです…。

  • 何の未練もなく男を使い捨てた師匠・山九亭初助。落語の道一筋に孤独な生涯を送ったかに見えたその裏には、真を貫いた驚きの愛情物語が。

    視点が師匠に移って、昭和色が強くなりました。こういった皆が傷を抱えて生きていた時代って、なんだか胸にきます。
    いろいろ超越していそうな師匠も、にんげんだったのだなあとしみじみ。

  • 「昭和元禄落語心中」はこういう展開になるべき。銀さんの顔が山田ユギさんの絵で描かれてない? 
    それはさておき、いい話。ジーンとしました。しみる…ね(「演歌の花道」のナレーション風に)。
    「座布団」と並び今年の個人的上半期ベスト3は「三匹のおっさん」とこの本です。

  • 弟子の要でさえも知らなかった噺家・三九亭初助の知られざる過去。そして、たったひとりの、愛したひと――

    内容は「子別れ」は普通に寒也と要の話、という感じでしたが表題作の「花扇」から初助主役の話に。あんなにつんと澄ましてたくさんの男と関係を持ちながらも孤高を貫いてきたと思われた初助の愛の物語。
    その人の最期まで暮らした日々を描いたのが最後の「夫婦茶碗」ですがこの何とも言えない、あらがえない淋しさと切なさ、でも確かに感じる暖かさと愛が胸にじん…ときたなあ。たぶん二人とも年老いてるからかしら。涙腺弱かったら泣いてただろうななどと。後編の二作は書き下ろしなのかなー? マクラの内容が実に最近なものだったので。

    辛口なこと言わせてもらうと結局は外見の好みかよ、と思わなくもないが。まあ銀さんは確かにかっこよかった、BLに攻めとか受けとか超越したものを見た……ような気がする。専門じゃないのでよくわかりませんね。もっと落語家シリーズ続いて欲しかったなと思います。

  • 長らく絶版だったものが単行本として復刊されて大変嬉しい。本作主人公の初助師匠は私にとって最強最愛の受けです。これはBLの枠を超えた名作だと思う。ひとつ残念なのが文庫版にはあった山田ユギさんの挿絵がない事。

  • 座布団に引き続いて、花扇まで読みました。すごく、いいお話でした。愛情って色々な種類あるけど、この二冊には少なくとも三種類は含まれている気がする。親子、師弟、夫婦(に限りなく近い恋人)。ぎゅっと詰まって胸に迫るものがあります。久しぶりにいい話読んだ。

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花扇の作品紹介

何の未練もなく男を使い捨てた師匠・山九亭初助。落語の道一筋に孤独な生涯を送ったかに見えたその裏には、真を貫いた驚きの愛情物語が。

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