- Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
- / ISBN・EAN: 9784592887119
感想・レビュー・書評
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表題作の22XX、そしてMAGICや秘密の第一話…清水玲子はSF短編の名手だと改めて思う。
食べることは生きることだ、とするならばジャックは生きることを拒否しているのだ。彼にはいつも罪の意識があるから。しかし生きることは食べることではないから、ジャックは生きている。生きていられる。罪を心に抱いたままでも。食べなければならないことと食べなくても生きていけることはどちらの方が悲しいのだろうか。そして人間とロボットの境界はどこへいってしまうのだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
勉強漫画特集本からだったか。表題作を中心に、まずまずって感じ。
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これは…結構衝撃の設定…。割と呆然…。そして「ジャックとエレナ」のお話でなかったのでちょっとマイナスの★4で。
っていうかさー、この設定冷静に考えたら割とドン引きじゃない…?というのを血生臭くなく説教臭くなく描けるって凄い…。
あと天使たちの進化論もそうだったけど、半分「ジャックとエレナ」じゃないの、ちょっとずるいと思いますよ。白泉社さん。 -
表題作の22XXは、少女マンガであり、かなりの正統派SFであり、力作。
食べるという行為に対しての違和感、生理的な違和感がテーマになっていると思う。その食べるという行為の残虐性と、生きるということ、愛するということが三重写しになり、物語はより深さを増していく。
今度、「竜の眠る星」というのも読んでみたい。
それ以外の作品は表題作とは少しレベルが違う気がした。
ファッションが時代を感じる。80年代、MTVな雰囲気。 -
『世紀末に愛されて(読み切り)』、を読みたくて購入。
後はどうでもいい。
旦那さんにすごく褒められた。
この読み切り、とてもいいので、これを見た人、是非読んで欲しい。
絶対に内容はネットで調べずに(厳守)読んで欲しい、、 -
22xx、食べるという行為は生をつなぐこと。世紀末に愛されて、ノアの方舟に乗れるのは真実の愛を見つけた者だけ。夢のつづき、お金がありすぎて常識も愛も知らない少女。8月の長い夜、大学の地下で人体実験。全作SFの短編集。
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『竜の眠る星』のジャックが主人公のスピンアウト作品。ジャックはエレナと出会う前、未開拓な星に赴く賞金稼ぎを生業としていた。ジャックは元々自分が「ロボット」であると知らないで生きていたロボットだった。破壊工作員をしていた際に、捕らえた仲間と放置され、残り少ない食料を分け合った為に、ロボットであるジャックは生き残り、相棒の人間は死んだ。ジャックが自分の事をロボットだと知っていれば、食べずとも生きていられたのだ。
惑星メヌエットには、現地人さえ近寄らない地帯には人肉食を行うフォトゥリス人が生息している。彼らは人間をおびき寄せる為に、夜になると昼とは違う姿に擬態する。ジャックはルビイと言う少女と出会い、恋をする。が、ルビィはジャックを食う為に彼をおびき寄せたに過ぎない。愛と言う人間が持つ崇高な精神性が先か、生物として食うと言う食欲が先か。
フォトゥリス人にとって食事は崇高なもので、食する前に長い祈りをささげ、食するところを誰にも見せない。食糧を分け与える事が「求婚」であると知らずに、ジャックはルビィに獲物を与えてしまう。
ロボットであるジャックには「食欲」を促す機能がある。食べられたものは粉砕されフリーズドライ化されるだけで、ジャック自身の肉体を維持するのには全く必要のない機能なのだ。食べなくても済むのに欲求は起こる。ルビィは母の肉を食べ、食べる事に因って食べたものの全てを受け継ぐ生き方・考え方をしている。彼女はジャックの命を生かす為に、自分の左手を切り取って差し出す…これが少女漫画だろうか、と言うテーマの深さ。物語力の強さ。
清水玲子作品は当時読んでいた時もある意味異彩を放っていた。何より、綺麗すぎて味気がないとさえ思われてしまう抜群に美麗な画力。顔のアップなカラー絵の美しさは有れど、その頃に自覚はなかったが、とにかく私は指や手の甲、足の指や踝など、手や足先の描かれ方に非常に執着があり、体のパーツが少女漫画的にデフォルメされて描かれる少女漫画が多かった時代だけに、足や手をのびのびと美しく描いている清水玲子の絵は突出して見えていた。
食べる事は生きていくために生きとし生けるものに必要な欲求であるが、命を食べていると言う意識を持って食べる事があるだろうか。 -
もし子供ができたら、いつか絶対読んで欲しい本のうちの一つ。
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もはや泣いた あまりにも素晴らし過ぎて 泣いた
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ジャック単体の主演作品だが
J&Eシリーズとのかかわりは不明。
おそらくパラレル(Jはよく他作品に出るため。)
清水玲子以外の何物でもないといえる。
そして今回は救いの部分が少ないため
読後どうしても落ち込むが、必ず心に何かが残る傑作。