ロバのおうじ: グリム童話

  • ほるぷ出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (48ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784593500901

感想・レビュー・書評

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  • 子どもの頃、グリムのお話の中では一番好きだった作品。
    今回、大好きなバーバラ・クーニーの挿絵のものを見つけたので、再読してみた。
    そしてやっぱり途中から泣いてしまった。

    優れた点がたくさんあるのに、見かけがロバであるだけで両親の愛を一切得られない王子。
    そもそも王様が魔法使いを騙した罪で、王子はロバとして生まれたのだ。
    その理不尽な哀しみと孤独は、大人になった今読んでも哀れさを誘う。
    魔法使いの呪いは、「姿かたちを気に留めず、心から王子を愛するひとが現れるまでは一生ロバのまま」というものだった。
    つまり、両親が心から王子を愛すれば、すべて解決できるはずだったのだ。
    だが、それさえも出来ない愚かな両親は、お金やドレスなどの目に見える物にしか興味を示せない。
    リュートにのめりこんだ王子の孤独。
    そしてそれを携えてひとり旅に出る王子の絶望は、とても言葉ではつくろえないだろう。

    クーニーの絵がやさしく美しいので、お話の悲惨さをほとんど感じないで済む。
    文章も流れるように美しく、とりわけ旅の途中の描写は詩的でさえある。
    ロバもとても愛らしく描かれ、時には2本足でダンスもしたり。
    中世ヨーロッパ風の衣装も綺麗で、背景も書き込みすぎず、でも丁寧。お姫様の衣装もジュリエット風で可愛らしい。

    まさかこんな親がいるのかと思うが、現実には毎日のように親子間の悲惨なニュースが絶えない。だからたぶん、こういう両親も存在するのだろう。
    批判するのはたやすいが、真実の目を持っているかどうか胸を張って言えない自分も悲しい。
    絵も文章も美しい、最後はちゃんとハッピーエンドになるグリムの名作。
    音読で約15分。始めて読んだのは幼稚園の年長だった。
    ひとを愛するとはどういうことか、大人になった私は再び考える。

  • こどもに恵まれない王様お妃様が心から願い、魔法使いの力をかりて生まれて来た王子さま。
    でも、親が魔法使いとの約束を守らなかったせいで、生まれてきた王子さまの姿はまるでロバそのものだった…

    周りから受ける風当たりは強く、守ってくれるはずの両親でさえも王子さまに背を向けた。

    ロバの王子さまは旅に出ます。
    自分の居場所を求め遠く遠くへ…楽器リュートをたずさえて。。

    絵もお話も、とても素敵でした。


    どんなみため(ロバ)だろうと、その人の本当の姿(美しい心)を愛したお姫さまのような人になりたいそう思いました。

  • グリム童話の代表作のひとつだそうですが、読んだ記憶はありませんでした。ロバの王子様がとても素直に育って、やがて幸せになりましたが、親はどうなったのかな~

  • バーバラクーニーさんの絵がとても好きです。

    我慢強くひたむきで誠実なロバのおうじさまと
    見た目に惑わされることなく真実に目を向けられるおひめさまの
    しあわせな物語。

  • 容姿が整ってないからと真の愛を受けることだの出来ないロバの王子。
    特技を身につけて、城を出て、そして特技を認めてくれる王女様に出逢います。

    人には必ずやぴったりの居場所があるのだ。
    その居場所は、自分でみつけることではなく、自然と周りがお膳立てして、気がついたら心地よくすごしているのかもしれない。

  • かん子さんの「絵本総解説」で紹介されていた絵本。
    とてもよかったです。

    お金はたくさん持っているけど、子どもがいない王様が、
    なんでも願いをきいてくれる魔法使いの噂を聞く。
    王様はハンサムな王子が欲しいと思い、
    服が大好きなお妃様は、かわいい女の子がいいと思い、
    魔法使いに子どもを授けてもらうんだけど、
    お礼をけちったので、生まれてきた王子はロバの姿。

    自分たちが期待したような子どもでなかったので、
    王様とお妃様は、全く王子に関心を向けず、
    城の人たちからロバだからとバカにされ、
    王子はいつもひとりぼっち。

    努力してリュートを上手に弾き、
    素晴らしい歌を作って歌えるようになった王子だけど、
    やっぱり王様とお妃様は見向きもしない。
    そこで王子は、一人城を出る決意をする。

    王子は別の国に行き、
    その国の王様とお姫様に
    素晴らしい歌い手として迎えられ、
    ロバの姿のままで、気立ての良さ、賢さ、優しさを認められ、
    幸せに暮らしていたが、
    ある日、3人の立派な王子がお姫様に求婚していると知り。。。


    ロバの姿の王子が、
    とても愛らしく、そして切ないです。
    ロバの姿だけを見て、王子の美点に気づかない「自分のことに忙しい」両親。
    愚かだけど、うーん、よくある話かも。

    そんな両親の国から、王子は自ら旅立つ。
    そう、自分が生きる場所は、自分で決めていいんだ。

    そうして王子は、
    ロバの姿のまま自分を受け入れ、
    ロバの姿の下に隠れた美質に気づいてくれる人たちと出会う。

    ありのままの自分を受け入れてもらえる幸せ。
    そのままの「良さ」を愛してもらえる幸せ。
    そんな幸せを、しみじみと教えてくれる絵本です。
    読み終わり、穏やかな幸せな気持ちになりました。

  • こちらはグリム童話で、物語自体は今まで何度か読んだことがあると思うのですが。。。

    とても胸にしみる絵本でした。
    絵も素晴らしいですし、言葉の一つひとつが美しいと思いました。

    ロバという容貌のため、
    周りの誰からも愛されない王子ですが、
    それでも心は気高くて、王子そのもの。
    最後に、その本質を愛してくれる王女さまとであえて、よかった!
    心底、ホットしました。

  • 泣きながら読んだ。
    ロバの王子の健気さ。本当の親に愛されない切なさ。
    でも、ラストは、姿形ではなく中身を愛してくれる人に出会えてハッピーエンド!

  • 面白かった!
    王道で、伏線の回収もあってよかった!
    ただ王様が偽のお金を入れたことに関して女王様が特に咎めてなかったり、最後の絵に小屋に誰かいたけどそれが誰かわからなかったりしたのが気になった。
    王子様は人間に戻った後自分の両親の元に行ったんかなぁ。

  • 読了年齢:5歳11ヶ月
    県立図書館から借りて読んだ。
    活字が多く、3日に分けて読んだ。すぐ物語に入っていったが、いかんせん古い本なので翻訳も今は余り使わない言葉が多く感じた。
    なので、ちょっと言葉を今風に変えて読み進めたが、内容は頭に入ったようで、優しくしてくれる城の人々と姫と出会えてよかったね、と話していた。

    内容→金が好きな王と着飾るのが好きな妃の子供のいない夫婦は、魔法使いにお願いし子供が産まれた。しかし産まれた赤子はロバの姿形をしていた。(王が魔法使いに渡す依頼金?の金を贋物に変え渡したため)
    このロバ王子が愛してくれない両親と自分をロバとしてしか見ない故郷を捨て旅し王子をロバとして扱わないお城と人に出会う話。

  • 図書館

  • グリム兄弟 (著), M.ジーン・クレイグ (著), バーバラ・クーニー (イラスト), もき かずこ (翻訳)

    小さなろば,ろばの若様(KHM144)
    グリム兄弟 (著), M.ジーン・クレイグ (著), バーバラ・クーニー (イラスト)

  • 父王・お妃が愚かで、ロバの王子が健気で、思わずほろりとさせられます。

  • 童話のスタンダード。

  • グリムの昔話(ドイツ中心)

  • <閲覧スタッフより>

    --------------------------------------
    所在記号:726.6//GRJ
    資料番号:20045816
    --------------------------------------

  • この本を読んで、ドキっとしました。忙しくて構ってあげらず、子供の呼びかけに適当な返事であしらってないか。。思わず子供をギュ。自力で幸せを見つけたおうじ…ハッピーエンドでよかった。

  • ある国の王と王妃は子どもがいないことが悩みでした。そこで魔法使いのところへお願いにいきました。すると魔法使いは、金貨33袋を持ってこれば子どもを授けると言います。しかし、王と王妃は偽物の金貨を持っていき・・・。ロバのおうじは幸せを手にすることができるのか、結末まで楽しめる絵本。

  • ひとりを見る時、外見だけで判断しては、ダメなのよねー

  • グリム童話のロバの王子が放浪の旅に出て幸せになるまでの話。

    全編ひらがななのでそのあたりの子供向け、イラストもほのぼの系でかわいい。

  • 人間の美しさは外見ではなく中身― という寓話であるように読めるけど、それは誤読だろう。
    醜い外見-美しい中身という単純な二項対立ではない。
    なぜなら、王子がロバの外観を越えて真に愛されたのは、彼が幼いときに獲得した技術や教養や気品の賜物だったからだ。
    しかもそれらのうちの多くは、他でもなく、彼をどうしても愛することができなかった父王が与えたものである。
    そのことも踏まえれば、端的に愛せる、端的に愛される、ということが善であるという単純な構図もこの作品には当てはまらない。
    王子をとりまいたものの全体をとらえなければ、この作品の放つ美をとらえたことにはならないだろう。

  • グリム童話。ロバの王子の心のきれいさ、孤独への耐えかた、そしてお決まりの終わりによかったと思う。

  • バーバラ・クーニーの絵が素敵ですね。5歳の娘も気に入ってます。

  • グリム童話の「ロバの王子」。
    お金が大好きな王様と、きれいな服や宝石が大好きなお妃様。
    2人が持っていないものはほとんどなかったけれど、子供だけは、持っていなかった。
    そこで、森の奥の魔法使いに相談すると、33袋分の金貨をお代としてくれれば子供が生まれる魔法を使ってやるという。
    しかし、王様は魔法使いを騙そうと33袋の底の方に銅で出来た偽物の金貨を入れておいた。
    魔法使いは騙されたと知り、生まれてくる王子にロバになるように呪いをかける。
    生まれてきた王子は、耳があり、灰色の毛に覆われたロバの姿をしていた。
    王子として教育を受けるが、王様もお妃様もロバ王子の方は見ようとせず、お城の子供たちもロバ王子をのけ者にして遊ぶのだった。
    ロバ王子はリュートを習い、先生よりも立派に奏でることが出来るようになる。
    それでも、王様もお妃様もロバ王子の相手をしないので、ロバ王子は服を脱ぎ、リュートを持って旅に出るのだった。
    ロバ王子はとあるお城に辿り着き、リュートで音楽を聞かせ、そこの王様やお姫様を楽しませ、しばらく住み着く。
    しかし、お姫様が3人の王子を相手にして、そのうちの誰かと結婚することになった。
    ロバ王子は悲しみの別れの音楽を鳴らし、お姫様に別れを告げようとするが、お姫様はロバ王子のことが好きなのでいなくなると悲しいという。
    ロバ王子が醜いロバの姿をしていても、と尋ねてもあなたは美しいという。
    すると、そこには美しい若者の姿が。
    ロバの姿でも王子のことを愛するものが現れない解けないという、魔法使いの呪いが解けたのだった。
    お姫様は初めから自分には分っていた、という。
    そうして、2人はめでたく結婚し、3人の王子と3人の王女を産むのだった。

    グリム童話にこんな話があったなんて知らなかった。
    絵がきれい。
    ロバ王子の親の王様とお妃様や国はどうなったのだろう。

  • 絵も可愛いし、内容も可愛い!!
    お気に入りです^^

  • グリム童話で、物悲しく寂しいおはなしなのですが、バーバラ・クーニーの美しい絵がその悲惨さを救ってくれます。

  • こどものいない王さまとおきさきは、お金や宝石に夢中。あるとき、旅人から、森の魔法使いにお願いするとこどもが授かると聞き、お願いする。しかし、約束を破った王さまにおこった魔法使いは、「ロバのおうじ」を生ませる。姿にかまわず、愛されたとき、ロバは本物の王子にもどれるのだ。みにくい王子は、王さまやおきさきから愛を受けることができず、城をでていく。そんなとき、ロバのおうじは、王さまとお姫様の住むお城へ召し抱えられる。

  • 子どもが欲しいと魔法使いに頼んだ王様とお妃様がお礼をケチったために、ロバとして生まれた王子。成長したロバは、あるときリュートという楽器を手に旅に出る。姿形を気にせず、心から愛してくれる人は見つかるのだろうか。。
    自分の居場所がない、ロバだから歓迎されていないという思いを抱えている彼だけど、王子としての品があって、リュートが上手く、とても魅力的。
    家出した彼はある女性と出会って恋に落ちるんだけど、別れようとする。でも…。

  • (25分)

  • 見た目ではなく、存在そのものを愛す。

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著者プロフィール

兄:ヤーコプ・グリム Jakob Grimm(1785-1863)/弟:ヴィルヘルム・グリム Wilhelm Grimm(1786-1859)/ドイツの文献学者・言語学者・民衆文学研究者。両者ともドイツ中西部ヘッセン地方の町ハーナウに地方官吏・法曹家の息子として生まれ、マールブルク大学法学部でサヴィニーの薫陶を受けつつ、ハイデルベルク・ロマン派の詩人たちと交友関係を結ぶ。兄弟の共同作業によって多くの業績を残し、共編著として『子どもと家庭のためのメルヘン集』、『ドイツ語辞典』などがある。兄の著作としては『ドイツ語文法』、『ドイツ法古事誌』、『ドイツ神話学』、『ドイツ語の歴史』、『判告録』、弟の仕事として『ドイツ英雄伝説』のほか、第七版に至るまでのメルヘン集テクストの改稿がある。

「2021年 『グリム ドイツ伝説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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