ロバのおうじ: グリム童話

  • ほるぷ出版
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感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (48ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784593500901

感想・レビュー・書評

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  • 子どもの頃、グリムのお話の中では一番好きだった作品。
    今回、大好きなバーバラ・クーニーの挿絵のものを見つけたので、再読してみた。
    そしてやっぱり途中から泣いてしまった。

    優れた点がたくさんあるのに、見かけがロバであるだけで両親の愛を一切得られない王子。
    そもそも王様が魔法使いを騙した罪で、王子はロバとして生まれたのだ。
    その理不尽な哀しみと孤独は、大人になった今読んでも哀れさを誘う。
    魔法使いの呪いは、「姿かたちを気に留めず、心から王子を愛するひとが現れるまでは一生ロバのまま」というものだった。
    つまり、両親が心から王子を愛すれば、すべて解決できるはずだったのだ。
    だが、それさえも出来ない愚かな両親は、お金やドレスなどの目に見える物にしか興味を示せない。
    リュートにのめりこんだ王子の孤独。
    そしてそれを携えてひとり旅に出る王子の絶望は、とても言葉ではつくろえないだろう。

    クーニーの絵がやさしく美しいので、お話の悲惨さをほとんど感じないで済む。
    文章も流れるように美しく、とりわけ旅の途中の描写は詩的でさえある。
    ロバもとても愛らしく描かれ、時には2本足でダンスもしたり。
    中世ヨーロッパ風の衣装も綺麗で、背景も書き込みすぎず、でも丁寧。お姫様の衣装もジュリエット風で可愛らしい。

    まさかこんな親がいるのかと思うが、現実には毎日のように親子間の悲惨なニュースが絶えない。だからたぶん、こういう両親も存在するのだろう。
    批判するのはたやすいが、真実の目を持っているかどうか胸を張って言えない自分も悲しい。
    絵も文章も美しい、最後はちゃんとハッピーエンドになるグリムの名作。
    音読で約15分。始めて読んだのは幼稚園の年長だった。
    ひとを愛するとはどういうことか、大人になった私は再び考える。

  • こどもに恵まれない王様お妃様が心から願い、魔法使いの力をかりて生まれて来た王子さま。
    でも、親が魔法使いとの約束を守らなかったせいで、生まれてきた王子さまの姿はまるでロバそのものだった…

    周りから受ける風当たりは強く、守ってくれるはずの両親でさえも王子さまに背を向けた。

    ロバの王子さまは旅に出ます。
    自分の居場所を求め遠く遠くへ…楽器リュートをたずさえて。。

    絵もお話も、とても素敵でした。


    どんなみため(ロバ)だろうと、その人の本当の姿(美しい心)を愛したお姫さまのような人になりたいそう思いました。

  • グリム童話の代表作のひとつだそうですが、読んだ記憶はありませんでした。ロバの王子様がとても素直に育って、やがて幸せになりましたが、親はどうなったのかな~

  • バーバラクーニーさんの絵がとても好きです。

    我慢強くひたむきで誠実なロバのおうじさまと
    見た目に惑わされることなく真実に目を向けられるおひめさまの
    しあわせな物語。

  • 容姿が整ってないからと真の愛を受けることだの出来ないロバの王子。
    特技を身につけて、城を出て、そして特技を認めてくれる王女様に出逢います。

    人には必ずやぴったりの居場所があるのだ。
    その居場所は、自分でみつけることではなく、自然と周りがお膳立てして、気がついたら心地よくすごしているのかもしれない。

  • かん子さんの「絵本総解説」で紹介されていた絵本。
    とてもよかったです。

    お金はたくさん持っているけど、子どもがいない王様が、
    なんでも願いをきいてくれる魔法使いの噂を聞く。
    王様はハンサムな王子が欲しいと思い、
    服が大好きなお妃様は、かわいい女の子がいいと思い、
    魔法使いに子どもを授けてもらうんだけど、
    お礼をけちったので、生まれてきた王子はロバの姿。

    自分たちが期待したような子どもでなかったので、
    王様とお妃様は、全く王子に関心を向けず、
    城の人たちからロバだからとバカにされ、
    王子はいつもひとりぼっち。

    努力してリュートを上手に弾き、
    素晴らしい歌を作って歌えるようになった王子だけど、
    やっぱり王様とお妃様は見向きもしない。
    そこで王子は、一人城を出る決意をする。

    王子は別の国に行き、
    その国の王様とお姫様に
    素晴らしい歌い手として迎えられ、
    ロバの姿のままで、気立ての良さ、賢さ、優しさを認められ、
    幸せに暮らしていたが、
    ある日、3人の立派な王子がお姫様に求婚していると知り。。。


    ロバの姿の王子が、
    とても愛らしく、そして切ないです。
    ロバの姿だけを見て、王子の美点に気づかない「自分のことに忙しい」両親。
    愚かだけど、うーん、よくある話かも。

    そんな両親の国から、王子は自ら旅立つ。
    そう、自分が生きる場所は、自分で決めていいんだ。

    そうして王子は、
    ロバの姿のまま自分を受け入れ、
    ロバの姿の下に隠れた美質に気づいてくれる人たちと出会う。

    ありのままの自分を受け入れてもらえる幸せ。
    そのままの「良さ」を愛してもらえる幸せ。
    そんな幸せを、しみじみと教えてくれる絵本です。
    読み終わり、穏やかな幸せな気持ちになりました。

  • こちらはグリム童話で、物語自体は今まで何度か読んだことがあると思うのですが。。。

    とても胸にしみる絵本でした。
    絵も素晴らしいですし、言葉の一つひとつが美しいと思いました。

    ロバという容貌のため、
    周りの誰からも愛されない王子ですが、
    それでも心は気高くて、王子そのもの。
    最後に、その本質を愛してくれる王女さまとであえて、よかった!
    心底、ホットしました。

  • 泣きながら読んだ。
    ロバの王子の健気さ。本当の親に愛されない切なさ。
    でも、ラストは、姿形ではなく中身を愛してくれる人に出会えてハッピーエンド!

  • 面白かった!
    王道で、伏線の回収もあってよかった!
    ただ王様が偽のお金を入れたことに関して女王様が特に咎めてなかったり、最後の絵に小屋に誰かいたけどそれが誰かわからなかったりしたのが気になった。
    王子様は人間に戻った後自分の両親の元に行ったんかなぁ。

  • 読了年齢:5歳11ヶ月
    県立図書館から借りて読んだ。
    活字が多く、3日に分けて読んだ。すぐ物語に入っていったが、いかんせん古い本なので翻訳も今は余り使わない言葉が多く感じた。
    なので、ちょっと言葉を今風に変えて読み進めたが、内容は頭に入ったようで、優しくしてくれる城の人々と姫と出会えてよかったね、と話していた。

    内容→金が好きな王と着飾るのが好きな妃の子供のいない夫婦は、魔法使いにお願いし子供が産まれた。しかし産まれた赤子はロバの姿形をしていた。(王が魔法使いに渡す依頼金?の金を贋物に変え渡したため)
    このロバ王子が愛してくれない両親と自分をロバとしてしか見ない故郷を捨て旅し王子をロバとして扱わないお城と人に出会う話。

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著者プロフィール

兄:ヤーコプ・グリム Jakob Grimm(1785-1863)/弟:ヴィルヘルム・グリム Wilhelm Grimm(1786-1859)/ドイツの文献学者・言語学者・民衆文学研究者。両者ともドイツ中西部ヘッセン地方の町ハーナウに地方官吏・法曹家の息子として生まれ、マールブルク大学法学部でサヴィニーの薫陶を受けつつ、ハイデルベルク・ロマン派の詩人たちと交友関係を結ぶ。兄弟の共同作業によって多くの業績を残し、共編著として『子どもと家庭のためのメルヘン集』、『ドイツ語辞典』などがある。兄の著作としては『ドイツ語文法』、『ドイツ法古事誌』、『ドイツ神話学』、『ドイツ語の歴史』、『判告録』、弟の仕事として『ドイツ英雄伝説』のほか、第七版に至るまでのメルヘン集テクストの改稿がある。

「2021年 『グリム ドイツ伝説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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