- Amazon.co.jp ・本 (1ページ)
- / ISBN・EAN: 9784593503810
感想・レビュー・書評
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絵本のことはこれまであまりアップして来ませんでしたが、少しずつご紹介してゆけたらと思います。
クーニーはコンプレックスを持つ人物の内面を深く掘り下げてとらえることのできた作家です。
ですから、ある意味で地味な内容に見える作品も少なくありません。
この本もそうです。
女の子が成長して行く過程での心理。
とてもうまく描かれています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大統領夫人の生い立ちといえば、普通、めぐまれた境遇でちやほや
されて育った少女を思い浮かべるだろう。
でも、この絵本の少女は、実の母親からみっともない顔をしているからと
「おばあちゃん」と呼ばれたり、
可愛がってくれた父親でさえ、クラブの入り口にエレノアを6時間も待たしたまま
戻ってこなかったりするのだ。
弟二人は、母の傍らで甘えながら絵本を読んでもらっているのに、
離れてぽつんと立って聞いているエレノアの姿や
いとこの女の子がうれしそうに駆け出していく背中を、大きな暗い部屋のなかから
一生懸命手を振って見送っているエレノアの姿。
繊細で、静謐な美しさをもったクーニーの絵だからこそ、一層、少女の
悲しい心情がひしひしと伝わってくる気がする。
だからこそ、後半、女学校の校長先生に選んでもらったくすんだ赤いドレス姿の
自分を「これがわたしかしら?」というようにぼーっと見つめている姿や
校長先生と二人で、夜の汽車が静かにわたっていく湖のほとりを散歩している姿に
絵本をながめているものもまた、勇気ずけられる思いがするのだろう。
ストーリーの骨格は、「みにくいアヒルのこ」なのだが、
実際の女の子が主人公になっているので、小学生でも、興味をひかれて聞いてくれる。
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孤独感は優しさに、優しさは強さに。
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大統領夫人、社会活動家、「アメリカの良心」と称えられた女性が女の子だった頃のお話。
くらい家から世界へ飛び立った。