ワンダー Wonder

  • ほるぷ出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784593534951

感想・レビュー・書評

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  • やっと読んだ。もっととっつきにくいかと思っていたけれど、読みやすかった。

    オギーを取り巻く人々の思いも書かれていて、特にヴィアがよかった。
    オギーを愛する気持ちと、彼が普通じゃないという思いと。物分かりがよくならざるを得なかった彼女。
    普通じゃなくても愛してる。誰よりも深い愛をもっているのは彼女かもしれない。

    映画も観たいと思います。楽しみ。

  • これが児童書かと思うほど深い。
    格言などもあって大人でも読み応えがある。
    でも人前では読めない。涙が溢れる。

    訳も上手く、引き込まれて、さながらノンフィクションのよう読んでしまう。
    でも、最後の展開は現実にはあるかな?

    少年の素晴らしい性格が評価されるわけだけれども、障害があって、普通の性格だったらどうだったんだろう?
    障害者は、素晴らしい性格でないと、受け入れられないのか?

    ハンデがあっても性格で乗り越えられるというストーリーではあるけれど。

    映画も観たい


  • 「もうひとつのワンダー」を先に読んだんだけど、同じ書き方。
    同じ時間が何人かの子の立場で書かれていて、ものにはいろんな見方があるってよくわかるし、みんな、それぞれの場所で一生懸命生きてるって思う。
    特に顔の障害のある子の話なんだけど、そのこと以外の部分の方が印象深い。

  • 涙ぼろぼろ、鼻水たらしながら、読みました(^^;

    「普通」と「異常」って、なんだろう。
    「普通」じゃないものを、受け入れられないことも、また「普通」であるはずなのに…。

    さまざまな立場からの答えのでない葛藤が、つきささりました。
    答えがないからこそ、考えさせられるし、つきささる。

    やさしい物語すぎて、きれいごとに見えるかもしれませんが、それが児童書のいいところだと思います。

    だれかに、少しだけ親切になりたい。
    読み終えたあと、そう思えます。

  •  映画の予告で知った作品(公開は先、2018年6月15日~)。
     なんとなく話の筋は見えてるので、映画館で泣くのも恥ずかしいから、こっそり本で読んでおこうかと(笑)

     生まれつき障害を持った少年が、小学5年生になって初めて学校に通いはじめることで、本人はもとより家族、兄弟、クラスメートに起こる感情の起伏、悩み、友情、いじめ問題などを複数の視点から描いた、海外でのベストセラー児童文学とのこと。

     面白いのは章立て毎に話者が代わること。第1章は当然主人公のオギーからスタート。そのままずっとオギーの目線で物語が綴られていくのかと思ったら、2章は姉のヴィア、3章は友だちのジャックと次々と主体が入れ替わる(その後もオギーの章は2回、都合3章あるが、他の登場人物は1回ずつ)。
     思い出すのが『告白』(湊かなえ著)あたり。同じ出来事を時を遡って別の視点から見たら、ということで『告白』は事件の真相が知れていくという手法。主体が代わるが、誰かに当てての手紙や日記などで、いずれ見られることを想定しているからか、本心を隠しているようで腑に落ちないところがあった。一方、本書はモノローグだ。この点、語り手の本音が出ていると感じられて、巧いなと思って読んだ(『清州会議』(三谷幸喜著)もモノローグ調で本書に近い構成。コメディだけど)。

     映画の予告で知ったときは、障害を持った子供が主人公というセンセーショナルな企画に、これはきっと実話を元にしたものだろうと勝手に思い込んでいた(昨今、その手の映画作品が多いしね)。本書も、そうかと思ったら、作者P.J.パラシオの完全な創作なんだね。読みながらそこはちょっと驚いた。もちろん、いろいろ取材もしてのことだろうけど、なかなか勇気ある試みだなと思うところ。
     成功の鍵は、オギー中心の話でなかったことだろうか。もちろん、オギーは本書の主人公でヒーローなんだけど、オギーに関わるあらゆる子供たちが、それぞれに思い、感じ、行動したことが”本音”として描かれていること。誰もが誰かに感情移入することが出来そうだ。
     特に2章の姉ヴィアの気持ちとして、ある日、弟を疎ましく思う感情が生まれてしまったことを正直に書いてあるところなどが、実にいいなと感じ入った。

    「わたしの心のドアが開かれてしまった。ほんの小さなのぞき穴。そして、そののぞき穴のむこうには、二人のオーガストがいた。家族の目で見るオーガストと、他人の目で見るオーガスト。」

     周囲のこうした気持ちを隠さず記すことで物語の信憑性が高まる。またヴィアは女性として、将来、母親となる身としてこんなことも考える;

    「とても奇妙なことに、見た目からはぜったいにわからないけれど、父さんと母さんは二人とも、この変異遺伝子を持っている。
    そして、わたしも持っている。」

     こんな不安な気持ちも包み隠さず記しているところが、すごいと思うところ。

     とにかく、周りの子どもたちの反応が自然でいい。やはりオギーの異形の姿を見て敬遠するのも、その姿を変に気遣うことなく軽口を叩くのも、子供ならではの素直な反応。「こうあるべき」という大人の価値観で描かれていないところがなんとも素晴らしい。親友となるジャックとこんな風に打ち解けていくシーンが、とてもいい;

    ”ぼくはにっこりして自分の顔を指さした。「あのさ、この顔は整形手術後の顔なんだよ」
     ジャックはおでこをぽんとたたき、大声で笑いはじめた。「そりゃ、おまえ医者を訴えろよ!」
     今度は二人で笑って笑って、笑いころげた。”

     勇気を持って人前に出ることを選んだオギーもエライが、悩み苦慮しながらも打ち解けていく周りの子どもたちも立派だ(もちろん、どうしても受け入れられない子もいるが)。
     生まれ落ちた時、看護師さんが言ってくれた言葉がオギーの未来を予見していた。

    「神様から生まれてきた者はみな、世に打ち勝つのです」

  • 先天的な遺伝子異常で、生まれつき顔の作りがほかの子どもと大きく違うオーガスト・プルマン(オギー)が、5年生の歳になって初めて学校に通い始めた。家族や理解を示すごく一部の友達の助けを借りながら、周囲の無理解と向き合い、それでも明るく成長するオギーの1年。

    オギーやオギーの姉、友人らの独白というかたちで物語は進み、ひとつの物事がさまざまな視点から語られる。

  • 小学生高学年の課題図書だそうで、なるほど。

    オギーは普通の10歳の少年。顔以外は・・・
    彼が家族の元で過ごした10年間から、学校という社会に飛び出す。

    不安と怒りと喜びと
    それは彼と回りに人を年齢性別に関わらず
    巻き込んで変えていく。

    でも、一番変わったのはオギー自身だったかもしれない。

    主人公のオギーだけでなく、
    家族や友達の視点からの話があったのがよかったな。
    姉のヴィアの気持ちが辛かった。

    複雑な思いを持つ人間関係は
    他にもあるのだろうけれど

    『いつも、必要だと思うより、少しだけ余分に人に親切にしてみよう』

    というのは、いいかもね。難しいけれどね。

    もしも、お子様が読んでいたら
    是非、親御さんも読んでみて!と言いたいね。

    本を読まない人に限って
    子どもの本なんて!っていうんだもの、勿体ないよ。

  • 児童書のカテゴリーに入れてしまい、大人が読まないのはもったいない一冊。
    出版当初から評判が良かったが、納得。
    人間の可能性に期待出来る、読んだ人が皆、自分ももう少しこうしよう!と、未来を照らすような本でした。
    2016年読書感想文課題図書小学校高学年の部

  • この一冊に出会えたことに感謝。
    私は一人の書店員として、2人の子どもを持つ母親として、そしてこの世に生きる一人の人間として、全身でこの本を支持します。
    オギーの過ごした10歳の一年間で、彼の家族、先生、友だち、そして彼自身が得たものの大きさは、多分何物にも代えがたいもので。そしてこの物語を読むすべての人も同じ大きな宝物を得られるという幸せをかみしめる。
    生まれもっての障がいと折り合いを付けながら生きていくことの困難さ。とくに、顔に障がいを持つことがどれほどの差別やいじめを生むか、想像に難くない。どれほど家族が愛してくれたとしても、一生家の中でだけ生きていくことはできないわけで。だからオギーの両親も彼を中学校へ行かせることに決めたのだけど。その選択と、そして選んだ学校の校長の素晴らしさが生んだ奇跡。
    自分ならどうするか。ずっとそう自問しながら読んでいた。障がいを持つ子の両親なら、姉なら、友だちなら、そしてオギー自身なら…私ならどうしただろう。それぞれが語る章を読むとよくわかる。誰もが驚き、困惑し、悩み、もがき、苦しみ、そしてその中で一つの光に向かって進んでいく。その光の元にあるのは「勇気」。一人の少年と、彼の周りにいる心優しい人たちによって照らされた「勇気」という道をこの世に生きる全ての人が歩んで行けたとしたら。きっと今よりもずっと優しい世界になる。
    彼は奇跡である。だけどこの奇跡が「あたりまえ」のことになったとき、世界は愛と平和に満ち溢れたものになるのだろう。そんな日が来るまで私はこの物語を一冊ずつ手渡していくだろう。

  • 顔の形に生まれつきの障害を持つオーガスト、あだ名オーギーの中等部5年生の1年間の物語。これまでに読んだ本の中で、このどうしようもない一読者から涙を、わずからながらも引き出してくれたのはただただ感謝するしかない。
    オーギーへの両親の愛、オーギー自身の境遇、仲間への思いやりといったあらゆるものは、どれも真似できるようなものじゃない。勿論、真似なんてしなくていいわけだし、真似できないことは決して悪い訳ではない。
    常に善であり続けろと作品は訴えているのではなく、当たり前の親切心がいかに素晴らしく、その親切心の計量方法を心の内に宿す人間への愛を感じずにはいられない作品だった。
    あとは、ハリポタ感は随所に感じた。もう一度学生の頃をやり直したいと思わせるとても素敵な物語でした。
    話の構成も、物語の途中から各々の視点から物語を追う形であり、登場人物が何を考えているのか分かり易く、児童文学としても、よくできているのだと思う。
    ハロウィンでのジャックは、仕方ない側面があると思う。人間の思考や好み、信念ですら、明確な方向性を持つけれども、時と場合により、それが時折ぶれてしまうのは多々起こる。ジャックがオーギーを傷つけてしまったのは事実であるが、オーギーを傷付ける明瞭な意思はなく、後々の行動によって名誉を取り戻しているはず。
    これをいつまでも咎められる人間は、俺は信用ができない。
    サマーはヤバい。作中で唯一、このキャラクターだけにはリアリティーを感じられないが、こういうキャラクターには憧れもするし、何より大好きだ!!!。

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著者プロフィール

50ヶ国語に翻訳されたベストセラー小説『ワンダー』の作者。『ワンダー』は数々の賞を受賞し、児童文学賞の最高峰であるカーネギー賞の最終候補にも残った。2017年11月には米で映画が公開されている(日本公開は2018年6月)。

「2018年 『みんな、ワンダー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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