もうひとつのワンダー

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制作 : 中井はるの 
  • ほるぷ出版 (2017年7月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784593535224

もうひとつのワンダーの感想・レビュー・書評

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  • 『ワンダー』のスピンオフ。『ワンダー』は見た目に障害があるオーガストやオーガストの 周りの人たちが代わる代わるオーガストや自分ことを語っていく、オムニバス形式の物語。
    こちらは、オーガストを嫌っていじめていたジュリアン、母親同士が親友で小さい頃から友達のクリストファー、優等生のシャーロットが自分で語る物語。
    著者は冒頭で「冷静になれ、ジュリアンになるな」と、読者がインタネットにあげていたことが、この物語を書くきっかけだったと語る。祖母の秘密ご聞くことでジュリアンが過ちを認めていく話。
    どの話も思春期にさしかかった子どもたちの人間関係が分かる。こちらは万国共通。それから、アメリカの生活も。
    でも、一番感じるのは、著者の思い。色んな人を認める優しさや寛容さの重要性。反省したジュリアンに、寛容に。それぞれの行動にも表れている。クリストファーも変なバンド仲間と続ける。シャーロットも空気を読めない友人と、ずっと同じグループでやっていく。
    大人もなんだか最近は、寛容さが欠けてきている。職場でも、ちょっと変な人がいると、皆んなで批判したり。変わった人に厳しい。批判している人たちは皆んな、まともで良い人ばかりだ。だから余計に困る。

  • 『ワンダー』を読んだ時はその前向きさに心が奮えました。親切には勇気を伴うことがある。でもその少しの勇気があれば相手も自分も前へと進むことができる。そのことが実に真っ直ぐに書かれていたのです。
    オギーは普通の男の子。顔以外は。そんなオギーとオギーを取り巻く人たちの語りで構成されていた『ワンダー』。そこでは語り手とならなかった三人が今作では語り手となります。オギーをいじめたジュリアン、幼なじみのクリストファー、クラスメイトのシャーロット。『ワンダー』ではあくまでオギーの物語として書かれていましたが、ここでは語り手本人の物語として書かれています。だからこそ書ける物語がありました。そしてこの三人もまた普通の少年少女だったのです。
    前作ではいじめっ子として登場しそのままフェードアウトしたジュリアン。彼には彼の物語があり、彼の考えがあったのです。しかしその行動や考えは決して良きものではなかったのです。それにとって反省を促されますが彼は納得ができなかったのです。自分こそが被害者であると思っていたのです。異質な存在が自分の世界に紛れ込んだが故に起こった事件に巻き込まれた被害者であるとしか考えられなかったのです。そのことに対して彼の祖母は自分の体験を語ることで諭すのです。そして彼は自分自身で反省することに行き着くのです。そうジュリアンもまた普通の子だった、ただその普通の子が過ちを犯してしまった。その過ちに気付くことは勇気が必要でした。その勇気によってジュリアンは前へと進むことができたのです。
    この描き方の巧さに胸が打たれました。これは児童書だからこそ書くことのできることなのかも知れません。問題に対して真っ直ぐ目をそらさず書くことのできるのが児童書の強みでもあるのでしょう。
    そしてもちろんクリストファーにもシャーロットにも自分の物語があります。そのことを示すことによって却ってオギーのことが浮き彫りになることもあり、前作に出てきた他の人々にも思いを馳せることができます。そして『ワンダー』の世界が読み手の中で広がっていくのでしょう。

  • スピンオフ、読みたかったので嬉しい!
    ジュリアンのおばあちゃんの話、胸がつまる…。

  • あのとき、オギーの周りにいた、彼らの挑戦の物語。

    いじめっこのジャスティン、幼馴染クリストファー、同級生のシャーロット。彼らには彼らの語るべき物語があった。オギーほどではないかもしれないけれど、彼らも彼らにとっての大変な問題に挑戦していたのだ。小さな大事件が、オギーの物語と同時に、少しずつ関わったり関係なかったりするところで起こっていた。これらはオギーの周囲にいた彼らの、彼ら自身の物語。大人への第一歩の話だ。

    印象的なのはもちろんいじめっこのジャスティンについて。ネット上に「ジュリアンになるな」というようなスローガンが現れたと前書きにあったけど、あなたは本当にジュリアンを非難することができるのだろうか。ジュリアンは、自分はふつうの子だと言う。ジュリアンは特別に意地悪だったり、特別に悪い奴だったりするだろうか。違うだろう。誰でも、自分と違ったり、劣っていたり、「嫌だ」と思うものに対して、攻撃的な態度を取ってしまうことがある。私は「ジュリアンになりそう」な自分を否定することができない。

    聖書にも、姦通の罪を犯した女に石を投げる民衆に対して、一度も罪を犯したことの無い者のみ石を投げよ、と諭したイエスの話がある。ジュリアンの態度は決してほめられたものではないし、どんな事情があろうとも彼を正当化することはできない。どうしても受け入れられない気持ち、特に恐怖に関して、その感情を否定するのではなく、向き合って解消する。自分の犯した罪を認め、そこからどのように自分を変えていくのかを考える。そういう態度でいられるようになりたい。むしろ私は反省の意味を知り、新しい場所に向かおうとする「ジュリアンになりたい」と思った。

    クリストファーの話。友情は易しいものではない。どんな友人でも、全部を全部受け入れられるものではない。それが人間関係。オギーだけじゃなく、どんな友だちでも、友だちでいることが難しい瞬間があるだろう。クリストファーは、両親の関係やオギーやほかの友人との関係から、人が多面的で複雑で割り切れなくて、時にはいら立つけれど、でも、相手を思いやって関係を続けることの大切さを学ぶはず。そしてそれは彼の優しさや強さになる。

    シャーロットの話。女子の関係は難しい。ある面では仲良くし、ある面では一緒に過ごさない。あの子は私の友だちだけど、その子は私を好きで、彼女を嫌い。そんな点と点を繋ぐような関係は、誰にでも覚えがあるもの。シャーロットはダンスという一面で、異なるグループのヒメナと近付いた。シャーロットが描くベン図の分析は、よくわかる。共通点があったりなかったり、でも、何か共通点があれば、友達になれるのだ。外見からはわからなかったり、偶然何のことないおしゃべりから知ったりする共通点もある。アコーディオンのおじいさんのように。体験を共有して、くっついたり離れたり。いきなりすべてが変わるわけじゃない。変わらないことも大事。シャーロットはこれからも、様々な人と知り合い、その人たちの様々な面を見つめ、受け入れて優しく振舞っていくのだろう。

  • ワンダ、のお対の本です。本人ではなく、まわりの子どもたち側から見たお話。

    2017/10/31 更新

  • 人は見た目だけじゃない、差別しちゃいけんと思った。

  • ワンダーも良かったし、この「もうひとつのワンダー」も良かった。小学生高学年頃からの、友だち関係でごちゃごちゃしてくる年代の子に読んでほしい。

  • ワンダーの続編!というよりはスピンオフ作品でした。ワンダーはオギーの話だったけどこの話はその周囲にいるひとたちの話で、ふつうの子たちのふつうの話なんだけど、だからこそありふれている悩みや葛藤が書かれていて私はこちらの方が共感できました。特にシャーロットの話は女子だったら経験があると思うし、最後はぐっときました。
    ジュリアンはワンダーではただのいじめっこだったけど、彼なりにいろいろと考えがあって、しかも後日談もあったので良かったなあという思いです。

  • 創作物語。
    生まれつき顔に異常があるオギーが5年生になって初めて学校に通うことになった一年を描いた前作「ワンダー」の番外編。オギーにひどい態度をとっていたジュリアン、幼なじみで遠くへ引っ越していったクリストファー、先生にオギーの案内役を頼まれて普通に優しく接していたシャーロットの3人のそれぞれの一年を描いたもの。オギーの目から見ただけでは分からなかった三者三様の物語。それぞれの本音が語られ、思春期の友人関係の繊細なバランスや親切にすることの難しさなど、どの普通の子にも起こりうる状況を一人称の形で語っている。

  • 毎日見出し3つずつ読み聞かせてやっと読了。
    ジュリアンはオギーと正面から向かい合ったお話。クリストファーとシャーロットは、それぞれのストーリー(もちろんオギーは出てくる)。
    子どもだからしょうもないこともあるけど、みんなまっすぐに生きている。

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もうひとつのワンダーの作品紹介

いじめっ子のジュリアン、オーガストの幼なじみのクリストファー、優等生のシャーロットの3人の視点から語られる「もうひとつのワンダー・ストーリー」。この本の中ではオギーは脇役であり、オギーとの出会いによってそれぞれがどのように影響を受けて変化していったかを描いている。冒頭には、続編は書かないつもりでいた著者が『ワンダー』刊行後に米国で起こった「ジュリアンになるな」運動に違和感を持ち、本作を書くことにした経緯がつづられている。

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