骸骨乗組員 (扶桑社ミステリー キ 1-1 スケルトン・クルー 1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594002848

感想・レビュー・書評

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  • 5つの短編と1つの中編。どれもホラーがたっぷり盛り込まれている。中でも「霧」は映画、ミストの原作でホラーより怖いのは人間だと思い知らされる。再読で結末はわかっているが読み応えは充分にある。

  • 「握手しない男」
    握手すると相手が死ぬ呪いをかけられた青年
    「ウェディング・ギグ」
    ハードボイルド。太った女の結婚式で演奏する主人公。女の波乱万丈がよき。
    「カインの末裔」
    学生が窓から銃で…。僕らはみんな殺人者の末裔か。
    「死神」
    人を食う鏡。
    「ほら、虎がいる」
    学校のトイレに虎がいる。でも意地悪な先生が痛い目見るのでまあよいか。
    「霧」
    かの悪名?高き名作『ミスト』の原作。映画とはエンディングが違う。みんな違ってみんないい。非日常をリアルに書くのが最高にうまい。
    原作は少しの希望、映画は…

  • 全体的に胸糞悪いのですが、面白かったです。

  • ミストDVDを観る前に読了。監督のキング愛がよくわかった。

  • 短編集だけど、一番最後の「霧」だけの感想です。


    後味の悪い映画ランキング上位に必ず入ってる「ミスト」が、キング原作って知ってから観たくなって。
    (ちなみにわたし的後味悪い映画ランキング一位は「インクレディブル」)

    キングのは映画化されると残念になるのがわりとあるし、今年もドクター・スリープでがっかりしたばかり。
    (これは原作読まないと映画の感想を確定出来ないー。だって映画だと、映画のシャイニングの続編になってるよね?映画のシャイニングにはキングが怒ってたよね)

    ミストの原作探してる最中にうっかり映画の完全なネタバレを読んじゃって、確かにすごーく後味悪いラスト。
    でも、原作のラストは全然ちがうっていうから、映画より原作を先に読むことにした。

    原作は「霧」って中編。
    短編集「骸骨乗組員」に入ってるって知って、わたし絶叫。
    だってー。
    その二日前の古紙回収に、骸骨乗組員を出しちゃったんだもーん。

    断捨離断捨離呪文唱えながら、捨てる決意した文庫の大群をまとめてて、骸骨も表紙がボロボロだったから一緒に縛った。
    回収場に出してから、やっぱりあれは捨てちゃダメって思い直して、取り戻しに行ったら、いつもより早く回収の車が来てた。

    それにミストの原作が収録されてたなんてー。
    自分を責めながら買い直そうとしたら、リアル書店やブックオフとかでは全然なくて。
    地元図書館にもなくて、リクエストかけて遠方からお取り寄せでやっと借りれた。

    骸骨本持ってたのに、なんで読んでなかったんだろう。
    原作、一気読みしたぐらい面白い。

    主人公の住むところにあちこちの家屋が壊れるぐらいの嵐が通りすぎて。
    次の日、主人公は息子と隣人とスーパーに買い出しに。
    妻も誘ったけど、彼女は留守番を選ぶ。
    これが妻との最後。

    嵐の後に発生した濃霧がスーパーも包み込んで、なぜか辺りは停電。
    ラジオも入らない。
    濃霧の外に出た人たちが「何か」に襲われる。
    スーパーにいた人も、外から侵入してきた「見たこともない触手」に襲われて引きずり出されるのを、主人公たちが目撃。

    濃霧の中に恐ろしい巨大な何かがいるのがわかって、スーパー内はパニック。
    外に逃げようとした人たちはみんな殺されるから、どこにも行けない。

    そんなパニックモノで、文章なのに、「何か正体がよくわからない巨大な生き物たち(触手の他に虫や鳥みたいなのとかいろいろいる)」がすっごい怖い。

    パニック状態の閉鎖空間で、人間関係もいろいろ恐ろしい状態になっていく。

    この巨大な生き物はなんなのか。
    どこから来たのか。
    不気味な濃霧はなんで発生したのか。

    そういう謎は最後まで明らかになることはなくて。

    ただ「こんな状況から助かる方法はあるのか」っていう話なんだとおもう。

    最後は、置いてきた妻を心配する主人公も、息子と脱出する決意をする。
    同意の人たちと決行するけど、次々襲われて、脱出仲間の人数はあっさり減ってく。

    主人公は息子と数人とどうにか自分が乗ってきた車でスーパーから脱出。
    目指すは妻のいる「我が家」。

    視界ゼロの濃霧にはあちこちに巨大な生き物が蠢いている。
    その中を走る。

    映画と原作は、ここからのラストが全然ちがう。

    ある程度ネタバレになっちゃうから、知りたくない人はこの先は読まないでね。

    ↓↓↓

    映画は、ほんとにほんとに後味が悪い。

    キングはそのラストを絶賛したんだって。
    自分がおもいついてたら、自分もそうしたかった、って。

    えー。
    ほんとにそうなのー?

    って、わたしはキングに問いただしたい。

    だって。
    原作のラストこそが、キングらしいラストだったから。

    原作は、「これで終わり?」ってかんじで、物事はひとつも解決しない。
    主人公たちは救われてはいない。

    でも、あの終わりかたは、「希望」が在る。

    キングは恐怖と絶望の中に、愛や希望を描く名手だと、わたしはおもってるから。
    ただの怖がらせホラーじゃない。

    シャイニングだって、ペットセマタリーだって。
    あのホラーストーリーの一番のテーマは「愛情」。

    シャイニングのパパは息子を殺そうとしたんじゃなくて、生かそうとした。
    映画は、ただただ殺そうとしてただけだけど。

    映画ミストのラストは、キューブリックのシャイニングに怒ったキングなら、怒るとおもった。
    あの後味悪いラストは、物語を平凡なホラーにしちゃってる。
    ラストのインパクトで観客をうならせるだけ。
    それはそれでおもしろいホラー映画だとおもうから、映画もやっぱり観てみたいけど。

    それをキングが絶賛したっていうのが、ものすごい意外だった。
    (映画ドクター・スリープも絶賛してたんだよねー。キングも年齢重ねて、許容範囲広がったのかなー)

    でも、キングだから、あんな原作のラストを描ける。
    あのラストは、キングの感性がものすごくステキに表されてる。

    映画より恐ろしいことになるかもしれないけど、希望も在る。
    その「希望」の描き方は、まさに「霧」のタイトルが活きる。

    「霧」の向こうに絶望を置いた映画ラスト。
    「霧」の向こうに希望を置くキングの原作ラスト。

    キングの才能が、あのラストに溢れてる。

    映画にしたら「弱い」終わりかたなんだろうけど。
    言葉を紡ぐ小説だから、最後の一行の先を想像すると、その最後の一行に涙が出る。

    ラストの先に読者の想像を橋渡しする物語が、わたしは好き。

    わたしにとっては、スティーヴン・キングの才能を堪能出来た「後味のいい」小説だった。

  • 再読。短編集。
    「握手しない男」理由がわからない。
    「ウェディング・ギグ」ブラック・ユーモアが冴えている。
    「カインの末裔」無差別銃撃事件などはこんな動機かも。
    「死神」よくわからない。
    「ほら、虎がいる」トイレに虎って、ありえないけどリアリティ。好きだなあ、こういうスリリングなの。
    「霧」霧の中に潜む生物たちは、異世界(魔界)の異形のもの? 人間の愚かしさも特筆。まさかこれが永遠に続く? 映画のB級ホラーぶりよりはまし。

  • やっぱり『霧』は群抜いて傑作。ほかの視点のスピンオフとか面白そうだけど書かないんか。『カインの末裔』は、鬱屈学生と銃がテーマでハイスクールパニックの短編版といった感じ。『握手しない男』は怪奇色強くて好みだし、虎がいるだけの話も好き。

  • 短編&中編集。おおむねホラー寄りだけれど、少し奇妙な物語、という感の一冊です。
    お気に入りは「ほら、虎がいる」。タイトルが印象的というのもありましたが。なんともシュールで独特な雰囲気の作品です。そしてどことはなしにひっそりとした怖さも感じられるような。
    そしてもちろん、中編「霧」が一番の読みごたえある作品。再読ですが、映画化された「ミスト」を観てから再び読むと。恐ろしさは減じないのだけれど、映画に比べるとまったく後味が悪くない……映画はとっても素晴らしいと思ったけど。ラストが衝撃でしたもん。そうか、原作はこういうラストだったなあ、と。映画も小説も、どちらも傑作ですけどね。映画のラストで打ちひしがれた方はぜひ小説版を。

  • 「霧」がやはり秀逸。パニックになった人間の心理をよく表していて、モンスター小説の見本のような作品。

    それと「死神」「ほら、虎がいる」「カインの末裔」も個人的には凄く好み。

    特にカインの末裔は銃乱射事件に影響を与えたと言われているだけあり、短いのに余韻を残す作品だった。

    ホラーに異常な状況は必ずしも必要ではない。
    何気ない日常に一人頭がおかしい人間が紛れ込んだだけで、そこはホラー映画の世界になり得る。

  • 再読。

    なんど読み返しても中編「霧」はいい。
    緊迫感、絶望感に息詰る展開はキングの作品の中で最高峰。
    映画版も原作に負けずに好みの作品。
    結末は原作の方が僅差で好み。

    いつかはアローヘッド計画の一部なりとも明かして欲しいなぁ。

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著者プロフィール

1947年メイン州生まれ。高校教師、ボイラーマンといった仕事のかたわら、執筆を続ける。74年に「キャリー」でデビューし、好評を博した。その後、『呪われた町』『デッド・ゾーン』など、次々とベストセラーを叩き出し、「モダン・ホラーの帝王」と呼ばれる。代表作に『シャイニング』『IT』『グリーン・マイル』など。「ダーク・タワー」シリーズは、これまでのキング作品の登場人物が縦断して出てきたりと、著者の集大成といえる大作である。全米図書賞特別功労賞、O・ヘンリ賞、世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞など受賞多数。

「2017年 『ダークタワー VII 暗黒の塔 下 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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