バックマン・ブックス〈4〉死のロングウォーク (扶桑社ミステリー)

  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594004538

感想・レビュー・書評

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  • 07.01.04

  • 3

  • スティーブンキングがパックマン名義で書いた一冊。大学生の時に書いた実質的な処女作らしい。

    キング作品の特徴だと思うが、突如として理不尽な極限状況におかれた登場人物たちが必死であがく設定は処女作から健在だ。ある種の密室劇のようでもある。

    ストーリーは、近未来のアメリカで行われる「ロングウオーク」というゲームに参加した少年たちの物語だ。100人の少年たちが延々と歩き続けるだけのゲーム。最後に残った一人が優勝であり、途中で脱落した99人は射殺される。大きなどんでん返しは無く、ただただ理不尽な状況に置かれた少年たちの精神状態の変化が主題のようだ。退屈ではあるが最後まで読めたのはキングの筆力なのだろう。

    きっとキングは、強いストレス下に置かれた人間の精神状態に興味があるのだと思う。

  • 再読。
    最後の一人が残るまで、残りの99人は情け容赦なく射殺されるというデスゲーム。
    そもそも、なんでこんな無慈悲なレースが行われなければならないのか、殺されるかもしれないと分かっていながら、なんで少年たちはこのレースに参加するのか。
    そういった、説明出来ない背景は最初から最後まで無視され、レースに参加している少年たちの心情が描かれている。
    そういうものだと理解しても、ただただ虚しさだけが残る物語だ。

  •  別名義で発表されたスティーブン・キングの初期長編。しかしすごい設定だ。100人の若者が一斉にウォーキングにスタート。時速4マイルより遅くなると警告を受け、4回目の警告と同時に射殺される。最後に残った者が勝者で、つまり99人は死んでしまうのだ。時速4マイルは6.4キロだから相当な速さだ。水や食料は補給されるとはいえそれで寝ずに3日も4日も歩き続けるなど尋常ではない。物語は沿道の大声援を背に主人公のギャラティとともに歩き続ける同士たちのやりとりが主題で、自信、不安、葛藤、そんな若者たち内面の揺れが饒舌な会話体で描かれるところは、ちょっとスタンド・バイ・ミーを思わせる。こういう会話による人物造型はザ・スタンドもそうだけど、キングの得意とするところなのだなと思う。ただし、本作は奇抜なプロットの割には中身は平板で結末もパッとしない。そこが同じ名義で似たプロットのバトルランナーより弱い。

  • そもそも「勝ち残るか死ぬか」なんて物語が成立するのか?そんな疑問を持って読み始めた本書は、成立するだけでなく、死を組み合わせることで、少年たち、あるいは人間の極限状態を生々しく引き出すことに成功している。

    「勝ち残る」とはまさに残ることであり、脱落しないということだ。トーナメントで負けて去るというのとは違う。脱落した時には銃殺される。死んで脱落するか、脱落してい銃殺されるか。一定速度以上のスピードから遅くなった場合は、警告を受け3回以上警告を受けると銃殺される。

    何故若者はこのゲームに参加するのか。「勝ち残る」確率は極端に低い。それでも100人が参加するのは何故か?100人は選別されるのだ。選別されたかったのか?見物者からは称賛され、はやし立てられる。元気なうちはよい、数日もたてばボロ雑巾だ。それでも称賛されたいのか?賞品は決まっていない、望みの物を得ることができる。望みの物を得たいのか?

    少年達の気持ちの描写が際立っている、極限状態で死を望む者、生を望む者。参加した背景、レースにおける駆け引き。これを想像で描くのが小説家であると言ってしまえばそれまでだが、にしてもこの人間の極限を想像する想像力は凄まじいものがある。感銘というか恐ろしさする感じる作品だ。

  • H29.04.22 読了。

    「バトルロワイアル」が、この作品を元にしているというのを知り、読んでみた。
    が、翻訳作品独特の読みにくさ。

    そして謎が多く、結局どうなったの?
    散々無理して読んだのに何この仕打ち。

    話の設定とかは面白いはずなのに、
    肝心の内容が好かない。

  • 近未来のアメリカで開かれる「ロングウォーク」という競技は、100人の少年が最後の一人になるまでただひたすら歩き、途中で立ち止まり警告を三度受けると射殺されるというものだった。それに参加した少年たちの運命は…

     近年の作家さんや漫画家さんが同じアイディアで作品を書いたら、十中八九、疑念と裏切りだらけのデスゲームになりそうですが、その要素を強く押し出さず、あくまで青春小説ぽさを押し出すのがキング流なのかなあ、と思います。

     どんでん返しというわけでもなく、ひたすら歩くというシンプルな展開ながら読ませるのはさすがキングの筆力! アメリカの少年たちの会話なので、日本とは少し違う感じはしますが、でも何か不思議と読んでしまう雰囲気があります。

     競技中の差し入れは禁止されているのですが、そんな中少年たちにスイカを渡そうとする沿道の応援者が現れます。見張りの兵士たちの目をかいくぐり、スイカを受け取る少年たちの姿は、冒険ごっこをしているような、ワクワク感を読者も感じると思います。だからこそ参加者が減っていく終盤の緊迫感と異常な雰囲気が引き立ちます。

     危険な競技だけに、少年たちの競技への参加動機があやふやだったのが、ちょっと気になったかなあ。少年たちが「ロングウォークはくそだ」的なことをたびたび言っているのですが、「そんなの参加する前からわかるだろ」というのが正直な自分の感想。だからこそ、もうちょっと動機を書き込んで納得させてほしかったです。

     キングの初期作らしいですが、今のデスゲームものとは一味違い、そしてそれに負けない面白さも感じさせる作品だったと思います。

  • 残念ながら、あまり嵌まれなかった。ある程度以上翻訳の都合だとは思っている。

    プレイヤー同士は直接干渉できないデス・ゲーム。
    体力勝負がメインで、精神攻撃は味付けの様な。
    キャラが立ってるのも数人だし、100人もプレイヤーいるのにドラマが単調で何だか勿体無い気がする。

  • キングもバックマンも同一人物だけれど、バックマンの作品の方が、不協和音が聞こえる気がする。
    黒板を爪で引っ掻いてキーキーさせてるような。

    希望がないというのか、なんというのか。

著者プロフィール

1947年メイン州生まれ。高校教師、ボイラーマンといった仕事のかたわら、執筆を続ける。74年に「キャリー」でデビューし、好評を博した。その後、『呪われた町』『デッド・ゾーン』など、次々とベストセラーを叩き出し、「モダン・ホラーの帝王」と呼ばれる。代表作に『シャイニング』『IT』『グリーン・マイル』など。「ダーク・タワー」シリーズは、これまでのキング作品の登場人物が縦断して出てきたりと、著者の集大成といえる大作である。全米図書賞特別功労賞、O・ヘンリ賞、世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞など受賞多数。

「2017年 『ダークタワー VII 暗黒の塔 下 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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