国民の歴史

著者 :
制作 : 新しい歴史教科書をつくる会 
  • 産経新聞ニュースサービス
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  • Amazon.co.jp ・本 (774ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594027810

感想・レビュー・書評

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  • 日本

  • 何故に目くじらを立てるのか…
    それは思想的におかしいからだとおもうのだ。
    正しいか否かではなく、すでに常軌を逸しているからだとおもう。

  • 20年近く前に購入し、このような歴史の見方もあるのかと目を見開かされるものであった。いずれ本書を読み返し、その批判本も触れながら「歴史」を味わっていきたい。

  • 物凄く長くて読んでいたら最初挫折しそうになったけど、著者の歴史はわからないという読者目線に支えられて非常にわかりやすい文体で日本の歴史を解説してくれた。かなりの労作!

  • 中国文明と日本文明の異質性
    文化圏ごとに異なる歴史認識

    日本語 系統不明の孤立言語のひとつ
    訓読みの成功と日本文化の自立

    魏志倭人伝は歴史資料に値しない。

    町づくりにおける日中の思想の相違 軍事基盤とは考えられない日本の都

    縄文火焔土器 新潟越後中心に出土

    運慶 慶派仏師の略系図

    アジアは西洋より豊かで進んでいた。

    理想主義者ウィルソン大統領の仮面の下にあるもの
    排日移民問題と開戦論

    アメリカが先に日本を仮想敵国にした。

    終戦の日 親にも言えない動物的恐怖 民間にひろがった自己破壊の衝動と未来への拒絶

    日本が敗れたのは「戦後の戦争」である。
    「日本国民に罪過の観念を植えつけねばならぬ」

    冷戦 日本の国内にベルリンの壁があった。

    カール・ヤンパース「責罪論」①刑法上の罪②政治上の罪③道徳上の罪④形而上的な罪

  • 「新しい歴史教科書をつくる会」の会長を務めた著者が、日本の歴史について論じた本です。タイトルから通史的な内容を連想するかもしれませんが、著者の関心のあるトピックについてのみ取り上げられています。

    日本を一つの文明として捉える観点が採用されており、中国や朝鮮半島からの文化的影響は限定的で、日本に取り入れられたものにしても、日本の主体的な選択がおこなわれていたということが語られています。一方、江戸時代に関しては、川勝平太の海洋国家論が踏襲されており、「鎖国」と呼ぶのは実情に合わないという議論が展開されています。

    本書全体を通して、中国文明にしろ近代文明にしろ、普遍性を掲げる文明に対する懐疑的な見方が貫かれています。そこに、日本の特殊性を強調する排他的な立場を見る向きもあるかもしれません。ただ個人的には、人類の文明の普遍性に対する著者のペシミスティックな認識に強い印象を受けました。

  • 新しい歴史教科書をつくる会の書いた本であり、歴史は日本が正しい、日本が特別な国、韓国の不当な日本への怒りなどが書いてあり、偏見、反共・反欧米・反キリスト教イデオロギーに満ちた歴史と思わざるを得ませんでした。34の論文からなる歴史の各時代の著述は古代ほど興味深いものがありました。特に日本語確立への苦闘は、いかにして漢字を日本語とマッチさせていったか、これが現代の日本の知識レベルの高さを支えているわけで、面白かったです。魏志倭人伝は歴史的資料に値しないという主張もそうかも知れません。

  • 積み木というとき通常それは何を指すであろうか。木片という物体(事実)を指すこともあれば、それで積み重なった造形を指すこともあろうし、また木片をもって遊ぶ行為(解釈)を指すこともあるだろう。

     歴史もその比喩に似て、歴史的事実とその意義や解釈を時には狭義に、時には広義に指すこともある。いずれの場合にでも、そこにはそれを見つめるある視点、文明、価値観、人間を前提にする。でなければ、過去の事象それ一切はただの物理現象に過ぎない。

     E・H・カーの有名な言葉「歴史とは過去と現在との対話である」はその意味で歴史の本質をついている。問題はその対話は過去と現在の2者の間だけでなく、周りに聞こえていると言うことである。その対話の中身について様々にあれやこれやとボクシングの外野の応援、ヤジのように姦しく叫ばれる。

     歴史を観るレンズは現在に近づくほど歪む。また歴史は思ったより古くはない。せいぜいが一万年前、有史ということでいえば数千年の時間でしかない。この短期間の人間の生物史を概観するに、人間の精神的、文化的発達史は未だ熱いスープにある。いわば料理の途中である。我々は歴史から何ほどかを学ぼうとするが、未だ現在を全世界の知性が納得を持って是認するほどの完全性を持ち得ていない。

     しかし、歴史はまさにその評価、解釈の不全性、未然性にこそ価値がある。その価値とは学問的と言うことではなく、まさにゲームをクリアしていないからこそのゲームをプレイする価値のようなものである。

     歪んだレンズで歴史を観て、解釈し、論ずるうちが歴史の華である。やがて文明が進み、人類の精神史にとって未然のことがなくなったときに、我々は今現在嘆いている歴史の残酷さ、悲惨さ、人類の未熟さをある種懐かしさと羨望をもって振り返るときが来るかもしれない。

     戦争が止み、世界が平和になり、不幸が無くなったとき、それは今現在の世界が目指すゴールの1つであるとは思うけれども、いざそこに到達したときの人類の精神の手持ちぶたさはどんなものであろうか。人類に潜む悪や不幸をすっかり取り除いたときの圧倒的な意味の喪失、退屈さに人は耐えられるであろうか。そうなったときに歴史はまさに物語として終焉を迎え、長編小説の1つに数えられるに過ぎないのでは無いか。

     神権政治、絶対王政、封建主義、社会主義、民主主義とたかだか数千年でここまで来た人類の文明が資本主義の発展と情報技術の浸透で加速しつつある中、千年後に一体どんな精神的、文化的、文明的、社会的未知が残されているのだろうか。

  • 774ページある縄文時代から現代へ連なる日本史の本。ダラダラ年号覚えるのではなく、世界史の中の日本史というスタンスで「日本」という一つの壮大な物語を読んでいる気分になった。

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著者プロフィール

西尾 幹二(にしお・かんじ):1935年、東京生まれ。東京大学大学院修士課程修了。ドイツ文学者、評論家。著書として『国民の歴史』『江戸のダイナミズム』『異なる悲劇 日本とドイツ』(文藝春秋)、『ヨーロッパの個人主義』『自由の悲劇』(講談社現代新書)、『ヨーロッパ像の転換』『歴史の真贋』(新潮社)、『あなたは自由か』(ちくま新書)など。『西尾幹二全集』(国書刊行会、24年9月完結予定)を刊行中。

「2024年 『日本と西欧の五〇〇年史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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