地獄の世紀(下) (扶桑社文庫)

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  • 扶桑社 (2004年5月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594046521

地獄の世紀(下) (扶桑社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 現代を舞台にしたゾンビ・アポカリプス長編小説。
    世界中の大人達が突如として子供達を惨殺し始める中、19歳以下の少年達が懸命にサバイバルする話。

    出だしの緊迫感がすぐさま失速、スリリングな展開からは程遠く。もっとシビアな世界観でバイオレンスなゾンビ小説を期待していた自分としては物足りない。
    当初の期待が大きすぎたため、決してつまらない訳ではないけれど、最高に面白いとも感じない。全体的に物足りない点が非常に多かった。

    凄惨な内容を扱っている筈なのに、全然グロさを感じない。数年後の成長した主人公による回顧録といった体裁のため、良く言えばリズミカルでさくさくと読みやすく、悪く言えば描写が軽すぎてぺらっぺら。世紀末サバイバル物としてのリアリティは感じられず、ぞくぞくとしたホラー小説としての興奮も覚えない。なのでラノベにカテゴライズされるべきライトな作風。
    また、そこまでの困難も活躍もなく、主人公がなんやかんやと持ち上げられて英雄になってゆくように感じられ、「ちょっと主人公補正がかかりすぎじゃない?」と作者のご都合主義を疑ってしまった。

    下巻ではきちんと謎が解明されるけれど、その解明する部分も動きがなく説明ばかりでやや単調。
    大人達が子供達を殺害するようになった理由としては成る程な、と思わされたけれど、一人の少女が考えついた答えをそのまんま受け入れろと言われても消化不良感が残る。もっとそう思わせるエピソードや根拠を作中で示して欲しかった。

    とは言え、このジャンルに特に思い入れのない人にはちゃんと楽しめる長編小説だと思う。
    個人的には十代の頃にこの小説に出会えていたら、文句なく☆5つを付けていた。

  • いつもと変わらぬ日曜日。街の通りで少年が惨殺された―実の母親の手に握られた斧によって。その日から17歳の少年ニックの日常は一変する。全ての大人が一斉に子供たちに向って牙をむいた。未成年であれば新生児から高校生まで無差別に血祭りに上げられていくのだった。弟は両親によって殺され、ニックはあてもなく逃避行を試みる。やがて同じように逃げ延びた子供たちと団結しての生活が始まるが、その共同体にも暗い影が忍び寄る……。

    突如始まった親による子殺し―ということで永井豪の傑作「ススムちゃん大ショック!」を思い浮かべたが、後半で変異の原因を進化論に絡めて長々説かれる段になって興ざめ。うーん、恐怖感は薄れたな、と。作品は主人公ニックが書き記した記録という体裁なので、狂気に駆られた大人達側の視点は一切入ってこない。
    まぁ、まともな感情や理性が残ってたらあらゆる親が自分の子供を何の躊躇いもなく屠ることなぞできるわけがないんだが(それが珍しくない現実の社会状況にもなっていることが怖い)。

    何より字体が大きい。創元推理文庫並のフォントなら1冊で収まったんじゃないか。
    子供だけ(19歳未満)の世界ってことではゴールディング「蝿の王」や楳図かずお「漂流教室」を思い起こす……ホラーだと読まずに終末パニックSF的なジュブナイルと考えた方がいいかもしれない。
    ちなみに、読んでいる間は(当然ながら)主人公に感情移入しているんだが、この作品世界では自分は無条件に「子供を殺す側」なんだよな……。

  • >人間にも、前には進まずにはいられない本能のようなもの
    >この宇宙だって、どうやって動いているのかを知りたくなって、時計を分解するみたいに壊して研究してみないと気がすまないっていう、
    >自分のことはもう他人になんて理解されないんだと思い込む=思春期?
    >無意識、夢
    >無意識の心ー神?
    >夢)無意識?
    >人類はその超自然的な存在とコミュニケーションをとるために、何千年にもわたって本能的に努力しつづけてきたってことだな。その存在がどこか深いところに隠れ、なにか重要なメッセージを伝えようとしていて、それを受け取ることができれば、以後永遠に幸福にくらせる、と、われわれは信じてきたんだ
    >なんでもいい、<なにか>を信じてさえいられれば、それが真実かどうかなんて、今はもう関係ないんじゃないか?
    やがて山の頂きにきて朝日を浴びると、なにが真実かがわかった。思わず笑みが浮かび、言葉が口をついてでた。「おはよう、俺の中のもう一人の自分よ。いい朝じゃないか。お前もこの目を通して景色を見られるのかどうかわからないが、ここでは何マイルもつづく森と、青い空と、それから何万トンもの白砂糖をぶちまけたみたいな一面の雪景色のど真ん中だ(箱船からエクスデールに向かう途中で、小屋で執筆を始める直前

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