地獄の世紀(下) (扶桑社文庫)

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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594046521

感想・レビュー・書評

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  • 現代を舞台にしたゾンビ・アポカリプス長編小説。
    世界中の大人達が突如として子供達を惨殺し始める中、19歳以下の少年達が懸命にサバイバルする話。

    出だしの緊迫感がすぐさま失速、スリリングな展開からは程遠く。もっとシビアな世界観でバイオレンスなゾンビ小説を期待していた自分としては物足りない。
    当初の期待が大きすぎたため、決してつまらない訳ではないけれど、最高に面白いとも感じない。全体的に物足りない点が非常に多かった。

    凄惨な内容を扱っている筈なのに、全然グロさを感じない。数年後の成長した主人公による回顧録といった体裁のため、良く言えばリズミカルでさくさくと読みやすく、悪く言えば描写が軽すぎてぺらっぺら。世紀末サバイバル物としてのリアリティは感じられず、ぞくぞくとしたホラー小説としての興奮も覚えない。なのでラノベにカテゴライズされるべきライトな作風。
    また、そこまでの困難も活躍もなく、主人公がなんやかんやと持ち上げられて英雄になってゆくように感じられ、「ちょっと主人公補正がかかりすぎじゃない?」と作者のご都合主義を疑ってしまった。

    下巻ではきちんと謎が解明されるけれど、その解明する部分も動きがなく説明ばかりでやや単調。
    大人達が子供達を殺害するようになった理由としては成る程な、と思わされたけれど、一人の少女が考えついた答えをそのまんま受け入れろと言われても消化不良感が残る。もっとそう思わせるエピソードや根拠を作中で示して欲しかった。

    とは言え、このジャンルに特に思い入れのない人にはちゃんと楽しめる長編小説だと思う。
    個人的には十代の頃にこの小説に出会えていたら、文句なく☆5つを付けていた。

  • >人間にも、前には進まずにはいられない本能のようなもの
    >この宇宙だって、どうやって動いているのかを知りたくなって、時計を分解するみたいに壊して研究してみないと気がすまないっていう、
    >自分のことはもう他人になんて理解されないんだと思い込む=思春期?
    >無意識、夢
    >無意識の心ー神?
    >夢)無意識?
    >人類はその超自然的な存在とコミュニケーションをとるために、何千年にもわたって本能的に努力しつづけてきたってことだな。その存在がどこか深いところに隠れ、なにか重要なメッセージを伝えようとしていて、それを受け取ることができれば、以後永遠に幸福にくらせる、と、われわれは信じてきたんだ
    >なんでもいい、<なにか>を信じてさえいられれば、それが真実かどうかなんて、今はもう関係ないんじゃないか?
    やがて山の頂きにきて朝日を浴びると、なにが真実かがわかった。思わず笑みが浮かび、言葉が口をついてでた。「おはよう、俺の中のもう一人の自分よ。いい朝じゃないか。お前もこの目を通して景色を見られるのかどうかわからないが、ここでは何マイルもつづく森と、青い空と、それから何万トンもの白砂糖をぶちまけたみたいな一面の雪景色のど真ん中だ(箱船からエクスデールに向かう途中で、小屋で執筆を始める直前

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