中国の嘘―恐るべきメディア・コントロールの実態

  • 25人登録
  • 4.00評価
    • (3)
    • (4)
    • (3)
    • (0)
    • (0)
  • 5レビュー
著者 : 何清漣
制作 : 中川 友 
  • 扶桑社 (2005年2月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (486ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594048761

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

中国の嘘―恐るべきメディア・コントロールの実態の感想・レビュー・書評

  •  甘い。甘すぎる。そーすいーと。この本を読み終わって、読む前の自分に投げる言葉がコレ。メディアに中国関連のニュースが出ない日はなく、上海などに観光に行く人も多い。経済的な交流が深まるにつれ、いつのまにかすっかーり中国を「普通の国」(普通って何よ、というのは置いておいて)と思いこんでいた自分に、がつんとハンマーくらわされた感じ。
     著者の何清漣氏は経済学を学んだ後、ジャーナリストとしても活動。国内での著作活動で当局ににらまれた結果、アメリカに出国を余儀なくされたという。その彼女が、中国の情報操作・報道規制の実態を告発する、というのが本書だというのだが……。その内容は、自分の想像をはるかに超えるものだった。

     共産党の一党独裁下で、メディアがプロパガンダ・マシーンとしての機能を大きく背負わされているのは、言うまでもないこと。新聞を発行するには政治的な審査・許可が必要だし、もちろん検閲ありだし、さらには厳しい管理をくぐり抜けた内容であっても「後の結果で処罰されることがある」という。
     共産党の支配を強化するため、いいニュースは誇張され、悪いニュースは隠蔽される。本書では鉱山事件81人が死亡したにもかかわらず、地方の政府部門が情報を徹底的に閉ざし、事故があったことそのものを否定する様子が書いてある。
     新聞だけではなく、インターネットにも厳格な統制が及んでいる。中国のYahoo!で「台湾独立」を検索することはできない……なぜならいくつかのキーワードが検索禁止になっているから。さらにユーザーの書き込みそのものがサイバーポリスを使って監視されていて、「異論者」は逮捕。これには最新の技術が使われていて、そのためのシステムを米シスコ社が受注したとして、国境なき記者団が糾弾の声を上げている。この状況では、ユーザーも「自律」しないではいられないだろう。
     報道規制だけではなく、情報そのものの操作も行われる。GDPなどの経済指標の数字まで、末端から数字がかさ上げされている始末だという。

     先日、中国各地で行われた「反日デモ」が大きな話題となった。あの事件の報道にしても、日本の発表と、中国で報道された内容は大きく食い違うものだった。9.11テロの際、中国では快哉を叫んだ人も多いと言うが、それがどのような報道規制・教育の成果によるものかは、考えておく必要があるだろう。
     もちろん、中国人すべてを中国共産党に洗脳されたロボット集団と考えるのは大きな誤りだ。たとえば戦前の日本だって、新聞は嘘八百だし、現人神はいるし、治安維持法だってあった。でも、その当時の日本人すべてが、教育勅語で天皇万歳なロボットばかりじゃなかっただろうし、ひとりひとりの日本人が邪悪なわけでもなかったに違いない。ただ、当時の日本人と今対話するなら、やはり当時の背景を知っておくほうが有益な話し合いができるんじゃないか、と思うのだ。
     経済的な交流を背景に、中国との関係は今後ますます重要度を増していくだろう。中国側の態度を見極めるため、そして何より、中国の民衆が置かれている立場を見極めるために、非常に有益な情報を提供してくれる本だと思う。

  • 「中国現代化の落とし穴 噴火口上の中国」何清漣氏の力作

    青年期に読んだ エドガースノーの「中国の赤い星」を想い起した。希望に輝く中国共産党に強い印象を受けた。

    あのエドガースノー氏が晩年、1970年から71年中国を訪れこれが共産主義の中国かと、悔恨したという。現代の中国を見たら何と答えるのだろうか?

  •  マスコミを通してしかほとんど知らない中国。しかし、その報道内容のほとんどが意図的に作り上げられたものだったら。その実態が詳細に紹介されている。
     依然として厳しい規制の中で発信される中国の事故災害情報や政治腐敗などの“マイナス・ニュース”は、状況設定をかなり深刻に読むべきだというのが
    著者のアドバイスだ。従ってこれらのニュースが「こぼれ出てくる」ときには問題はかなり深刻だという。
     『アメリカの農村に行かなければアメリカの豊かさはわからない。中国の農村に行かなければ中国の貧しさはわからない』。中国の農村の状況については要注意だ。

全5件中 1 - 5件を表示

中国の嘘―恐るべきメディア・コントロールの実態はこんな本です

ツイートする