黒い夏 (扶桑社ミステリー)

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制作 : Jack Ketchum  金子 浩 
  • 扶桑社 (2005年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (593ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594049836

黒い夏 (扶桑社ミステリー)の感想・レビュー・書評

  • 初ケッチャム。「隣の家の少女」が今んとこ図書館で貸し出し中だから、こちらにしてみた。

    救いようのない、とか、気分の悪くなるような、ということをよく言われる作者のようなのだが、
    とりあえずこれはそこまでは感じなかった。
    各々のキャラクターについての短い章を並べていく構成なのだが、小さな心の動きの描写が上手いなーという印象。

    いちばんいいなと思ったのはキャサリンのシークエンスとその終わり方。
    この物語は勧善懲悪とは程遠い。勇気や高潔や献身が報われず、惨めなコンプレックスまみれの男の暴力によって踏みにじられ、題名のとおりの「喪失」が全てを覆う。にも関わらず、どこかで因果応報とか希望とかを期待していないわけではないような「態度」を僅かに見せている。
    まだこの一冊しか読んでいないので、もしかしたらそれは読者サービスというか、こんなもの刊行できないと言われないための緩衝材なのかもしれないけど(笑)。

    ていうかこの作品を読んでも銃規制に反対する人っているのかしらという素朴な疑問。

    あ、あと結構重要な場面で一箇所サラッと「ティム」と「レイ」を間違ってるところがあって、ビクッとしてしまった。この誤植がいちばん怖くないか?

  • 登場人物に魅力を感じなかった。
    最後の部分以外退屈でした。

  • ジャンキーな話。
    不良の落ちぶれていく様というそんなに興味深い話でもない上に、主人公の暴君ぶりが不快・・・なのに、飽きずにページを繰る手が止まらず。
    翻訳者の解説に「不快さを熱っぽく語れる」とあったが、あぁ確かにその通りだと思った。
    こいつは性根の腐ったやつだな、と心から思える主人公も珍しいかもしれない。
    最後の最後まで「こんなにも酷い奴なんだ」と熱心に物語られていて、一体最後はこいつにどんな酷い仕打ちが待ってるんだろう?と考えながら、先が気になり仕方なかった。ある意味ワクワクしてしまったのかも。
    ・・・私自身もかなりの性格の悪さ・・・。欝だ。
    それを感じさせるのが作者の狙いならしてやられた。

  • ジャックケッチャムの長編。
    相変わらずの後味の悪さは流石。

    レイの徐々にエスカレートしていく行動に対し、反抗できない
    取り巻き達。
    伸びる警察の捜査。

    分厚いけどハラハラドキドキと読める。
    但し、読後感は悪い。

    そういうのが好きな人にはちょうど良いと思う。

  • 田舎町に住む老若男女の群像劇。そして猫。それから、お約束の阿鼻叫喚の地獄絵図。
    ただ、食人族シリーズとは違う渋味が臓腑にじくじくと染みる。

    暴発しやすい不良少年レイが起こした惨劇、それを隠す幼なじみのジェニファーとティム。
    惨劇の被害者家族を気にかける、家庭に問題を抱える刑事チャーリー。
    恐ろしい悲劇から逃れるため引退した元刑事のエドと、若く聡明なサリー。
    精神を病んだ母親との関係に苦しむキャサリン。

    日々の暮らしの中、それぞれの行動が少しずつレイを刺激していき、そして突然、暴力の雪崩を呼ぶ。

    もちろん、レイの行いには何一つ褒められたものはない。ナルシストで傲慢で独りよがりであまりにも無知。だけど、中盤辺りからどことなく、愛すべき一面もみえてくる。キャサリンを手に入れようと無理してみたり、彼女の挙動に一喜一憂する。彼も恋したら変わるだろうか?なんて、淡い幻想を楽しんだりもした。

    しかしキャサリンの母親の死で、レイの恋は終わってしまう。他にも悪いことが重なった。レイは獲物を追って罠にかけられた猫のようだった。後には止めようのない落下しかない。そしてその墜落に、繊細で善良な人々が巻き込まれ傷つくのだ。レイを木の上に追いやったことをほんの少しずつ背負いながら。

    レイのようなブラックヒーローの魅力はどこから来るのだろう。

    清廉潔白な人々は、レイなんぞ虫ずが走るのかもしれない。しかし私のごとき臆病で狡く矮小な人間は、レイや「時計仕掛け」のアレックスのようなキャラクターがちょっと好きだ。
    とんでもなく理不尽で乱暴で傍若無人。私の心そのものだ。ただ、社会からつまはじかれては何かと不自由なので、善良な一市民を演じている。挙げ句高尚ぶって分厚い本にカバーをかけ、スーツにパンプスという真面目腐った格好で静かに電車に座り、人知れず猟奇ポルノを楽しんでいるというわけだ。

    つまり社会へご迷惑を撒き散らす彼らブラックヒーローは、私の復讐を代行してくれているように思えて、胸がすくのかもしれない。

  • 1965年夏、ニュージャージー州の保養地スパルタで、地元の不良青年レイはキャンプをしていた二人の女子大生に向け、面白半分に発砲した。一人はその場で絶命、もう一人も意識不明のまま四年後に死亡した。1969年夏、中年刑事チャーリーはこの事件の再捜査を決意し、レイに圧力をかけて新展開を図ろうとする。麻薬とセックスを生きがいとする鬱屈した若者レイは、追い詰められた末に…。 あいかわらずのジャックケッチャム。

  • 登場人物の内面が丁寧に描かれており骨太で、ある種のルポタージュを読んでいるような気分にさせられる。異常殺人者に振り回される刑事や一般市民という構図とは少し違って、人物ひとりひとりのぶつかりあいやら葛藤やら社会的立場やらが巧く絡みあっていて面白い。ケッチャム作品は残酷で救いがないが、彼の描く人間像のおぞましさや、鋭い視点が好きです。

  • 「隣の家の少女が」強烈過ぎてどのケッチャムも衝撃がゆるい気がするがまやかしであるのである……
    後味が悪かった……こうなるのか、やっぱり。

  • 犯人が追い詰められていく様にハラハラした

    後味の悪さが彼の作品らしい

  • 自分にとってケッチャム作品はこれが2作目。
    構えていたよりも鬼畜度は抑え目で、どちらかと
    いうと人間の内面がジワジワと崩壊していく様を
    かなり冷淡に根気強く描いた、ある意味陰湿な
    作品のような気がします。

    もともとイカれていた? 主人公の「レイ」のある夏の
    殺人事件の冒頭から入る今作ですが、そもそも、
    その「レイ」が人格破綻者に至る経緯も一切なく
    どこの都市にも普通にこういったヤツは普通に
    暮らしているんだぜ...的な描き方が恐い。

    鬱屈して行き場のない若者の苛立ち。
    その冒頭の事件の犯人である「レイ」にたどり着きながらも
    決定的な証拠を挙げれずに放置させている刑事の
    鬱屈。このネガティヴなオーラが暴発した時に再度
    「レイ」は凄惨な事件を引き起こす。
    その引き金が”シャロン・テート事件”という構成は
    圧倒的な上手さ。褒められる話しではないんだがw。

  • 購入してから一年を経てやっと読了したケッチャムの新作。この緊迫感、息苦しさ、読み進めるのが辛くなって本を閉じたくなるけれども、それでもやめられないこの感覚……やはりケッチャムはケッチャムだった。

  • 邪悪で残酷な人狩りの話。
    でもパラグラフが短く、どんどん読み進んでしまう。
    巧い作家だと思う。
    確かに、殺人シーンは容赦のないサイコスリラーなのだけれど、
    各人物・背景の描写がしっかりしており、
    良質のハードボイルドを、読んでいる錯覚すら覚えた。
    ラストをもう少し膨らませてもらえたら、嬉しいのに…。

  • ケッチャムの中でも好きな方
    追いつめられてとそっからの暴発が良い感じ

  • たのしい。おもしろい。指がどんどんページをめくる〜

    おまけ的ヨロコビ・・・ラスト,「レイ」がガチムチアフリカ系にーちゃんに刑務所でヤられるシーンはおいしかったぁ☆
    ごちそうさま〜

    ふぇてぃっしゅ的たのしみ・・・「ギンプ」.....猫のなまえ。おきにいり。

  • 高校生が殺人を犯していく話。
    ケッチャム作品の中で一番の長編というから、さぞかし猟奇的なことが詰まってるのだろうと期待してたが、“シチュエーションを丁寧に描いている”というだけでソフトな仕上がりだった。
    「隣の家の少女」は越えれませんねぇ。

  • 後味最悪な所がケッチャム氏らしくてすごかった。

  • 昨今の社会情勢から、てっきり自主規制がかかったのかと思っていた、
    ケッチャムの久々の新刊!
    なんの理由もなく、キャンプ場に来ていた二人の少女を撃ち殺したレイ。
    刑事のチャーリーとエドは、最初から彼を疑っていたが、証拠がなく逮捕できなかった。
    4年後。
    レイは麻薬とセックスに明け暮れるだけで、特に何も起こさない。
    チャーリーは、レイがボロを出すようにプレッシャーをかけるが……
    あらすじだけだと、割とおとなしめ。
    ……いやー、やっぱり初っ端から狂ってました。
    後味も悪いし(いいのないけど)
    今までと比べて、登場人物が多い。
    全体の3分の2くらいまでは、それぞれの生活や、
    暗い過去も含めて、キャラクター造型がかなり描かれていて、
    それが「殺されないで!」と「どんなひどい目に遭うんだろ……」
    という相反した感情移入をすることに。
    特に主人公と言えるレイは、短期で偏執的、女と麻薬のことしか頭になく、
    プライドが異常に高い様子が積み上げるように書き込まれ、
    物語が進むに連れ、彼の中で圧力が高まり、ひび割れれていく様子がわかり、ひどく緊張させられる。
    そして、ついに爆発し……
    ちょっと平野耕太の『ガンマニア』を思い出しちゃった。
    漫画化してくれないかな(笑)
    いつものように犯罪の理由は描かれない。
    この作品も、ラストに至る過程は細かく描かれているけど、
    最初のキャンプ場での事件の理由は書かれず、レイの人格形成も全く描かれない。
    ケッチャムは天才だと思うんだよねぇ。
    悪も正義も語らず、ただ単に起きている鬼畜な事柄だけを描写する。
    しかも、救いのないラスト(『老人と犬』は例外か)
    よく、本の売り文句に徹夜本って使われるけど、ケッチャムはまさにそれ。
    読み終わるまで安心できない。
    ちなみに、オススメもしない。

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