国家の自縛

著者 :
  • 産経新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594050238

感想・レビュー・書評

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  • 外交の重要性、難しさを知ることが出来た。
    難解な部分もあり、更なる知識が必要だと痛感。

  •  産経新聞の斎藤勉の質問に佐藤優が答える形式になっている。読みやすい。佐藤優の入門書として絶好かも。

  • 稀代の論客である佐藤優が、元産経新聞モスクワ支局長の斉藤勉氏によるインタービューという形式で、国際政治を中心とする様々な論点にその考えを述べていくという内容。外務省の体たらくぶりから始まり、ロシア外交、対米関係、対北朝鮮などの外交の現状と問題点、そして自身であればどうするかという解決案などが、切れ味鋭く述べられている。諜報の最前線にいただけあって、もちろん核心の部分は触れていないであろうが、それでも日本外交のヘタレ度合いの実情が危機感を感じさせる。

    領土問題や靖国問題などに関するロジックも快濶であり、こうした人材が国策捜査によって活躍の舞台を失っていくのは国としての損失という気させもする。しかしながら、外務省は、同志社大学神学部出身の佐藤氏を上手に使いこなすことができないどころか、体の良いしっぽ切りとして利用していまったということなのであろう。既に裁判で有罪が確定してしまったが、こうした雑草畑から這い上がってきた有能な人材は結局エリート層によって排除されてしまうということなのであろうか。似たような例が、身近にいくつも頭をよぎる。

  • 一昔前の世界情勢についての読みときだが、佐藤氏のこの種の本は現在にも繋がってくるので面白い。

  • 興味深い。

  • これを読むと、現代日本についての見方が少し変わる。

  • 著者(佐藤優氏)と18年の親交を持つ産経新聞正論調査室長である斎藤勉氏が、著者にインタビューを行う形式でまとめられた一冊。斎藤氏が「佐藤氏の【頭の中身】を丸ごと取り出して読者の方々の前に提示しようと試みた」という意図通り、著者の現職である日本外交・諜報活動・世界情勢についての考え方はもちろん、神学・哲学・経済、さらには著者の根本に根ざす国益・国体についての考え方に至るまで、幅広くその【頭の中身】の一端に触れることが出来ます。どの話題もとても興味深いのですが、私が普段あまり接する機会を持つことができない、神学・哲学に関する部分は殊更興味深いものでした。
    本書の内容もさることながら、国家の為に働きながら、「国家の罠」によって逮捕された立場にあるにも係らず、どこまでも日本を愛し、日本の国益を考え、日本の国体を憂う著者の姿に尊敬の念を抱くとともに、強い刺激を受けた一冊でした。

  • 佐藤優氏へのロングインタビューをまとめた形式の本です。

    インタビュア(産経新聞の斎藤氏)との信頼関係もあってか、フランクに語られているところもあって面白い部分もあります。
    ただ、やはり『国家の罠』や『獄中記』など気合の入った著作には及ばないところです。

  • 稀代の論客である佐藤優が、元産経新聞モスクワ支局長の斉藤勉氏によるインタービューという形式で、国際政治を中心とする様々な論点にその考えを述べていくという内容。外務省の体たらくぶりから始まり、ロシア外交、対米関係、対北朝鮮などの外交の現状と問題点、そして自身であればどうするかという解決案などが、切れ味鋭く述べられている。諜報の最前線にいただけあって、もちろん核心の部分は触れていないであろうが、それでも日本外交のヘタレ度合いの実情が危機感を感じさせる。<br /><br />領土問題や靖国問題などに関するロジックも快濶であり、こうした人材が国策捜査によって活躍の舞台を失っていくのは国としての損失という気させもする。しかしながら、外務省は、同志社大学神学部出身の佐藤氏を上手に使いこなすことができないどころか、体の良いしっぽ切りとして利用していまったということなのであろう。既に裁判で有罪が確定してしまったが、こうした雑草畑から這い上がってきた有能な人材は結局エリート層によって排除されてしまうということなのであろうか。似たような例が、身近にいくつも頭をよぎる。

  • 佐藤優の著作第2弾。
    第1章「日本という国家」を読み、日本の外交に愕然とする。まったく国益を考えていない。外務官僚が自らの出世のことだけを考え、国益を踏みにじることに愕然とする。しかも、中国とのいわゆる靖国騒動を巡っての外務省は、言うべきことを言わず、国際的には日本の姿勢を陥れたその罪は重い。中国の対日外交、これにどう対処するかについて、佐藤氏の考え方が述べられている。中国にも弱点があり(新疆ウイグル党)、これを睨み、日本は国際法に則った主張をすれば良いのだ。そうした原理原則が必要なのだろう。靖国を始め教科書問題等、あきらかに日本の内政問題だ。これらに対する中国等からの圧力に対しては、毅然と反応すればよい。
    また、高橋哲哉教授の靖国問題に関する著書についても批判する。「悲しいのに嬉しいと言わないこと。十分に悲しむことが靖国信仰から逃れる手段だ」とする高橋教授の考えに対して、「それはあまりにもハードルが高い」と批判する。哀しみを喜びに変えるのが宗教であり、哀しみをとことん悲しむことが出来るのは、強者でしかないとする。宗教学を学んだ佐藤氏の発言は面白い。また、小泉首相の靖国参拝によりPTSDになったとして裁判になった事例を紹介していることについても、受忍の幅がせますぎる、これでは健全な社会、自由な表現の自由が担保できないと批判する。

    対ロ外交についても述べている。中国は日本と価値観を共有できないが、ロシアとはできるという。代表を選挙で選ぶかそうでないかが、大きなポイントになると言う。ロシアカードを対中国、対北朝鮮外交に使用することを提唱する。ただ、ロシアカードを使うために日本の外務省の能力があまりに低いことに危機感を抱く。ロシアに対する間違ったシグナルを与えないように、また、しっかりシグナルを感じ取るような外交が必要だ。そうすれば、北方領土問題は必ず解決するという。これは北方領土に限らず、竹島にも同じ事が言える。
    ロシアは潜在的に中国を危険視する。そのことを利用する必要がある。また、中国のたちの悪い企みに対する抵抗力も必要。特に尖閣諸島問題は認めてはならないと説く。なぜならもともと日本の施政下にあるからだ。これを領土問題と認めることは中国の術中にはまることになる。

    ネオコンについても書いている。難しい、他の著書も読み込む必要がある。

    そして締めとして、日本の伝統的思想に触れることが必要と説く。特に神皇正統記、太平記などは必読の書とする。日本の誠心が外交にも必要と説く。そして漢文教育などが減った日本の教育にも危機感を感じた。今鳩山首相が提唱している東アジア共同体についても、中国のしたたかな企みが気になる。大川周明の思想についても触れている。日米戦までの日米関係、日英関係について、日本の正当性を主張する。こうした戦後史観ではなく、日本独自の史観をはぐくんでいくことも必要だろう。ただ、佐藤氏の主張をそのままm信ずることは今の段階では出来ない。なぜならば、戦前の日本外交しについて、私なりに興味を持ち、資料も収集している以上、自分としての判断もしてみたい。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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