ひそやかな復讐 上 (扶桑社ミステリー タ 3-3)

著者 : ドナ・タート 岡真知子

• 扶桑社 (2007年5月1日発売)

感想・レビュー・書評

[qwertyさんの感想 · 2013年11月8日]

前作シークレット・ヒストリーからどれくらい経ったのか、ずっと今作を待ちわびていた。

やはり、どこはかとなく漂う狂気と不穏な死の香り。死んだ兄の記憶。兄を殺した殺人鬼が未だ身近に住んでいるかもしれない町の中で育つ、少女の話。混沌とした闇の気配。

兄の死後からずっと寝室で寝たきりの母親、愛人と暮らす別居中の父という崩壊した家庭、そしてたくさんの祖母たちとの中で育つハリエットとアリソン。

南部アメリカの湿ったむっとする熱気を感じ、その沼地には、何か得体の知れないものが沈んでいる。そして臭気と共に、気が付くと背後に忍び寄っている。

著者プロフィール

63年、ミシシッピ州生まれ。92年の処女作『シークレット・ヒストリー』でデビュー、世界的ベストセラーに。3作目の本書で2014年、ピューリツァー賞（フィクション部門）受賞、『タイム』誌「最も影響力のある100人」に選出。

「2016年 『ゴールドフィンチ　４』 で使われていた紹介文から引用しています。」