ひそやかな復讐〈下〉 (扶桑社ミステリー)

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制作 : Donna Tartt  岡 真知子 
  • 扶桑社 (2007年5月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (674ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594053796

ひそやかな復讐〈下〉 (扶桑社ミステリー)の感想・レビュー・書評

  • 12年前の殺人事件を勇敢で頭の切れる女の子が解決する話かと思いきや、犯人はわからないまま。重厚な本格派ミステリーと思っていたので、ラストまで読んで肩透かしを食ったが、それでも腹が立たないのは、とにかく魅力的な主人公のおかげだろう。大人を大人とも思わず、同年代にも横柄、愛想は皆無、みなりに気を使うこともない12歳。とことん嫌な女の子なんだけど、どうしてそこまでの態度をとるかが内面描写によって、痛いほど伝わってくるために目が離せない。彼女の苛立ち、寂しさ、恐怖、時折のぞく祖母と乳母への思慕(第7章冒頭のアイダ・ルーとの日々についての回想は涙を誘う)。子供であるというのは、これほど過酷だったんだのかと、自分の幼い頃を思い起こさずにはいられない。

  • ハリエット...私は子供の頃、彼女と似た所を持っていた。

    未知の世界や文明に憧れ、将来の夢は冒険家か考古学者になることだったり。
    ロプ砂漠を横断して桜蘭を発見したヘディンの本を愛読書にしていたり。
    男の子とばかり冒険ゴッコをして遊んでいた。
    こんな人権を剥奪された状態から解放されたい、と願って、早く大人になりたかったこととか...。

    彼女ほど聡明ではなかっただろうけれど、彼女の感受性の模写を読んでいると、小さい頃に感じていた様々なことへの感覚ーゾッとして吐き気を催したり、あるいは歓喜に踊りだすぐらいだったりしたーが過去の感覚が突如としてやってくるようなリアルさで襲ってきた。

    私にもう少し、彼女のような大胆不敵さと思い込みの強さ、そして計画性があってああいった環境にいれば、同じようなことをしていたかもしれない、なんて空想に耽ってみたりもして。

    それにしても、南部のじめじめとした湿地帯に充満する、陰鬱な蜃気楼のような模写の数々にはすっかり酔いしれてしまった。
    甘ったるくて後から飲んだことを後悔するような、悪い酒に酩酊しているような感覚。

    この下巻に入ってから、息を付く暇もなく一気に読み終えてしまった。

    こういう社会の底辺に位置する人たちの生活が描かれているアメリカの小説って読んだことがなかったけれど、アル中や薬中、暴力が日常の白人貧困層の生活を送る人々の模写は、鋭く切れるナイフみたいにリアルに感じた。

    崩壊した家庭、一応血は繋がっているけれど、形骸化した空っぽの家族
    。みんな孤独に喘ぎ、暴力に怯え、幼い時から強制的に犯罪に加担させられ、搾取されてサンドバッグにされて消耗されていく子供達。

    これが現実だ。この過酷な現実、子供ながらに闇に紛れ、闇の中で安心を覚える現実に共感する。
    でも、こういった世界があることを知らない人だってたくさんいるのが現実だけれど。

    最後は予想外にあまりにも呆気なく終わってしまったのが残念。私が思うに、あの後、ハリエットがもう少し大きくなった頃に、復讐劇が待っているのではないかと思うのだけど...そこはあえて描かないつもりなんだろうか?

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