- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784594054649
作品紹介・あらすじ
今まで注目されていたのは全体の力。これから必要なのは「ゆとり教育」が目指した個の集合のチカラ。大学就職部、企業人事部、フリーター支援スクール、体験学習施設etc.、元ミスター文部省が現場の声と共に綴る教育論。
感想・レビュー・書評
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著者、寺脇研さん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。
---引用開始
寺脇 研(てらわき けん、1952年7月13日 - )は、日本の元文部官僚。学校法人瓜生山学園京都芸術大学(旧京都造形芸術大学)教授、学校法人瓜生山学園理事。学校法人コリア国際学園理事。映画評論家。
官僚時代にはゆとり教育の広報を担った、ゆとり教育推進者の一人。福岡県福岡市出身。
---引用終了
で、本作の内容は、次のとおり。
---引用開始
世間のゆとり教育批判に沈黙を守ってきた推進者が渾身の反論
政府の教育再生会議で〝ゆとり教育〟の見直しが議論される中、著者自ら企業の採用現場を訪ね、若者との交流を通して現在求められる人物像を探る。さまざまな教育現場を考察。
---引用終了
本書の「はじめに」を読むと、著者は、2006年11月に文部科学省を去ったとのこと。
当時、54歳になりますので、志半ばであったと思われます。
なお、学力低下などの理由で、ゆとり教育の是非が論じられたのは、2000~2002年頃になるようです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「ゆとり教育」という言葉の雰囲気だけでその内容を判断せず自分の頭で考えるきっかけになる本。著者の寺脇研よりもその周辺でインタビューされている人たちの方が数倍魅力的でした。
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この人の話を講演で聞く機会をもらって、教員になろうと思った。だから、文部科学省をやめた時、そして、一生懸命スポークスマンされていたことをどう考えているんだろうって気になったから読んだ本。
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元文科省の役人がこういうタイトルで本を書いたこと自体が驚きで、まして「ゆとり教育」推進の最前線にいた人が、教育政策が軌道修正されつつある今、職を辞した上でこういうことを言うと、どうしても反動的なイメージを持ってしまう。
このタイトルになっている提言が妥当かどうかと言えば、個人的には何とも言えないと感じた。個々の教育に関する取り組みに、「ゆとり教育」というレッテルを貼り付けることにはほとんど意味がないし、第一「ゆとり教育」という言葉自体が、ほとんど否定的なニュアンスが貼り付けられている言葉であるからだ。
別の言い方をすれば、ここで取り上げられているさまざまな取り組みや、それを成し遂げている人たちは本当にすばらしいと思う。読んでいて感動してしまった。ただ、それが「ゆとり教育」と呼ばれているものなのかと言えば、どうもそうではないような気がするのだ。つまり、いわゆる「ゆとり教育」という言葉の持つ意味合いと、個々で取り上げられている実践の持つ意味は、おそらくずいぶんずれている。
作者が言いたいのは、おそらくそういうことだ。この本で取り上げられているようなすばらしい取り組みを、日本全体に広げていきたいという試みが、いくつかの理由から全体的には理解されず、結果として表面的な部分や誤解された部分のみが「ゆとり教育」というレッテルを貼られて批判の対象になっているのではないか。本当にやりたかったのはこういうことなんですよ、ってことだ。
それはよくわかる。作者の悔しさに共感も出来る。が、その一方で「だったら、もっとさあ」と言いたい気持ちもある。まあ、この話には、今のところ深入りを避けておきたい。
純粋に思ったのは、教育をまじめに考え、さまざまな形で試行錯誤を繰り返しながらすばらしい取り組みをしている人がたくさんいるのだなあと言うこと。陳腐なテレビコメンテータの言葉や、安易に感動を押しつける「青春ドラマ」よりも、こういうきちんとした取り組みをたくさんの人が知ってくれれば、「日本って国の将来も、そう悪いものではないかもしれないな」って思えるのではないだろうか。 -
あなたの理念は間違っていない