角川春樹句会手帖

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著者 : 佐藤和歌子
  • 扶桑社 (2009年4月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594059132

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角川春樹句会手帖の感想・レビュー・書評

  • 数人の句会参加者が20句ずつ前もって提出しておいた句を角川春樹が批評して、特選、佳作など紹介し、直してぐっとよくなる句も紹介する。その句会その場にいるように、口調や雰囲気が描写されていて、角川春樹がそこにいるようだ。毎回ゲストとして各界の有名人などが招かれていて、俳句を持参し、めちゃくちゃに言われたり、初心者とは思えないと褒められたりしていて面白い。角川春樹の俳句を読みたかったが、それはほとんどなくて、でも春樹流俳句の勉強になる、凄い本だった。

    春樹の直しはたとえばこんな風:
    月兎わがおろかさは跳ねにけり→春月や愚かな貌を持ち歩く
    結局は一人たるべしこの大地→結局は一人たるべし春の暮
    影ふわり心のうちにも大宇宙(おおぞら)にも→
    暗黒やわが魂の銀河にも

    「駆け込みて胸ふくらみし暖房車」について、これは俳句にする必要があるだろうか、感動や怒りでもいい、何か感情の大きなうねりから出発した方がいい、と言う。

    いくつかあった春樹の句も:
    亀鳴くやのっぴきならぬ一行詩
    向日葵や信長の首切り落とす
    カエサルの地はカエサルへ源義忌
    虎が雨鰭あるものは寂かなり

    デジタルはカオスの海に光差す→デジタルはカオスの海に発光す
    静けさを更に深める玉舎利の音→静けさや春の闇ある舎利の音
    ジェラシーがまだ消え去らぬ雪眼かな→ジェラシーのまだ消え去らぬ雪めかな
    離婚日に冷奴半丁酒飲めず→離婚日に冷奴半丁酔いもせず
    天高く大樹の幹に触れる秋→昼深く大樹の幹に触れる秋
    天才も無頼もめげる春と福→天才も無頼も孤独春の闇
    倦怠が倦怠している震災忌→倦怠が倦怠を呼ぶ震災忌
    酒飲みのただ眺めをり石榴酒→酒飲みのただ眺めをる石榴かな

  • 角川春樹恐るべし

  • 角川春樹。奇人とも狂人とも言える人物。
    その角川春樹が長い獄中生活を終えたのを祝して弟子(?)の福田和也が
    客(ゲスト)を招いて句会を始めました。その時の内容をまとめた本です。
    ゲストには色々な分野の人を招いており、北方謙三、島田雅彦といった作家や脳科学者の茂木健一郎、
    精神科医の斎藤環、ジャズミュージシャンの菊地成孔等と多彩。

    この本の面白いところは、角川春樹が帝王のような振る舞いをしながらも
    真摯な態度でゲストの俳句に向かい合うところです。
    氏のゲストに対する態度は基本的に鷹揚で北方謙三のような人でも体を小さく
    して春樹氏の言葉に聞き入っているのがわかりどんな人物なのかと興味が湧きます。
    ただそんな氏でも作ってきた句に対しては、良い物は「いい」と言える真摯な態度を見せる
    ところに非常に好感を持ちます。
    ゲストが作ってきた句もそれぞれの持つバックグラウンドがにじみ出ていて
    たった17文字の世界でもそれぞれの人となりが出るものだと感心します。
    いくつかご紹介しますと

     デジタルはカオスの海に光差す        茂木健一郎
     夕凪のアウトマトンや黒い雨          斎藤環
     空爆のニュースに流してみろヴォサノヴァ  菊地成孔
     春時雨食い逃げ女の網タイツ         島田雅彦

    正客の一人である菊地成孔さんは以前猫町倶楽部にゲストとして来ています。

  • 角川春樹の句会はおそれ多くてとても出られそうにない。
    が、句や言葉、見方、感じ方に対するこのするどさには眼を見張る。
    (一般に句会というものはこうではないらしい)
    なにより、筆者の和歌子さんの句が変わっていくのが、素人の私でもわかる。

    さて最近俳句にはまっている友人が誘ってくれる句会(おそらく普通の)に出てみようか。

  • 角川春樹に俳句を習うという趣向のもと、弟子の福田和也、佐藤和歌子(間取りの手帖のひと。福田和也ゼミ出身だったとは意外)に加え、毎回ゲストを迎えて行われた句会の記録です。福田曰く、「俳句という相対的な文芸において、角川春樹という絶対的な指導者を迎えると、どういうことになるのか」それはもう…、はい。予想通りでした。俳句について感想を述べる資格が私にはないので以下、角川春樹語録。・ゲストについて「ここんとこ、お前大丈夫か、て奴が続いただろ。久しぶりにマトモな奴が来たと思ってさ」(「ここんとこ」ってあの人とあの人ですか)・偉い人(「基督とモンテカルロと晩夏光」という句から)「角川さん、キリストとかシーザーとか、自分と同じくらい偉い人、大好きだから」「そんなことはない。俺のほうが偉い」(そうでしょうとも)一応言っておきますが、別に暴言を吐いているだけではなく、ジャズと俳句の親和性に触れたり(即興性とかリズム感がある奴は、俳句にむいていると思うよ)とかちゃんと俳句のことも語ってます。下ネタも多かったけどねっ。

  • 「俺は歩く神社と言われてるんだ。お前ら、手を合わせてもいいぞ」(角川春樹)

    知らない人は知らないかもしれませんが、角川春樹は神である。スサノオノミコトであり、チンギス・ハーンなのである。モンゴルに雨を降らせ、大地震を止めたシャーマンなのである。
    ついでに言うなら俳人である。否、俳句にはあらず、本人の弁によれば、それは「魂の一行詩」なのであった。

    ・・・・・・。
    佐藤和歌子著『角川春樹句会手帖』は、角川春樹が出獄したお祝いに、福田和也が人を集めて句会を開き、角川春樹に俳句を習おう、という趣旨で『en-taxi』で連載されてる企画が単行本になったもの。著者の佐藤和歌子さんは福田和也の弟子(というかゼミの卒業生)らしい。『間取りの手帖』の人ですね。で、福田和也が、毎回、ゲストを招いて、みんなで作ってきた俳句を角川春樹に添削してもらう。そのゲストも錚々たる面子である。石丸元章、北方謙三、中畑貴志、茂木健一郎、斉藤環、菊池成孔、佐伯一麦、島田雅彦、ねじめ正一、高橋春男、他にも官僚、歌人、料理人、ファンドマネージャー、など。

    本の帯にはこうある。『「北方! お前は黙ってろ!」(角川春樹) 華麗なテクニックと溢れる詩魂で、正客の俳句を一刀両断! 北方謙三、茂木健一郎、菊池成孔、福田和也・・・・・・。各界著名人がセンスと日本語力に恃んで斯界の鬼才に挑む、[角川春樹の超実践的俳句道場]、ここに始まる』。 これ、絶対おもしろいに決まってるよー!

    実際、俳句(ではなく「魂の一行詩」)の面白さ、奥深さなどを知るのに最適な一冊であることは間違いない。僕は昔から短歌は好きだったのですが、俳句の面白さは全然、理解できなかったのですが、これを読んで、生まれてはじめて俳句の世界に興味が出てきました。

    が、そんなことより何よりも、次々と飛び出る春樹節、その名言、迷言、暴言の数々に圧倒される一冊だ。ほんと、この人、伝説。生きる伝説。神へのカウントダウン近い!
    (参照:http://www.cyzo.com/2008/05/post_534.html

    ざっと目につく所を引いてみよう。

    福田「確か<山の上ホテルのバーに健吉忌>って句もありましたね」
    角川「あのときも女と逢ってた。学生運動なんてつまんないことをしてる連中を尻目にな」(確か、この人はハチ公前で全学連の連中を血祭りにあげたという伝説があった気が・・・)

    北方「海の上なら、それこそ、一番怖いのは闇と波じゃないですか。闇に関しては、僕は濃い薄いという感覚を大事にしてるんですよ」
    角川「船の上では、お前はキャプテンかもしれないが、俺はコマンダーだぞ」

    角川「俺は一月八日に死のうと決めたからな」

    澤口「俳句って一番言いたい言葉を回避する表現じゃないですか? 僕はそう思って・・・・・・」
    角川「じゃあオメー、<スパゲッティ何処から来たのナポリタン>、この句の言いたいことって何なんだよ?」
    澤口「・・・・・・ミートソース」

    角川さんはこのあと女性との予定があるとのことで、お酒は控えるつもりらしい。
    「角川さんでもそんな弱気なことを仰るんですね」
    福田和也さんが嬉しそうに言う。確かに、かつて社員たちから、「性欲怪獣ボッキラス」と恐れられた人物とは思えない。

    茂木「私は角川さんに、UFOの話を聞きたいんですよ。やはりよく見るんですか?」
    角川「見るよ。見るというか、時々、挨拶しにくるんだ」

    角川さんは最近、十六歳の女の子を狙っているという。
    「何を言う、純愛じゃないか。ちゃんと結婚もするつもりだ。彼女は敬虔なクリスチャンだからな。やるためなら結婚も厭わないよ」


    ははははは! まだ... 続きを読む

  • 帯の「北方!お前は黙ってろ!」に惹かれて買った一冊。

    角川春樹の出獄記念として始まった角川句会。
    ゲストとレギュラー2人が持ち寄った各20首を肴に繰り広げられる句会の様子が綴られています。

    出席することが「自爆テロである」とされている、この句会。
    出席者には、小説家、政治家、料理人、大学教授、脳科学者、歌人等々、草々たる人物が名をつらねていますが
    ここでは、角川春樹が絶対的な権力をもっていて
    バッサバッサと彼らの句を切り捨てて、角川流に直していくのです。

    あのコワモテの北方謙三でさえ「北方!お前は黙ってろ!」とバッサリ。(笑)

    でも、17文字のうち、たった一言を直しただけで、
    情感豊かな詩が生み出されるのはホントに凄い…。
    しかも全然古くない。

    俳句を始めるまでは、年寄りの趣味だと思っていたけれど
    実は全然違うのよね。

    先週、半年ぶりに俳句の師匠に私の俳句をみてもらいました。
    角川春樹よりもやんわりではあるけれど、かなりバッサリ…。orz
    そう言われても、どうしたら?っていうところが
    この本でかなりスッキリした感じ。
    もう一度、練り直してみよう。

    俳句、面白くなってきました。

  • いやあ、これは本当に面白いです。
    句もなかなか良いのが揃っているし、北方謙三が「お前は黙ってろ!」と怒鳴られたり、自信満々でやってきたねじめ正一がけちょんけちょんに言われたりと、角川春樹の尊大ぶり、傍若無人ぶりが最高です。
    実際に会ったら絶対に気が合いそうにない人ですが、見ている分には笑えます。
    句に対する批評もなかなか適切で、角川春樹を見直しました。
    と、つられてぼくもすごく偉そうな発言ですが(笑)


    「南無阿弥陀仏坊主百匹蝉時雨」

    「嘘一つだけ打ち明けて蜆汁」

    「俺たちと反俺たちが俺を刺す」

    「たましいに背高泡立草繁る」

    「あたらしい色あたらしい冬の虹」

    「空爆のニュースに流してみろヴォサノヴァ」

    「あぶり出す秘密の言葉蜜柑の香」


    こうやって気に入った句を並べると、あくまでぼくは俳句でなく、一行詩が好きなんだなぁと。

    「魂の一行詩」

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角川春樹句会手帖はこんな本です

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