- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784594059507
感想・レビュー・書評
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『SPA!』に連載していた「板谷番付!」の単行本化第2弾。
担当編集者から毎回出される「お題」に沿ってゲッツ氏が「ベスト10」を選出し、それにからめてコラムを書くという内容だ。
同じ趣向のコラムとして、1980年代中盤に泉麻人が『ポパイ』に連載していた「街のオキテ」というのがあった。
「迷惑なオミヤゲ」「ゲロのカッコイイ吐き方」「披露宴における迷惑ユーモア」「都市郊外に現れるアブネー看板」「いま危険な宴会芸」「東京23区の偉い順」などというお題に沿って、泉麻人がシニカルなランキングをつけていくコラムであった。
「街のオキテ」はすこぶる面白いコラムで、私はいまでもあれこそ泉麻人のマスターピースだと思っている。80年代の流行を知らないいまどきの若者にも十分笑えると思うので、未読の方は新潮文庫版などを古書店で探されたし。
この『真・板谷番付!』は、「街のオキテ」と比べるといまいち笑いのボルテージが低い。
それは一つには、ゲッツ氏が脳内出血から復帰してリハビリ中だった時期に書かれたからだろう。本書でも、後半に行くに従ってだんだん復調している印象がある。
あと、担当編集者が出すお題が、あまりにもつまらなすぎ。
「よく間違える漢字」「好きな四文字熟語」「嫌いな生き物」「座右の銘にしたい言葉」「好きなマンガ」「つい見てしまうTV番組」「どうしても苦手な食べ物」「ガッカリした映画」……。
こんなひねりのないお題を出されて、お笑いコラムにするのは至難の業だろう。ゲッツ氏に同情してしまう。
とくに、「好きな調味料」というわけのわからぬお題を出された回には、ゲッツ氏も文中で「まったく出題者のシンボさんも何を考えてんだよ」とあきれた様子で、お題とは1ミリも関係ない内容のコラムにしていた(笑)。お題そのものが笑えた「街のオキテ」を見習えと言いたい(唯一、「七曲署に配属されたら付けられそうなアダ名」というお題はよかったが)。
なお、毎回のコラムに天久聖一画伯がカラー1ページのマンガを添えているのだが、これがものすごくシュールで笑えてサイコー。すべてカラーのままで収録された天久聖一のマンガのためだけに、本書を買う価値がある(キョーレツなカバーイラストも天久によるもの)。
それから、「フリーライターで良かったと思う点」というお題が出された回があって、そのときのランキングに同業者としていたく共感したので、以下に引用しておく。
《お題32/フリーライターで良かったと思う点
1位/目が覚めた時が朝!
2位/バカな上司も使えない部下もいない
3位/通勤時間がゼロ
4位/1年に1回ぐらいしか人に怒られない
5位/書きたくないことは書かなくてもいい
6位/書きたくない日は書かなくてもいい
7位/家族のバカを目撃した瞬間、(はい、いただきっ!)とガッツポーズ
8位/飯を食いながら書いても、途中でオナニーしても自由
9位/仕事をするのにお金がかからない
10位/何となく利口そうな感じが漂う》詳細をみるコメント0件をすべて表示