日本国家の神髄

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594061234

感想・レビュー・書評

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  • 集合意識的に成立する国体。教育現場で教えられない国体観。これを適切に認識することがどれほど大切かが分かる。右翼だとかそういったカテゴリーで分けずに純粋な気持ちで読んでみると、大和魂は脈々と世代を超えて繋がっているのだなと感じる。
    様々な試練を越えて、佐藤優氏がこのことを日本国民に発信する任務に当たることになったのだろう。

    ●「国体」とは日本国家を成り立たせる根本原理である。「目に見えない憲法」こそが国体なのである。
    ●わが国の道は、古来の諸芸にも顕著に現れている。その究極においては道に入り、又道より出でている。我が芸道に見出される根本的な特色は、没我帰一の精神に基づく様式を採ることであり、更に深く自然と合致しようとする態度のあることである。
    ●儒教も老荘思想も歴史的に発展する具体的国家の基礎をもたざる点において、個人主義的傾向に陥るものといえる。しかしながら、殊に儒教は我が国体に摂取せられるに及んでは、個人主義的・革命的要素は脱落し、国体に醇化せられて日本儒教の建設となり、我が国民道徳の発達に寄与すること大であった。

    現代社会の様々な問題を考えた際に今一度、国体について意識することはとても大切だ。

  • 作者は、読者を説得しようとはしていない。読者が自分が書くことに賛成してくれると信じている。したがって、文章の脇が甘い。明治の人の文章みたい。信者だけが読むという想定なのだろう。

  • 【要約】


    【ノート】
    ・正剛さんが鳩山首相に推薦

  • 2010年4月10日、5刷、並、帯付2015年5月17日、伊勢BF

  • 時間がなかったので、速読ベースで。今まで読んできた佐藤氏の著作のバックグラウンドが少し理解できたような気がした。「国体の本義」って恐ろしい本のような印象があったけれど、抜粋箇所を読んでいる分には古事記の要約のようなもので、特段の違和感を覚えなかった。
    途中、竹田恒泰氏と同じようなことを言っているなと思ったら、本の最後の方で、竹田氏の憲法に係る見解に同意、という記述があった。この本はもう一度ちゃんと時間をかけて読んでみたいかな。

  • 禁書であった「国体の本義」の解説書。
    「国体」なる言葉は、戦争関連のドラマ等で「国体護持」なることばを聞いたことがあるのみであり、天皇制と同義かな?程度の認識であったが、もっと奥深いものであることが理解できた。確かに日本の優れた性質が述べられており、精神的支柱となるため、GHQが禁書にしたことも理解できる。ただそれらの記述が全て軍国につながるとは全く言えず、現代の風潮に沿う形で復活させても良いのではないか?

  • ――――――――――――――――――――――――――――――
    北一輝、大川周明などの右翼理論家は、いずれも財閥による支配を打倒し、富める者が貧しき者に再配分するシステムを作るべきであると主張した。27
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    自らと意見が異なる人と、少しだけリスクを冒してでも率直に話すということが、右翼、保守、国家主義者の品格と思う。93
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    ファシズムはむしろ福祉国家論に近い、知的に相当洗練された運動なのである。134
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    個人主義、自由主義、合理主義の三精神は、ギリシア思想とキリスト教を母体とする文化から生まれたのである。279
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    老荘思想が、中国版の個人主義であるというのは、鋭い洞察だ。従って、そこから清談は生まれるが、現実の汚れた世界で国家と民族が生き残る原理にはならない。283
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    皇統については、「天皇論」などという構築主義的議論をするのではなく、存在してきた事実そのものを、率直な気持ちで見つめ、感謝することが重要と思う。

    日本は人民主権の国家ではない、国民主権の国家だ。天皇が存在して日本国民が存在する。288
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    皇統の存在によって、目に見える形で国体を実感することができる。291
    ――――――――――――――――――――――――――――――

  • この本はおそらく佐藤優氏が執筆したものでなければ読んでいなかったかもしれません。自分もまた『国体』という言葉を聴いて『国民体育大会』を連想する『戦後の日本人』の典型であると読んだあとに思い知りました。

    本書は戦後GHQによって禁書となった『国体の本義』に「知の怪物」こと佐藤優氏がその全文に詳細な解説を加えていくというものです。はっきりいって、僕の理解を超えておりました。僕も佐藤氏の言うように「国体」という言葉から連想されるのは国民体育大会のことであろうと思っていた一人です。どうやら僕は戦前の文章を読むことすら困難な文盲なのかもしれないなどと思ってしまいました。

    展開されるテーマは天皇、祭司、政治、宗教…、などと多岐にわたっており、その深遠さと『国体』がいったいどういうものであるかを言葉を尽くしてわれわれに『翻訳』しようとしてくれている佐藤氏の努力は併記されている解説から見て取れました。

    ただ、ここに書かれているのは声高に言うのではなく、たとえば、神社などに行って二礼二拍手一例をしたときに『あぁ、そういえばこんなことが書いてあったなあ』とわが身を振り返ることでしょう。もしくは、自分の中に『悪しき戦後民主主義』の毒が抜けきっていないのか?はたまた西洋的な個人主義にたっぷり浸っているかで、ここに書かれてあることができていないのか?自分で書いていてわけがわからなくなったので、今回はここで筆を置きます。

  • こういうスタンスの人だったっけ?
    日本人としての共通認識は記紀や天皇よりも、素朴なアニミズムと原始仏教を融合していくつかの道徳観念を加えたもの、くらいにゆるくとらえて、あまり信仰にする必要を感じないのだが。
    キリスト教のアイテムを日本的なものに置き換えただけのようにも見えるし、一次資料を公理としてしまう文型学者の特徴がよく現れている。
    ありき、ではなく、新しく構築する気概があっても良いのでは。

  • 明治政府の文部省教育局が発行した『国体の本義』を解説する。
    筆者は外交官として国に命を捧げる心構えを持つのは当然であり、確固たる思想を持つべきと言う。冒頭で「私は日本の国をとても愛している。」と宣言する。普通のことを普通に言っていることがすごいと思う。
    思想的には右翼であるとも断言する。これも普通といえば普通だが。
    古事記、日本書紀などの神話を知ることも重要。忘れてはならないのは、建国の物語は遠い昔のことではなく現在のこの瞬間においても行われていること。
    日本の本質は祭祀共同体なのであるとして、究極的に天皇の祈りによって日本国家も日本人も支えられていることを感謝して受け止めるべきと喝破する。まさしく本書のタイトルそのものである。

  • 日本とは、天皇とは、その本質が書かれている思想書、『国体の本義』をラスプーチンが読み解く。

  • 禁書『国体の本義』を佐藤優が解説。書評:http://d.hatena.ne.jp/yusuke88/20100216/1266334290

  • 2008年9月のリーマンショック以降、かつての帝国主義外交の反復、

    植民地の時代が過ぎ去ったのは、世界が文明化し人道的になったのではなく、植民地を維持するコストよりも、貿易や外交という手段のほうが主要国の国益にかなうからである。

    21世紀は新帝国主義の時代である。

    神話という表象で我々の祖先が何を物語っていたのかを、教師が自分の全存在をかけて語るべきだ。

  • 凄い本が昔にあったのだなあ、と思ってしまった。
    『国体の本義』は、新自由主義を「古い思想」とばっさり斬り捨てていたり、とまあ内容の濃い本です。
    濃すぎてやや消化不良なのでまた読みたい。

  • 通常、「国体の本義」は誤解して理解されていると思う。
    エッセンスは以下の通り。
    国体の本義は東洋思想と西洋科学思想の融合を説いている。
    欧米的自由主義では今後の世界問題を解決できない。欧米主義は個人が主体であり、これでは日本の国体が崩れる。
    ファシズムでは歴史の中でその潜在能力を出し切れていない。
    民主党政権はファシズムと親和的だ。
    国体は作るのではなく、見つけたもの。
    国体に問題が生じたから、議論される。問題ないときは、国体がどうとか、という議論はされない。
    天皇は制度ではない。皇統によって国体は保たれる。
    過去を類比として受け止め、そのまま受け止めるのはだめ。
    欧米思想は日本の近代化に貢献した。しかし、弊害が大きくなっている。
    アトム的個人ではなく、協同意識を持った社会を作る必要がある。→共通の神話が必要だ。
    日本の本質は祭祀共同体。
    日本は君民協治の国だ。
    日本では人が自然と調和することを善とする。それは西洋科学を学びこれを克服することだ。
    「まこと」が日本人の強さの根源。まこととは智、仁、勇
    国家存続には固有の文化が必要。
    日本は独自文化保全の力がある。
    外国からの知識の習得は国体の強化のため。基本は日本文化のままで受容できるのだ。
    世のために学ぶ
    そうした教えを戦後日本に広めるのはよくないと戦勝国は考えた。
    神話を踏まえた歴史が必要。
    精神があって国の制度が整う。
    国体の本義は排外主義ではない。
    天皇象徴は国体の本義を表している。

  • 2010/02/12

  • 「真髄」じゃなくて「神髄」…

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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