TPPが日本を壊す (扶桑社新書)

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  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594063689

感想・レビュー・書評

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  • TPPについては、賛成論と反対論が未だに交わることなく論戦が繰り広げられている。

    興味深いことは、TPP反対論者は具体的な数字をあげてくるのに対して、賛成論者は「第三の開国」「乗り遅れるな」等々のイメージ戦略で戦っている点。

    なぜ、TPP賛成論者はイメージ戦略に依拠するのか。

    この書は、TPPによりメリットを受ける人々が誰か。デメリットを受ける人々が誰かという視点から整理されており、このことが「なぜ、TPP賛成論者はイメージ戦略に依拠するのか」という問いに対する答えになっている。つまり、TPPにより利益を得るものは、企業であり国民ではないということだ。

    本書の主張を一言で要約するならば、
    「あせるな。バスに乗り遅れまいとして大切なものを失ってはならない」

  • TPPとはTrans-Pacific Partnershipの略で、和訳すると「環太平洋戦略的経済連携協定」。

    この長ったらしい名称の協定について分かりやすく解説してくれています。

    ただし、本の後半部分は橋本知事の「大阪都構想」について反対論となっています。(著者によるとこの構想とTPPは非常に関連性があるとのこと)


    ところで、TPPと似たような協定で有名なFTA(自由貿易協定)があるのですが、TPPがFTAと決定的に異なるのは、TPPには「関税の完全撤廃」が謳われていることです。

    FTAでは当事国がそれぞれ保護したい産業については自由貿易の例外として認められるのですが、TPPではこれが一切認められません。


    つまり、TPPとは「関税自主権の放棄」ということ。


    規制のない完全自由な貿易といえば聞こえは良いですが、例えばこれにより自国の重要な産業が絶滅してしまい、完全に外国に依存する状況に陥った(つまり○玉を相手に握られてしまった)場合、一体誰が責任を取るのでしょうか。

    菅元総理がこのTPPを「平成の開国」と呼んでいたそうですが、彼は一体誰のためにこの「開国」をしようとしたのでしょうねぇ。

    本書を読む限り、この「開国」は日本を窮地に落としかねない愚挙であると言わざるを得ませんでした。

  • メモ
    推進派:経済界
    関税撤廃による輸出増大、自社の収益拡大→からの景気回復

    民主党:経済政策で実績がない現状を打開するために「第三の開国と位置づけ(1.明治維新 2.太平洋戦争後)」
    参加によって2-3兆GDP増
    行政・司法・立法の面でも各国との標準化
    →つまり、多くの消費者が利益を得る⇔多少の犠牲は甘受すべき


    反対派:農業従事者、農林水産省
    安い海外産品が流入する被害
    アメリカ・オーストラリア・ニュージーランドなどとの競争
    ブランド化されたもの以外売れないかも
    自給率40%から13%へ
    GDP8兆4000億円減、350万人の雇用失われる
    世界の労働基準に合わせることになったら、終身雇用や境保障が否定されるかも
    日本経済が悪化したり、環境変化によって世界的に生産量が減少すると、日本は飢え苦しむことになる
    補助金などが、非関税障壁とみなされて、認められなくなるかも
    自治体の取引も自由化になり、入札に海外の企業も加わるので、地方の中小企業が危ない。

    <メリット>
    大手製造業メリット
    (1)原材料の輸入商品の輸出にかかる関税を始めとするコストの低減
    (2)TPP加盟国へ進出するカントリーリスク現
    (3)工業製品の分業化が可能

    商社メリット
    (1)関税撤廃と手続き簡素化によるTPP加盟国貿易の事実上の内国化
    (2)TPP加盟国との取引のカントリーリスク低減
    (3)手続き簡素化による取扱品目の増加、物流の時間の短縮

    大手小売りメリット
    (1)日本に住む外人が増えて、客が増える
    (2) TPP加盟国との取引のカントリーリスク低減
    (3) 手続き簡素化による取扱品目の増加、物流の時間の短縮
    (4)関税撤廃で商品が安くなる

    <デメリット>
    政府や地方のデメリット
    (1)地方公共事業への海外企業の参入
    (2)海外企業が、自国の労働者を連れてきた場合の、日本人の雇用の減少

    地方自治体のデメリット
    (1)体制を整えるための新規コスト
    (2)税金の流出によって税収減
    (3)海外企業の参入で雇用減

    農業のデメリット
    (1)安い農作物によって農業崩壊
    (2)食の安全や安定の不安

    労働者のデメリット
    (1)外国の参入による雇用減
    (2)生活の質の低下(外国の企業が作ったものが本当に安全かどうかなど)
    (3)非関税障壁に日本の文化が当てはまる可能性


    →メリットがあるのはグローバル企業
    公共事業も開放される
    大多数の国民にはデメリット

  • 仕事でTPPが話題になったのだけれど、まーったく分からなかったので「TPP亡国論」と併せて購入してみた。

    マスコミではTPP賛成
    こういった書籍ではTPP(今は)反対
    という流れのようです。
    書籍は丁寧に理論展開できるため、分かりやすく自分で考えてみようかと思います。
    一方マスコミ情報だけに偏ると考えませんね、自分では。

    先日、苫米地さんの電通に関する本も読みましたが、やはりじっくりと今一度考えてみるべきだと思いました。

    「TPP亡国論」もそうでしたが、読み終わると今の政治が、日本が頼りなく将来が怖くてなりません。

  • 例外なき100%の市場開放でどうなるニッポン。。。

  • 分からなかった。。
    いろんな例えを使ってくれたのはわかるけど、
    勉強不足を痛感しました。
    この本以外にも読もう。

  • 筆者の主張が明らかなので、強調したい所を理解しつつ読みたいと思います

  • TPP反対論代表的書籍のひとつ。丁寧に書かれていて、おいおいおいーと突っ込むところは少ないように思える。ただ、なぜか大阪都構想批判が入っている。

  • 途中で大阪都構想の話が出てきてしまい、論点ずれた気がする。もっと平均的な都市を例にシュミレートしてほしかった。
    それ以外はそれぞれの立場で議論されていてわかりやすく、はじめの一冊としてはおすすめ。
    個人的には
    ・労働市場について
    海外からの労働者はどんな職種がボリュームゾーンで、国内での従事者はどれくらいいて、置き換えられたときに日本人労働者はどうなっていくのか
    ・農業について
    TPPに対抗できる農業がどんなビジネスモデルなのか、参加により自給率はどれくらい下がりそうなのか
    が気になった。

  • 野田総理が参加表明したTPPを勉強してみようと思って読んだ。日本にかなりの外国人労働者や企業、製品が入ってくると思われる。特に、市町村の公共事業等に外国企業が入札に加わってくるのは驚いた。

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著者プロフィール

1997 年大阪大学工学部電子工学科卒。1999 年大阪大学大学院工学研究科電子工学専攻博士前期課程修了。(工学修士)
1999 年精密機器メーカーに入社。研究所にてプログラマーとして勤務の後、マーケティング、市場分析、事業分析業務等に従事。
2005 年に退職し、マンション経営の傍ら会計学を独学。個人トレーダーとして債券投資、株式現物・信用取引、外為FX 取引、商品先物取引、ヘッジファンド流投資手法などを経験。
会計の知識と理系のセンスを活かしながらマクロ経済を研究するとともに分析結果を広くネットで公開し、多くの読者を集めている。
他著書「国債を刷れ!」(彩図社)
著者ブログ:[廣宮孝信の反「国家破産」論 ブログ]
http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp
《監修者》
三橋貴明(みつはし・たかあき)
1994 年、東京都立大学(現・首都大学東京)経済学部卒。中小企業診断士。
外資系IT 企業、NEC、日本IBM などに勤務後、2008 年12 月独立。2009 年11 月、株式会社三橋貴明事務所設立。
『本当はヤバイ!韓国経済(彩図社)』『崩壊する世界繁栄する日本(扶桑社)』『本当はヤバくない日本経済(幻冬舎)』『ジパング再来(講談社)』
『中国経済 隠された危機(PHP 研究所)』『マスゴミ崩壊(扶桑社)』『経済ニュースの裏を読め!(TAC 出版)』他著書多数。
ブログ『新世紀のビッグブラザーへ』への訪問者数は、2008 年3 月の開設以来のべ420 万人(2009 年12 月現在)を突破している。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/

「2013年 『これがアベノミクスの革新だ 国債を刷れ!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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