原発のウソ (扶桑社新書)

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著者 : 小出裕章
  • 扶桑社 (2011年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594064204

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原発のウソ (扶桑社新書)の感想・レビュー・書評

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  • 一般向け新書ながらこれまでの想いを凝縮してタイムリーに書き下ろした渾身の一書と思いました。
    様々な書籍・雑誌などから原子力エネルギーは危険なものであると知りながら、2度のオイル・ショックや現在でもある石油価格の上昇など石油産出国や石油メジャーの行うエネルギー支配構造からの脱却の観点から、国のエネルギー施策として仕方がない部分もあるのかなと漠然と思っていたことに対する痛烈な批判であった。
    もとより福島第一原発の事故は第一義的には天災であるが、天災への備え不足(免責事項があった関係で?)や度重なるミス・ジャッジ(例えば、即時海水注入をためらう)、故意(あるいは無知?)の沈黙(例えば避難指示に重大な過失がある)など、その結果引き起こされた甚大すぎる災厄に対する責任は万死に値するといっても過言はない。「ただちに健康被害を引き起こさない」と言い(将来の発癌リスクが高まるとは言わないで)、SPEEDIの結果を公表しないなどその不誠実すぎる言動は、今後、数十年先に明らかになるであろう癌発生リスクとどのように向き合うのだろうか。メルトダウンの可能性が指摘された初動時に広範囲で「逃げろ」と言わず(例えば他で事故った場合でも逃げろと言わないということがよお~くわかりました)、放射線測定値が高まった後に(=被曝してから)避難指示を出すと言っている政府・東電関係者は、その犯罪行為に対し、刑事責任があると考えている。おそらくは、パニック防止や対外的思わく、賠償金額と天秤にかけたものと思われるが、フランスなどは国外退去、アメリカは80km避難を自国民に指示していたわけで、そうした判断の結果責任はきっちり問われる必要があるだろう。
    マスコミに登場する御用似非学者は、飛行機に乗った場合の被曝量やレントゲン検査の被曝量と比較するが、短時間被曝云々と言う前に、毎年健康診断を受診しなかった場合の癌発生リスクや、飛行機に乗った人への癌発生リスクの研究蓄積をそもそも持っているのだろうか?例えば今回の事故で統計的に100万人に0.01%発生リスクが上がるとすれば、100人ということだがこれは立派に多い数ではないのか。10人でも同じことだ。被曝量にしきい値はないとはそういうことである。
    そうした犯罪的に不誠実な面々が造り上げてきた原発ムラはもはや解体して、相応の責任を取ってもらうしかないのではないか。
    現状ではエネルギー供給の観点から早急に原発を無くすことはできないかもしれないが、仮に段階的に脱原発を行うにしても、残る原発の運用も、「想定外」と言い訳していた現在の原子力行政・企業にどれだけの運用能力があるのか非常に疑問であり、正直無理であると思う。(アメリカ海兵隊の放射能対応部隊は、いつも「想定内」で対応するそうである)やらせメール問題に代表されるように首長や保安院と電力会社のずぶずぶな利益関係や、高給取りな割には無能な采配を続ける電力会社トップをみるにつけ、いっそ海外を含めた第三者機関の介入が必要なような気がする。原子力利用のその暗黒面を知る立場にありながら備えを怠り、最終的には権力におもねり扇動し、欲に目がくらんで、小賢しいだけの、結局は天に唾をしていた愚者どもはその重い責任を取った上で即刻退場してもらいたい。
    そもそも今日の原子力エネルギー繁栄は行政だけでなく、国からの資金投下を求める町村や多大な電力を享受する都会といった構造的な利害関係であり、「安全」「CO2が出ない」などという言葉に愚かにも「安心」していたわれわれが他人を全面的に非難できる立場でもないが、ウランが枯渇して使えなくなるかもしれない原発を大量に造り、以降、高レベル放射能廃棄物を100万年単位で残さざるを得ない責任をどうすれば果たすことができるだろうか・・・。
    かたや、CO2削減が求められ、一方で原子力エネルギーを拡大しようとする諸外国を前に、資源が少ない(とされる)日本の取るべき道の答えは簡単ではないかもしれない。だが、少なくとも今の原子力ムラ構造を解体し、知恵の総力を結集すべき時にきている。著者の語る通り受け入れるべきことももちろん必要だが、グローバルな社会において個人努力だけでは限りがあると同時に、古来より節制や倹約が長期持続することはありえず、よりダイナミックな視点で、今後、どのような舵を切り、不死鳥となって甦れるのか、日本の本領発揮の大舞台となってほしいと思う。
    脈絡なく感想をつらつらと書き散らしてしまいました。だが、本書は3・11後、感じていたマスコミの垂れ流す「大本営発表」の強い違和感をいろいろと解きほぐしてくれたよき解説書なので、どんな意見がある人にせよ、もれなく一度は手にとってほしい一書だと思います。負の局面をプラスに切り替えることができることを望むばかりです。

  • 関連の他書と読み比べていないけど、
    とにかく非常に分かりやすく書かれていた。

    印象に残ったのが、原発の安全対策や廃棄物処理のための膨大なコスト、廃炉自体が巨大な廃棄物を生み出すという厄介さ。
    読み進むうち、頭を抱えてしまう。

  • 私が知りたかったことはこの本には書いていなかった。

    火力発電所は大気汚染の原因となって人々にリスクを負わせ、
    水力発電所は建設段階で作業員の命を奪い、
    節電を呼びかければ、例えば熱中症で亡くなる方が増える。
    そんなことは、工学博士である著者ならご存知のはずである。

    結局、原子力発電の是非は、上記のようなリスクと原子力発電が生むリスクの大小関係で決定される。私が知りたかったのは、反原子力派がそれぞれのリスクをどの程度であると考えているかである。反原子力の立場から書かれた多くの書籍には、原子力発電のリスクは詳細に記載されているが、その他の発電方法および節電によって発生するリスクは記載されていない。そしてこの本も、私の期待に反して、その例外ではなかった。

    また、原子力発電所を「海温め装置」と呼んだり、地震の持つエネルギーを広島型原爆の数に換算するなど、恣意的な表現が見られる。どちらも間違いではないだろうが、この表現では、町中に「空気温め装置」が走り回っていて、日本国内で1年間に原爆25万3千発分のエネルギーが人工的に解放されていることになる。

    原発の好き嫌いではなく、人類の利益の最大化(リスクの最小化)に基づいた議論が公開されることを望む。

  • 原発の知識がほとんどない人でもすらすら読めるかと思います。
    以前まで、原発は多少は危険なのかもしれないけど政府や電力会社が安全とうたってきたのでなんとなき大丈夫だと信じていました。地震が起こり原発事故が起こり…今、原発は安全だ、という人はどれくらいいるのでしょうか?政府や電力会社が今まで隠していた、目を逸らしていた事実がわかりやすく解説されています。

  • 日本の全国民の是非読んで欲しい本。

    みんな何となくわかっている、感じでいることを書籍として出版して下さったことに感謝。原子力は魅力的なのかもしれないが、現時点では解決できないことが多すぎる。だから採用してはいけないなかったことがよくわかる。

    これを読んで原発を推進しようとする人はいないはず。
    自分も特に深くは考えてこなかったけれど、自分の子供を始めとした未来を担う人たちみんなに謝りたくなった。

    とことん議論をしていた孫さんや堀さんの議論はネット上で公開されていると思うから、もう一度見てみようと思う。きっと、当時と今の自分では感想が異なるはず。

  • 原発事故をきっかけに今、日本が抱えている問題に触れておこうと手に取った一冊。
    原子力について、是非を問う前に自分が知っていることは何か?考えてみる。何も知らないのであれば、読んで損はない。非常に読みやすい。過去の事実や研究データ等を交えてわかりやすく書いてある。
    何より、著者が原子力を研究してきた研究者であるので、根拠なく叫ぶ脱原発論者ではなく、説得力のある内容となっている。
    日本が保有する原子力発電所の現状、原子力発電の仕組み、発電後の燃料の問題など読めば読むほど現実を知る。

    途中、読まなければ幸せだったかもと思うほど、今の日本のずさんな姿が顕わになるように感じた。
    勉強になりました。

  • 原子力発電の恐怖。

    3月11日の巨大地震と巨大津波以来、大打撃を受けた福島原発。
    政府も東京電力も「ただちに健康に被害はありません」と国民を安心させるような”ウソ”を吐いた。
    いや、譲歩すれば”ウソ”でもないのだ。
    だが、「放射能によって破壊されたDNA情報は戻らない」という。
    たとえ少ない量の被爆でも、必ず人体に影響はあるのだ。
    しかも、恐ろしく有害な影響である。

    放射線は、人のDNA情報を破壊する。
    人はDNA情報を壊されることによって、再生能力を失う。
    JOC臨界事故で激しい被曝を受けた被害者は、すべての機能の再生能力を失い、凄まじい苦痛の中亡くなったという。

    そんな恐ろしい放射能を放つ原子力発電所を、日本はたくさん作ってしまった。

    しかし、日本は第二次世界大戦後から原子力研究を外部的な圧力により禁止されていたのだ。それにも関らず我が国に原子力発電所がある理由をご存知だろうか?

    原子力先進国のイギリスやドイツから、技術と原子炉を輸入していたのだ。しかし、日本では研究が禁止されていた為、進んだ原子力研究はなされておらず、我が国は原子力後進国とも言えるのである。

    そんな国が直面した現状。
    もうあと戻りは出来ない。

    原子力発電の際に必ず生成される「死の灰」と呼ばれる放射能。
    その廃棄の方法もないまま、日本ではたくさんの原子炉が未だ末路も見えずに存在している。

    また大地震が来たら?

    日本にあるのは福島原発だけではない。
    日本は、恐ろしい”爆弾”を抱えている。

  • 隠される原子力・核の真実とかぶるところもあるが新書として,お母さんたちにわかりやすく伝えるという意図だろうから,理解できる.
    必読書に入った.

  •  ま,とにかく,この辺で原発(原子力発電)から撤退しましょう。医療への利用のための研究までもやめる必要はありませんが。
     原発が止まっても電気はあまっています。1年間のうちのホンの数時間の需要ピークのために,「また,もしも近くの原発が…」と,ドキドキしながら過ごすのはバカげています。だって他の発電方法もあるのだし,原発にこだわる必要はありません。
     原発が安くないのももうみんな知ってしまいました。本書にも分かりやすく書かれています。
     これまでは,推進したい人たちが,自分たちの都合のいい情報だけを,大金はたいて何度も繰り返し流し続け(しかもそれが私たちの税金だったり,自由競争のないなかで取られた電気料金だったりする),あれやこれやと言っていただけだったんですから。
     今回の事故以前から,最も冷静に現状を分析し,判断し,発言してきた著者の姿勢から学ぶべきものは多いはずです。
     <「安全は被曝」は存在しない>という段落だけでも読んでみてください。「低レベルだから大丈夫…」ということは,まだ科学的な結論となっていないことがわかるでしょう。

  • 原発に目を背けずにすむよう、基本を身に付けるのにとても有益でした。

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原発のウソ (扶桑社新書)の作品紹介

"安全な被曝量"は存在しない!原発を全部止めても電力は足りる、福島第一は今後どうなるのか?危険性を訴えて続けて40年"不屈の研究者"が警告する原発の恐怖。

原発のウソ (扶桑社新書)のKindle版

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