イスラム飲酒紀行

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著者 : 高野秀行
制作 : 森 清 
  • 扶桑社 (2011年6月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594064365

イスラム飲酒紀行の感想・レビュー・書評

  • 旅行中だろうと、飛行機の中だろうと、アルコール禁止のイスラムの国だろうと、とにかく酒が飲みたい。

    酒飲みのそんな心の叫びを体現した一冊です。
    酒の美味しさって味&酔えることに加えて、大なり小なりある後ろめたさにあると思うのです。
    その背徳スパイスが、禁酒のイスラーム圏ならより効いてくるわけです。
    しかも、禁酒のはずなのになぜか手に入るイスラムの地酒とならば、なおさらのこと。

    酒をテーマにしてて、実際、イスラムの国々で酒を探すことに内容のほとんどが費やされていますが、本そのものはちゃんとした旅行記です。
    むしろ酒を通じて、イスラム文化にうまいこと切り込んでいることが面白い。
    とにかくイスラムって、公と私をきちんと分けているのです。
    だから人前でのアルコールはご法度でも、仲間うちなら平気。
    ちゃんと美味しいお酒や肴もある。
    人のいるところにお酒がある、ってことを見事に表しています。

    私、この本を読んでいる間、立ち飲み屋へいく頻度が妙に増えました。
    お酒と旅とイスラムが好きな人に読んでほしい一冊。

  • なぜか感想をアップしていなかったことに気づき、この機会に再読。高野さん、飲み過ぎでしょ!と突っ込みつつ、やっぱり笑ってしまう。ほんと、酒飲みってこうだよなあ。お酒のため、とりわけうまいお酒のためなら、いそいそと大抵のことは面倒に思わない。他のことにはズボラでも。

    表向き飲酒が禁じられているイスラムの国々だが、人々はやっぱりお酒を飲んでいる。高野さんはなんとか地元の人と一緒にワイワイやりたくて、ずいぶん怪しげなところにも足を踏み入れていく。読者も一緒にその場にお邪魔しているような臨場感たっぷりのエピソードを読んでいくうちに、イスラム社会の姿がぼんやり見えてくる。そこが最大の読みどころだろう。

    世界のどこでも人々は、その時々で移り変わっていく政治と宗教のあり方に翻弄されないではいられないが、それでも古くから根付いてきたその土地、その民族の文化はしぶとく息づいている。本書を読むとそのことが実感できる。

    たいそう面白いと思ったのは、バングラデシュのガイドで仏教徒のバイさんが「仏教では酒を厳しく禁じているのに、どうして私たちは酒を造って飲んでいるのだろう?」とつぶやくくだり。言われてみれば実にそうで、飲酒は五戒の一つ、殺人と並ぶ大罪なのだった。まったく不思議なことで、高野さんも「仏教圏最大の謎」としつつ、次のように書いている。
    「イスラム圏には裏表があるが、仏教圏には裏表では済まない曖昧模糊とした複雑な世界が広がっているのであった」

    この本は写真がたくさん収められていて、それがとても美しく、味わい深い。表紙に使われている写真も紺色が本当にきれいだ。いい本だなあ。

  • イスラム教国内で酒を飲もうと言う紀行集。一日たりともアルコールを欠かせないと言う作者の執念が面白い。イスラム教国内では基本的にアルコールはドラッグと同じように禁止されていると思っていたのだが、読んでみると意外と簡単にアルコールを入手しているのに驚かされた。あとがきで指摘されているようにイスラム国家では他の宗教は全く禁止されているイメージを持っていたが、飲酒が禁止とされていない宗教も国内に存在している。そういう人達の為のアルコールは必要だろう。独裁的なイメージを持ちがちだが、その部分で勉強にもなった。最初面白かったけど、最後のほうは飽きてしまった。ちょっとワンパターンかな。

  • 高野さん、一生懸命否定してるけど、やっぱりほとんどアル中だと思います(笑)
    イスラム圏に取材旅行に行きながら、必死でお酒を探すという高野さんらしいといえばとても「らしい」作品。結果的に現地で色々画策する様子を描くという、高野さんカラーも存分に発揮されてて、面白かったです。

  • 2017.8.2 49
    酒飲みたくなった。イスラム圏行きたくなった。

  • 2016年8月3日読了

  • イスラム諸国を旅して隠れて酒を飲むなんて、痛快そのもの。著者らしい軽快な文章に何度も笑いをこらえた。
    原理主義に汚染されているイスラムのイメージが強くなってしまったが、本当はこんなに愛すべき人々なのだ。
    世界にもっと教えてあげたい。

  • 登場するイスラム教国家は、パキスタン、アフガニスタン、チュニジア、イラン、マレーシア、トルコ、シリア、ソマリランド、バングラデシュ。チュニジアとトルコくらいしか行ったことがない。アルコールが手に入ったかどうか覚えていないが、別に毎日飲まないとと思っていなかったので気にはならなかったことだけは確かだ。

    高野さんの他の著作である『謎の独立国家 ソマリランド』、『恋するソマリア』、『アヘン王国潜入記』、『幻獣ムベンベを追え』などの単独テーマで一冊を仕上げたものと比べるとやや物足りない。この本だけ見るとアル中のおじさんが酒を求めて無理を言っているだけのようにも読める。ソマリランドの章などは上記の本を読んでから読むと全然印象が違うのではないだろうか。

    チュニジアの章は、二十年以上前に大学卒業旅行で行ったことを思い出しながら読んだ。トズールの街での酒盛りの話なんだが、この後にドゥーズに行くというところで話が終わっている。トズールからドゥーズはバスで広大な塩湖を横断し、ドゥーズではラクダに乗った砂漠の旅(卒業旅行でもっとも印象的だった)が待っているはずなんだが何も言及なく残念。砂漠のバラ(ローズ・ド・サハラ)がごろごろと売っており、お土産にたくさん買ってきた。ものすごく大きいものも手に入れたんだが、かみさんに邪魔だと捨てられてしまったが。

    大学院のときにシリアからの留学生と研究室が一緒になったが、彼はアルコールが供されている場にいることも宗教上の理由から拒んでいた。どうも本での様子を見ると彼のような真面目な人だけではないらしい。少し印象が変わった。シリアは内戦前のことなので、今ではどうなっているのだろうか。高野さんには再訪をしてもらいたいところ。

    それにしても高野さんは、アルコールだけでなく、カートやアヘンもどっぷり嗜んで体は大丈夫なんだろうか。もしかしたら色々と無茶もしているし、長生きするつもりがなかったりするのだろうか。


    『謎の独立国家ソマリランド』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4860112385

    『恋するソマリア』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4087715841

  • よくもまあここまで酒を探す話で一冊の本が書けたものだと感心。
    著者はアル中に近いほどの酒好きのようだが、酒探しにまつわり、あれやこれやのおもしろエピソードが目白押しである。
    表向きは酒類厳禁のイスラム世界や愛嬌のある現地の人々が話をさらに面白くしている。
    やっぱり高野秀行のノンフィクションは面白い。

  • イスラム国家で酒が飲めないかと思うとさに非ず~§1紛争地帯で酒を求めて-2007年森カメラマンと凶獣を探しにパキスタン経由でアフガニスタンに行く予定が,搭乗客が少なくてパキ航が欠航となり,一流ホテルでも酒を出さない。大学生に訊くと医者の診断書で酒を手に入れられる。パーミットプレイスには男が殺到している。アフガニスタンのカラオケ・バーではお持ち帰りの中国人女性がいて,ビールを飲んで25ドルから12ドルに負けさせた。-§2酔っ払い砂漠のオアシス-妻を連れてチュニジアに来て,常温で呑むとしたらロゼワイン。ビールを飲んでも爽快感がないのは,のべつ呑んでいるからだと気付く。砂漠のオアシス・バーで水とナツメヤシをミックスした酒を飲んだ翌朝,腹痛オンパレードで,オアシスバーがラクダの足洗い場であったからと判明する。-§3秘密警察と酒とチョウザメ-2009年2月,麻薬同様酒が禁止されているイランに行くが,白昼へべれけの酔っ払いに遭遇。密売人はスーフィーで,ホメイニを批判する。どぶろくとウォッカ。チョウザメは強精食だった。-§4モザイク国家でも飲めない!?-モザイク国家マレーシアで2005年7月。ババ・ニョニャ(中国とマレーのハーフ)を訪ねるが手に入らず,ポルトガル租界の現地バーに突入。酒は何でもある-§5イスタンブールのゴールデン街-モスクの近くはないと踏んでいたが,アタチュルク行きつけの中間営業だけの宮廷料理屋は問題がないし,ネヴィザーデという飲み屋街は人がざわざわしていて,普通にビールを飲み,客引きが負けずに声を挙げる。-§6ムスリムの造る幻の銘酒を求めて-シリア南部に葡萄酒を造るドルーズ派がいるというが,どこの酒屋も不機嫌(その理由は結局不明)で,レバノン北部の不味いワインを飲んでいたが,アンマンへタクシー移動中に立ち寄ると,イケメンの靴の修理屋のお兄ちゃんが差し出したワインは絶品だった。-§7認められない国で認められない酒を飲む-ソマリランドは平和で何故独立国家として承認されないのか分からない。カートという葉っぱを囓っているとアルコールは要らないが,スプライトのボトルにジンが入れられて売られているが,カートと違って,性欲が消えることはない。-§8ハッピーランドの大いなる謎-バングラデシュの東側にはミャンマーに近い人が住んでいて,仏教徒だから酒を飲むが,蒸留三度のアラクだ。敬虔な仏教徒は呑まない-~ムメンベを探せの時代は可愛い大学生だったのに,生意気にも,周辺を威圧するほどの酒好きになってしまって,書き出しが「私は酒飲みである。休肝日はまだない。」でいやらしい。ま,仕方ない。1966年生まれというと今年49歳。「ゴールデン・トライアングルの核心部で取材中,うっかりアヘン中毒になってしまい,それから脱出するため,つまり禁断症状を耐えるために酒をのべつまくなしに飲むようになった。」(p77)という事情があるから仕方ないね

  • 爆笑。この珍道中、笑えます。読んでるとビール飲みたくなりますが。イスラムのイメージが結構変わります

  • 紀行文が嫌いなので点数低めです。
    旅が好きで旅に行った事のある方なら、紀行文ってなんてつまらないんだろう。自分の体験の方がもっと面白かったわ。と感じてしまうのでは、と思うのですが、この本もそういった“つまらなさ”を感じながら読まなければならない本です。且つ!!!著者の下品さが私は好きになれず最初から最後までしかめっ面で読んでいました。著者と同じようなスタンスでお酒を楽しまれる方は何とも思わないのかもしれませんが、私は旅先で、もしくは酒宴にて出来ればご一緒したくないキャラクターでした。
    なんとなく、こういう人が民主党支持してるのかな~。と想像してみたり。イメージですけど、イメージね。

    あぁ、不愉快。

  • 作者はとてもユニークな人で。
    辺境大好き高野秀行。
    このほかにも様々なユニークな本を出版している。

    本来、酒を禁じられているイスラムの人々とお酒との謎。ほぼアル中の作者とお酒。

    合わせて、「謎の独立国家ソマリランド」も読みたくなった。

  • イスタンブール行きたくなりました。

  • 私は、酒飲みだ から始まるイスラム圏を旅する著者の酔いどれエッセイ。こういう人が、いるということは、ダメ人間たちにとってはとても心強い。本来、人間はこれほど自由に生きて旅できるんだと、思う。特に、厳格なイスラム世界がふとした時に見せる怠惰さや、女性優位の部分など、研究者やマスコミ報道では分からない部分の生の描写がいい。そして、この著者が表現したいのがまさにこの部分だ。行ってみな、それぞれのとらえ方で、世界はこんなに違うんだぜ、という自己都合・自己完結主義なのだ。世界は、究極自分である。そのことに気がつけば人生はもっと楽しいはず。

  • 仏教って飲酒を禁じていたんですね。知らんかった・・・

  • 文章は読みやすく、ぐいぐい引き込まれてあっという間に読み終わってしまった。
    しかし本当にすごいと思うのは筆者の純粋な酒に対する欲求。
    私も酒は好きだが、遠慮をしてしまいここまではしないだろうな。と思ってしまう。
    でも、その欲求に従ったからこそ見えてきた世界を詳細に描いていて見ていてとても気分がいいです。
    酒飲みは国や人種が違えど繫れるのかなと思った一冊でした。
    お酒好きな人にはオススメします。
    そうでない人にはオススメできません(笑)きっとイライラしてしまうと思います。

  • これまで良く実態を知らなかったイスラムの国々の文化についてうかがい知ることができた。
    お酒が飲みたくなる。

  • 一般に飲酒がタブーであるイスラム教国で、酒を求めて徘徊する紀行文。酒好き、旅好きとしては「イスタンブールのゴールデン街」、「ムスリムの造る幻の銘酒を求めて」といった章題を追っていくだけでもわくわくする。

    訪れる国はプロローグも含めて、カタール、パキスタン、アフガニスタン、チュニジア、イラン、マレーシア、トルコ、シリア、ソマリランド〈ソマリア〉、バングラデシュ。

    酒に対する筆者の欲求は同じ酒飲みから見ても度を越しているようにも思えるけれど、その執念が生むエネルギーこそが、異国におけるタブーという建前の向こう側を覗くエネルギーになり、そこから垣間見える本音はステレオタイプのイメージを塗り替えてくれる。

  • 酔っ払いには国境も、宗教の違いも関係ない。

  • 私は酒飲みである。休肝日はまだない。

    すてき!!あたしこの著者と旅したいーー!!
    イスラム圏やインドにいたとき、酒が容易に手に入らないところでは「我慢する」という手段しか知らんかったわ…まだまだ甘いな。
    高野さんの執念に敬意を覚える。
    どんなところでも人がいるところに酒はあることを学びました。

    酒を切り口に、宗教やイスラム圏の生活を知ることができる本。
    人って「後ろめたさ」を共有することで、何か深い絆で結ばれるような気がする。
    お酒って美味しいのと酔えるのに加えて、「後ろめたさ」を伴うのがいいのかも。
    宗教についても、改めて興味が湧いた。

    また、本の中に度々登場する森さんの写真がすきです。

  • パキスタン、イラン、シリア、ソマリア、トルコ、チュニジア、アフガニスタンなどちょときくと危なそうなエリアに著者高野秀行氏がどうやって酒を飲んだのかというお話を綴った旅紀行なのだが、あきれるほど酒への執着が凄い著者が本能でのように酒を売る人たちを見つけまた酒を飲む人たちと出会う様は痛快で読んでいて思わず微笑んでしまった。
    トルコなどをのぞいて、イスラム圏は危ない、怖い、分からないという部分が先にたち親しみを持つ事はまずないのだが、やはり人間は人間酒を取り巻く人間臭い部分はどこに住む人間にも必ずあり、面白くまたいい人たちもいるのだろうなあと思わせてくれる作品だった。

  • 酒を愛する私としては、とぉぉぉっても気になるお酒を発見。『ウーゾ』って何よ。「ボウモア」のスモーキーさや「モヒート」の清々しさを愛し、ドクターペッパーもOKな私なら、きっと『ウーゾ』もいけるはず。この酒の存在を知っただけでもこの本を読んだ価値は大有りでした。高野さん、感謝! そしてご自愛を!

  • 人間はどこても同じ。嗜好品は好きなんだな。高野さんの信念。

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イスラム飲酒紀行の作品紹介

ブーハ、アニス酒、ベルベルウイスキー、イランの「ドブロク」、ラク、シャハバ・ワイン、アラク…etc.酒を禁じるイスラム圏でも、これだけの地酒が存在する-イスラム圏における飲酒事情を描いた"爆笑"ルポルタージュ。

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