イスラム飲酒紀行

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594064365

感想・レビュー・書評

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  • 2016年8月3日読了

  • イスラム諸国を旅して隠れて酒を飲むなんて、痛快そのもの。著者らしい軽快な文章に何度も笑いをこらえた。
    原理主義に汚染されているイスラムのイメージが強くなってしまったが、本当はこんなに愛すべき人々なのだ。
    世界にもっと教えてあげたい。

  • 登場するイスラム教国家は、パキスタン、アフガニスタン、チュニジア、イラン、マレーシア、トルコ、シリア、ソマリランド、バングラデシュ。チュニジアとトルコくらいしか行ったことがない。アルコールが手に入ったかどうか覚えていないが、別に毎日飲まないとと思っていなかったので気にはならなかったことだけは確かだ。

    高野さんの他の著作である『謎の独立国家 ソマリランド』、『恋するソマリア』、『アヘン王国潜入記』、『幻獣ムベンベを追え』などの単独テーマで一冊を仕上げたものと比べるとやや物足りない。この本だけ見るとアル中のおじさんが酒を求めて無理を言っているだけのようにも読める。ソマリランドの章などは上記の本を読んでから読むと全然印象が違うのではないだろうか。

    チュニジアの章は、二十年以上前に大学卒業旅行で行ったことを思い出しながら読んだ。トズールの街での酒盛りの話なんだが、この後にドゥーズに行くというところで話が終わっている。トズールからドゥーズはバスで広大な塩湖を横断し、ドゥーズではラクダに乗った砂漠の旅(卒業旅行でもっとも印象的だった)が待っているはずなんだが何も言及なく残念。砂漠のバラ(ローズ・ド・サハラ)がごろごろと売っており、お土産にたくさん買ってきた。ものすごく大きいものも手に入れたんだが、かみさんに邪魔だと捨てられてしまったが。

    大学院のときにシリアからの留学生と研究室が一緒になったが、彼はアルコールが供されている場にいることも宗教上の理由から拒んでいた。どうも本での様子を見ると彼のような真面目な人だけではないらしい。少し印象が変わった。シリアは内戦前のことなので、今ではどうなっているのだろうか。高野さんには再訪をしてもらいたいところ。

    それにしても高野さんは、アルコールだけでなく、カートやアヘンもどっぷり嗜んで体は大丈夫なんだろうか。もしかしたら色々と無茶もしているし、長生きするつもりがなかったりするのだろうか。


    『謎の独立国家ソマリランド』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4860112385

    『恋するソマリア』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4087715841

  • イスラム国家で酒が飲めないかと思うとさに非ず~§1紛争地帯で酒を求めて-2007年森カメラマンと凶獣を探しにパキスタン経由でアフガニスタンに行く予定が,搭乗客が少なくてパキ航が欠航となり,一流ホテルでも酒を出さない。大学生に訊くと医者の診断書で酒を手に入れられる。パーミットプレイスには男が殺到している。アフガニスタンのカラオケ・バーではお持ち帰りの中国人女性がいて,ビールを飲んで25ドルから12ドルに負けさせた。-§2酔っ払い砂漠のオアシス-妻を連れてチュニジアに来て,常温で呑むとしたらロゼワイン。ビールを飲んでも爽快感がないのは,のべつ呑んでいるからだと気付く。砂漠のオアシス・バーで水とナツメヤシをミックスした酒を飲んだ翌朝,腹痛オンパレードで,オアシスバーがラクダの足洗い場であったからと判明する。-§3秘密警察と酒とチョウザメ-2009年2月,麻薬同様酒が禁止されているイランに行くが,白昼へべれけの酔っ払いに遭遇。密売人はスーフィーで,ホメイニを批判する。どぶろくとウォッカ。チョウザメは強精食だった。-§4モザイク国家でも飲めない!?-モザイク国家マレーシアで2005年7月。ババ・ニョニャ(中国とマレーのハーフ)を訪ねるが手に入らず,ポルトガル租界の現地バーに突入。酒は何でもある-§5イスタンブールのゴールデン街-モスクの近くはないと踏んでいたが,アタチュルク行きつけの中間営業だけの宮廷料理屋は問題がないし,ネヴィザーデという飲み屋街は人がざわざわしていて,普通にビールを飲み,客引きが負けずに声を挙げる。-§6ムスリムの造る幻の銘酒を求めて-シリア南部に葡萄酒を造るドルーズ派がいるというが,どこの酒屋も不機嫌(その理由は結局不明)で,レバノン北部の不味いワインを飲んでいたが,アンマンへタクシー移動中に立ち寄ると,イケメンの靴の修理屋のお兄ちゃんが差し出したワインは絶品だった。-§7認められない国で認められない酒を飲む-ソマリランドは平和で何故独立国家として承認されないのか分からない。カートという葉っぱを囓っているとアルコールは要らないが,スプライトのボトルにジンが入れられて売られているが,カートと違って,性欲が消えることはない。-§8ハッピーランドの大いなる謎-バングラデシュの東側にはミャンマーに近い人が住んでいて,仏教徒だから酒を飲むが,蒸留三度のアラクだ。敬虔な仏教徒は呑まない-~ムメンベを探せの時代は可愛い大学生だったのに,生意気にも,周辺を威圧するほどの酒好きになってしまって,書き出しが「私は酒飲みである。休肝日はまだない。」でいやらしい。ま,仕方ない。1966年生まれというと今年49歳。「ゴールデン・トライアングルの核心部で取材中,うっかりアヘン中毒になってしまい,それから脱出するため,つまり禁断症状を耐えるために酒をのべつまくなしに飲むようになった。」(p77)という事情があるから仕方ないね

  • 酒飲み

  • 爆笑。この珍道中、笑えます。読んでるとビール飲みたくなりますが。イスラムのイメージが結構変わります

  • 作者はとてもユニークな人で。
    辺境大好き高野秀行。
    このほかにも様々なユニークな本を出版している。

    本来、酒を禁じられているイスラムの人々とお酒との謎。ほぼアル中の作者とお酒。

    合わせて、「謎の独立国家ソマリランド」も読みたくなった。

  • 私は、酒飲みだ から始まるイスラム圏を旅する著者の酔いどれエッセイ。こういう人が、いるということは、ダメ人間たちにとってはとても心強い。本来、人間はこれほど自由に生きて旅できるんだと、思う。特に、厳格なイスラム世界がふとした時に見せる怠惰さや、女性優位の部分など、研究者やマスコミ報道では分からない部分の生の描写がいい。そして、この著者が表現したいのがまさにこの部分だ。行ってみな、それぞれのとらえ方で、世界はこんなに違うんだぜ、という自己都合・自己完結主義なのだ。世界は、究極自分である。そのことに気がつけば人生はもっと楽しいはず。

  • 仏教って飲酒を禁じていたんですね。知らんかった・・・

  • 文章は読みやすく、ぐいぐい引き込まれてあっという間に読み終わってしまった。
    しかし本当にすごいと思うのは筆者の純粋な酒に対する欲求。
    私も酒は好きだが、遠慮をしてしまいここまではしないだろうな。と思ってしまう。
    でも、その欲求に従ったからこそ見えてきた世界を詳細に描いていて見ていてとても気分がいいです。
    酒飲みは国や人種が違えど繫れるのかなと思った一冊でした。
    お酒好きな人にはオススメします。
    そうでない人にはオススメできません(笑)きっとイライラしてしまうと思います。

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著者プロフィール

1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに文筆活動を開始。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。

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