- Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
- / ISBN・EAN: 9784594067496
感想・レビュー・書評
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事件の当事者主軸であった著者による回顧です。事件の本質を当事者が分析しています。また事件後の活動についても、著者の視点で述懐しています。一方の主軸である、三女の著作も読みましたが、その後の行動として互いに矛盾するところもあり、どちらが正しいのか分かりませんが、著者の主張の方が具体的のようにも感じ、明らかのようにも思います。本事件の本質を著者は「真面目さ故の行動」で「結果は不幸」であったとされていますが、これは誰にも起こりうることで、自戒の気持ちを持ちました。一方で私自身は当時も今も行き過ぎた行動のようにも思いますが、それは報道でしか知らないソトの人の一般的な感じ方なのかもしれません。
その後著者は結果責任を負い行動されて、それは当然の行動と私は理解し今後も誠実に行使してほしいと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
オウム真理教の幹部として広報活動にあたり、その後逮捕懲役をへて、オウムへ復帰。そして脱退してひかりの輪を立ち上げる。上祐史裕氏が事件の事や、教団との関わり、そして現在を語った本。
当時ワイドショーを見ていた時は、この人はあまりサリン製造の事などについては知らないのかと思っていたが、ほぼすべての事を知っていた事実に驚いた。そして男性の一番弟子だった事も。
宗教に生きる人が、どんな思考を持って生きているのを知れる、とても面白い作品でした。 -
前半のオウム分析の明晰さと比較すると後半のひかりの輪の教義の説明は歯切れ悪い。やはりクリエイトするのは大変ということか。
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上祐さんの知的で落ち着いた感じは好き。
凶悪犯罪に加担してしまった責任はあると思うけど、それを全て上祐さん個人が悪いと思わない。
社会が作り出した麻原と言う魔境に吸い込まれた被害者でもあると感じる。
今後は余生を全て、賠償、反省、そしてまだ残るオウム信者の脱洗脳をしていくと掲げて行動してることは、今出来うる最善の行いだと思う。 -
面白いとは書けないが、読み易かったのは間違いない。
地下鉄サリン事件当時、自分は小学生だったため詳しくはこの事件を理解していなかったが、ずっと関心は持っていた。また昨年の「たかじんのそこまで言って委員会」に上祐氏が出演された時に、パネラー全員から総攻撃にあっていたにもかかわらず、至って冷静に対応する姿に不思議なものを感じたし、その時にこの本を出版すると聞いていたので是非読んでみたいと思っていた。無論氏が自己弁護に終始していないかという疑念は拭えなかった為、初めから批判的に読むつもりだった。
特筆すべきは最後の方の章、上祐氏の生い立ちと彼の両親についての話。これは始めて語られることなのではないか。彼がアレフを脱会してひかりの輪を設立する、且つ麻原への妄信を断ち切る要因となったのもこの章に於いてよく知ることが出来る。
対談部分は余り興味はなかった。有田芳生という人物も江川昭子という人物もオウム事件当時は有名なジャーナリスト(?)だったのかもしれないが、その当時の事は私はよく知らない上に、今現在の彼らについては思想的にも全く信用ならぬ人物として見ているため、話を聞きたいとも思わないからである。 -
「-」
元オウム真理教広報上佑文浩氏が語るオウム。
今まで、体系的にオウムを学んだことがなく、
当時の幹部がオウムについて語る点に興味をひかれ、
この度は読んでみようと思いました。
宗教に嵌る人を弱いというのは簡単ですが、
宗教を糧によりよい結果を残している人がいることも事実です。
日本では、宗教=危険と思われがちですが、
正しい宗教教育も必要だと思います。
ただし、何が正しいのかが非常に難しいのだと感じます。 -
オウムの広報担当だった上祐が、自分が麻原を「盲信」してしまったのは何故なのか、あるいは、麻原を「盲信」してしまった自分とは何なのか、を自分なりに考え整理した書である。そしてこれから自分が何をしなければならないか、について語っている。
麻原と自分の分析については、ありがちな心理学の論法にあてはめているだけのようには見えるが、それが今の彼の実感なのだろう。それはそれで重要な証言ではある。
そうした分析よりも、主に前半に語られる、上祐が見てきた麻原周辺のエピソードのひとつひとつがやはりおもしろい。
そして自身の責任については、率直に反省しつつも弁解がましくなるのはやむを得ないところだろう。
ただ、後半は自身が主宰する「ひかりの輪」の宣伝になっている。本人もそう受け取られるのは重々承知で、その書きぶりは慎重なのだが。
通読して改めて「頭のいい人」だなと思う。自分なりにきちんと反省し、押さえるべき所は押さえていると思う。なのに、なぜか軽い感じがする。簡単には信頼できない感じがする。
他のオウム幹部たちの手記も読んでみたいと思った。 -
日本最大のカルト教団スポークスマンが語る教団。当時は理解できなかったことがやっとわかるようになったのだなと思えた。
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自分で考えることを放棄し、盲信することの恐ろしさ・・・
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2013/2/10読了。
あーいえば上祐さんの本。
弁の立つ人というイメージ。
オウム事件が起きた頃幼かったというのと、日本のテレビ番組が充実して見れる環境になかったことから馴染みが薄い。
去年辺りに指名手配犯の逮捕が相次いだことや特番を通じてサリン事件以外の一連の流れを知った。
この本はそんな無知な自分でも当時のことを知る手掛かりに。
上祐氏の内省。
と言われてるけどどこか自身の心情は俯瞰して書かれてるような印象を受けた。
それは麻原を盲信してたときの自分と現在の自分で考え方などが違うからかもしれないし。
普段自分が感情を文学的に表現する小説を読んでるからかもしれない。
印象に残ってることは
麻原を盲信中の時少し疑うこともあるけど、自分が崇拝してる人を正しいと思う気持ちがそうはさせない、良い面だけを信じるという部分が恋愛関係でも当てはまると思った。
私の好きな「依存」に当てはまる。
だから脳内麻薬が出てる恋愛中は何かを信仰することに通じると思った。
あと親子関係の話も印象的。
やはり全ての人格形成には親子関係が根底に潜んでいるのだと再認識。
サカキバラセイトがオウムから影響を受けていたということは初めて知った!興味深い。
一元論の話は人類補完計画思い出した←