また次の春へ

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著者 : 重松清
  • 扶桑社 (2013年3月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594067861

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また次の春への感想・レビュー・書評

  • 2011年3月11日──東日本大震災。
    多くの人々を死に至らしめたあの震災から2年以上経った。

    これまでは作家たちも、あの震災にどう向き合い、どう表現するか試行錯誤していたに違いない。
    2年経ち、ようやく彼らもあの出来事をテーマにした作品を書きつつある。
    なかでも重松清は、最も積極的に震災に真正面から取り組み、作品を出している。
    この作品の前作であるドキュメンタリータッチの「希望の地図」でも、震災を取り上げている。
    この「また次の春へ」でも、七つの短編の主人公すべてが、「震災」に関わった人々だ。
    その物語の構築の仕方が、何とも心優しい。
    七編のなかでは、「おまじない」に涙が止まらなかった。
    重松清には、いつもこんな形で泣かされる。
    ひとの泣きのツボを心得ているというか……。実に巧みだ。

    お互いの思いやりが、ちょっとしたベクトルのズレで悪意と取られかねないこともある。
    そんな「震災後の人々との触れあいの難しさ」を描いた表題作「また次の春へ」も秀作だ。
    言葉選びが丁寧で、一語一語、会話の一つ一つ、情景描写の一文などが、
    心に染み渡る名作だと思う。
    震災がまだ終わっていないことを切実に感じられる作品。
    毎年訪れる次の春が、より希望の持てる季節になっていることを祈るばかりだ。
    オススメです。

  • やっぱり、重松さん!と言うほかないです。

    特に、「トン汁」、「記念日」、「五百羅漢」が印象的でした。
    震災で無くしたものは、未来だけではない、過去すらも無くなったことを「記念日」ではカレンダーをモチーフにこんなにも如実に伝えてくれました。

    私も、昨年、病気で父を亡くし、命日を境目にこれまでとは別々の時間が流れていく悲しみを抱え、時間を戻せるなら戻したいけど、それは叶わない現実だと受け止めがたくても受け止めるほかない経験をしたので、重なる部分も大きかったです。
    今、こうして当たり前に過ごせていることこそが、幸せな偶然の連続なのかな?と思わせてくれました。
    春にこの本に出会えたのも、そうなのかもね!

  • 2016.5.5
    胸が締め付けられるような思い。東北の大震災の話。人は本当に、いつ何が起きるかわからない。キラキラした毎日が、一瞬で消えてしまうこともある。こういう震災が起きたとき、誰かが何かをすると必ず何かしらの非難や賞賛が起きるけど、正解なんて多分なくて。どれが正しいのかもわからない。自分ができることを、と思って寄付をしたりするけど・・
    カレンダーの話が印象的で。「生きること」の次は「暮らすこと」への支援、っていうところに、登場人物のお母さんと同じように、なるほどね、と。

  • 震災のその後の7つの短編。

    母のいなくなった家庭の味になった父親のトン汁。
    小学生の時、1年だけ暮らした街を訪れた主婦が耳にしたおまじない。
    読みかけの本にしおりを挟んだままいなくなってしまった幼なじみ。
    被災地に送ったカレンダーがつないだ関係ほか。

    この日常がどんなにかけがえのないものか・・・

    そして、「また次の春」へ。

    通勤バスの中で読んでいたら、涙がこぼれそうになりました。
    だけど、また次の春へ。続いていく。

  • 短編集。7編。
    東日本大震災にまつわる物語。悲しみや苦しみもそれぞれ違えど、次の春ににつながる”何か”を探す。人の強さや優しさを描く。
    最初の作品「トン汁」が良かった。奥さんを亡くしてしまった父親が作るトン汁。家庭の味として受け継がれ、身を温める一品が、心を温める。
    表題作「また次の春へ」では、悲しみが倍増するものの、命の尊さや、世代の絆を感じさせる。

  • 子どもの頃、今日と同じように明日もあるのだと信じて疑わなかった。『じゃあ、また明日ね』と約束できるのは当たり前のことではなかったんだと改めて思う。
    当たり前にあったことを一瞬にして消し去った震災のこと、もう一度自分の中で考えて整理したくて読んだ本。
    重松さんもいろんなこと葛藤しながら書き上げたんだと思う。

  • (2013.05.25読了)
    東日本大震災に関連した7つのお話。短編集です。
    私も被災者の一人ですが、特に原発事故当時のもう帰れないのだろうと思いながら家族を載せて車で避難した時の絶望感!今思い出しても涙が出ます。

  • 2011年3月11日の東日本大震災に関する短編集。

    あの地震と波、それによって起きた電力会社の事故で生活は大きく変わった。先日の都知事選挙でも原子力発電を廃止するか、推進するかというテーマは何度も取り上げられた。

    この短編集を読んで、何度もせつないような悲しいような感覚を味わった。それでも感動というか、強い気持ちの波、エモーションみたいなものを感じるところまではいかなかった。
    自分なりにその理由を考えれば答えはすぐに出た。

    あの地震は、あの波は、あの電力会社の事故は何ひとつ終わっていないからだ。
    これを書いてる時点でもうすぐ東日本大震災からもうすぐ3年。いまだに仮設住宅で暮らすひとがたくさんいる。
    仕事や学校、生活が破壊され、未だなお修復されていない地域がある。避難しているひとは約27万人だそうだ。

    感動して涙が止まらなくなっている場合じゃなくて、もっと違う、焦りのような感覚。
    金曜ロードショーで観る感動大作のハリウッド映画じゃなくて、すごく近い場所でいまもなお苦しんでいる人がいるのに、自分はこんなところで本を読んでいていいのかという焦燥感。

    2020年のオリンピック開催地が決まった時も同じような気持ちだった。なぜ仮設住宅で暮らす人々の家は作れないのに、オリンピック施設はそれほど簡単に作れるのか、と。怒りのような感覚だったかもしれない。

    この小説は、過去の話じゃなくて今も続く話だ。
    地震は終わってない。感動してる場合じゃない。

    『アネモネの咲く春に』という曲で、ロックバンド・ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文氏は、東日本大震災や原発事故への感情を赤い花に例えながら歌った。
    赤いアネモネの花言葉は”アイラブユー”。

    辛い思いをされてる方々の状況が、多くの人々のアイラブユーの支援で地震前の生活に少しでも戻せるような、そんな春が来ることを心より願う。
    遅すぎることなんてない。まだ何も終わってない。

  • 3.11からまた次の春へ。『記念日』がすき。沢山辛いことがあってまだまだ辛いと思うこともあって。だけどちゃんと光もあるんだ。あたたかさが残る一冊でした。

  • 東日本大震災の後のそれぞれの人の気持ちを描いた短編集。

    ・トン汁
    ・おまじない
    ・しおり
    ・記念日
    ・帰郷
    ・五百羅漢
    ・また次の春へ
    の7編収録。
    号泣するような話ではないものの、いろんな立場、世代、性別の人々が大震災後の気持ちを優しく描いています。
    まだまだ傷はいえないものの、少しだけ、ただほんの少しだけでも再生に向かっていく気持ちが心を温めてくれました。

  • 厄災から二度目の春。どう受けとるか?どう受け取られるか?ナイーブな面は十人十色。このタイミングには勇気、決意が感じられるが、七つの短編の内容には押しつけ・畳み掛けは無い。何もできないもどかしさを感じながらも、忘れない事…見守る事…祈る事…しかいまだにできない。"故郷との足の裏でのつながり"はもう一つのテーマかな?田舎と都会の生活感の相違、Uターンや縛り等、ふと辻村さんの作品が頭を過った!

  • 震災を受けた家族の短編集。
    認めたくない気持ちと前に進まなければならない気持ちが交錯して、本当に体験している人はどうなのかはかり知ることはできないが、今あるこの時を大切にしようと改めて感じた。

  • 東日本大震災にまつわる短編集。家族や友達を失い、気持ちをどうしていくのか。いろいろ考えさせられた。良かれと思った行動もそのまま喜んでもらえたり、逆に相手を傷付けていたり。一人一人がいろんな視点から物事を見ているので、難しい。

  • 大震災から2年。何処にでもある平凡な家族の日常を、根底から覆した未曾有の大災害。その中で互いを思いやりながらひっそりと暮らす人々。淡々と、しかし温かい視線で見つめながら描く。
     憎み恨む相手がある内はまだ良い。それは何も生産しないが、今の気持ちを他に向けて悲しみを紛らわすことは出来る。
     この大震災のようなとき、この悲しみはどこにぶつけるのか。誰が受け止められるのか。泣いても泣いても、心の奥底の涙は流し切れず、想いは届かず、悲しみは途切れない。

     私は、遠いこの地で悲しみに共感し、静かに目頭を熱くする。そして早い春の訪れをひたすら祈る。

     「とん汁」を始めとする7つの短編集。涙なしでは読めないが、悲しみだけの涙ではない、人の哀しみ、優しさ、温かさに共感する涙だ。タオルハンカチを用意し、自室で一人きりで読むことをお勧めする。読後は家族に思いっきり優しくなっている自分が居る筈だ。

  • 3.11後のやるせない思いが、読んでいて苦しかった。でも、前に進もうとする姿にあたたかい気持ちにもなれた。日本各地で今も地震が続き、当たり前が当たり前でなくなる日が私にも来るかもしれない。明日が来ること、春が来ることに感謝し、日々を大切に生きようと改めて気付かせてくれた本。

  • 死ぬことの意味や現実などの短編集。現実におきたとき自分はどうむかいあうのだろうかと考えさせられた。

  • 震災の漠然としかわからなかったものが、
    少しリアルに感じた。

  • 悲しいけど忘れてはいけない話。
    また次の春へ。

  • 震災後の残された人達の短編集

  • やはり経験してない者にはわからない。

  • 震災からもう5年以上。
    でも今も一人ひとりいろんな思いを抱いて生きている人がいるわけで。
    事実はこんな小説みたいに、優しくきれいなもんばっかりじゃないはず・・・と思いながら、でも少しでも希望があればいいなぁ、という期待を持てた。
    短編集なので、1つひとつの話に深まりがないのが残念。
    あと重松清の文体がやっぱり苦手。しばらく読みたくない。

  • どんな話なのか知らずに読み始めたら、3.11で被災した家族のオムニバスで読んでて自然と涙が流れた。本当に震災は誰も悪くないし、亡くなった人も、残された家族も、なにも関係の無い遠く離れた人にも多大な影響を与えたし、私自身にもすごい影響があった出来事だったから本当に読んでいて辛かった。
    読み始めて2日後に熊本で震度6の地震が起きて、なんちゅうタイミング。。。辛い。
    「しおり」の中でのセリフで、行方不明になった男の子に対して死亡届を出して供養した方がいいという主人公に対して母親が「あんたをすっきりさせるために亡くなったわけじゃない」っていうんだけど、本当にそうだなぁって。死体もあがらずにもうダメだと思っていてもそれで死を受け入れるなんて、なんて辛いんだろう。なにをもって自分を納得させるんだろう。あの日、テレビでみた津波の映像の中、水の中には何万人の人が流されていたんだろう。思えば思うほど辛いし、立ち直れなんて簡単には言えないし、言おうとも思わないけど、それでも次の春はくるし、残された人は生きていかないといけないんだよね。なんて残酷で辛い出来事なんだろう。

  • 『泣きの重松』の作品なのである。
    彼に家族を描かせたら、
    もう自由自在に読者を泣かせることができるくらい
    読む者のツボを心得た巧みな作者なのである。
    その重松さんが書いた3.11震災の短編集。
    なのに、読み始めて2つ目の短編で『あれ?』と思い
    3つ目、4つ目辺りで気がつく。
    主人公への感情移入が浅い・・・
    たぶん重松さんは、あんな悲惨な出来事を
    当事者でない自分が書くことに迷い、あえて第三者的な書き方を選んだのでしょう。
    『経験してない人にわかるものか』と言われれば返す言葉が無い。
    安易に『がんばって』なんて声もかけられない。
    自分が何事もなく平凡な暮らしを送っていることさえも
    罪悪感を感じてしまった震災後の日々・・・
    そんな日々を思い返しながらページをめくりました。
    あれから5年、重松さんが描く次の春の物語も読んでみたいです。

  • 東日本大震災の後の
    残された人たちのお話です

    本当にこの現場に遭遇した方々にしか
    わからない思い
    伝えられない思い
    まだ続いている痛み
    やるせない整理の出来ない気持ち
    とても伝わってきました…
    220ページ
    涙が流れぱなしでした

    運命には逆らえませんが
    運命とは残酷です…

    東北に限らず
    震災があり暫くは
    自分にも何か出来る事はないかと
    考えたりもしますが
    時が過ぎれば
    記憶も薄れ…

    災害にあわれた方々は
    次の春は
    次の春はと
    頑張っているのだろうと思うと
    本当に生きる事の
    強さを感じます

    そしてこの復興に
    頑張っている方たちこそが
    未来の日本を強くするのだと
    思わずにはいられません

    重松清作品
    本当にあたたかい

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また次の春への作品紹介

厄災で断ち切られたもの。それでもまた巡り来るもの。喪失の悲しみと再生への祈りを描く、7つの小さな物語。

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