古きものたちの墓 クトゥルフ神話への招待 (扶桑社ミステリー)

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制作 : 増田 まもる  尾之上 浩司  立花 圭一 
  • 扶桑社 (2013年6月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (454ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594068363

古きものたちの墓 クトゥルフ神話への招待 (扶桑社ミステリー)の感想・レビュー・書評

  • 『クトゥルフ神話への招待 遊星からの物体X』に続くクトゥルフ神話アンソロジー第2弾。
    表題作が長く読み応えが有りました。
    収録4作品すべて本邦初翻訳ですが、古い作品より近年が舞台の新しい作品の方が馴染み安く読みやすかったです。
    もっと、現代のクトゥルフ神話の翻訳が増えると、昔の翻訳に馴染みにくい人にも楽しめていいと思います。

  • ・R・キャンベル他「古きものたちの墓 クトゥルフ神話への招待」(扶桑社ミステリー)は シリーズ第2弾である。英題には2と付されてゐるが、邦題にはない。しかし第2弾である。本巻に収められるのは4作、中心はコリン・ウィルソンの表題作で ある。頁数で200超、全体のほぼ半分を占める。ちよつとした文庫本1冊にもならうといふ長さである。他のキャンベルの2作とブライアン・ラムレイの作品 も短篇とはいふものの読み応へ十分である。かういふ作品ならばクトゥルー神話の1作として読者に受け入れられ易い。そんな作品集である。
    ・コリン・ウィルソンの表題作「古きものたちの墓」はHPLの「狂気の山脈にて」につながる物語である。最初のあたり、もしかしたら地球空洞説につながる のかと楽しみにしてゐたら、結局は裏切られた。地球空洞説ではなく順当に「狂気の山脈にて」につながつていつた。北極なら地球空洞説ありでも、南極ではや はり無理があらう。これで良いのである。物語は古きものたちを発見するマシュー・ウィロビーの手記の体裁を採り、その曽祖父から書き始める。「人生のもっとも重大な出来事は、生まれるずっと前に決まっているのかもしれない。わたしがよい見本である。」(99頁)といふわけで、曾祖父と南極との関はりからまづ始めるのである。マシューが古きものたちを見つけるのに手を貸したのはインガであつた。ごく簡単に言つてしまへば、彼女は所謂超能力者である。例へば、 百発百中で透視(169頁)、空の雲を動かす(173頁)等々、しかも兄弟も同様の能力を持つらしい。この超能力、物語では超感覚的知覚(ESP)とされ てゐる能力はコリン・ウィルソンがこれ以前の作品や「オカルト」で追求してきたものである。この物語では、それは「簡単だよ。だれでもできる。きみだってできる」(179頁)能力とされてゐる。だからマシューにもできる。雲を消せるのである。この能力が物語の最後で大きく働くのだが、それ以前に、かういふ 能力に言及すること自体が極めてウィルソン的である。この物語に於いてもHPLの物語を受け継ぐことよりも、ESP、あるいはこのやうな意識の拡張(とでも言はれてゐたか)を描くことの方が中心にあるのかもしれない。これがなければ主人公は古きものどもを見つけられなかつたし、「狂気の山脈」でいかなることが行はれたのかを、そして古きものどもがいかなる存在であるのかを知ることもできなかつた。インガが目覚めさせてくれた能力のおかげでマシューはこれら を知ることができたのである。これなくしてこの物語はない。しかもこの物語はHPLを実にうまく消化してゐる。さすがである。「ネクロノミコン」をでつち上げてしまふ人だけのことはある。久しぶりにコリン・ウィルソンを読んだと思へる物語であつた。最後のラムレイ「けがれ」もまたおもしろい。こちらはインスマスである。例のインスマス顔からマーシュ家まで、HPLが実にうまく使はれてゐる。しかも落ちまでついてゐる。海に帰つたジェフばかりではインスマス に救ひはなささうである。これまでの物語の登場人物はジェフばかりであつたのかもしれない。ところが、これはさうではないかもしれないと思はせてくれる。 それが救ひであるかどうかは分からない。ただ、これがインスマスの物語の新たな展開を見せてくれるかもしれないとは思ふ。クトゥルー神話に見えた新たな希望の光、あくまでも読者が感じる一条の希望の光でしかないが、それでもこれは貴重である。神話ではなかなか見られないものである。キャンベルにはないが、 もしかしたらウィルソンにはあるかもしれない……。

  • 「クトゥルフ神話への招待 遊星からの物体X」に続く、シリーズ第2弾。
    今回はキャンベルの短編×2に、表題作であるウィルソンの小長編、ラムレイの中編各1という、前回にも増して―アンソロジーとしては―やや偏った構成。超有名作品の2作品に、R・キャンベルの未訳短編5編を収録した前回と異なり、今回は全て本邦初訳とのこと。

    「ムーン・レンズ」「湖畔の住人」は作家初期の頃の作品なので古めだが、表題作「古きものたちの墓」は’99年、掉尾を飾るB・ラムレイ「けがれ」は’05年発表と、かなり新しい。
    HPLの世代から現在に至るまで書き継がれているのを見ると、クトゥルフ(クトゥルー)神話とは、単に流行を繰り返すものではなく、

    洋の東西を問わず、クトゥルフ神話が、それだけカジュアルな「基礎教養」として定着したということなのだろう。
     ~〈エッセイ〉「クトゥルフ神話」のトレンド (森瀬繚)

    ということであり、SF/ホラーという大きな括りの中で、1つの確たるカテゴリーを造り上げているということなんだろうか。

    詳しくはこちらに。
    http://rene-tennis.blog.so-net.ne.jp/2013-09-24

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